バレンタインに板チョコあげたらハートになって帰ってきた件
今更、バレンタインデーというかホワイトデーネタです
全く持って執筆が壊滅状態で、2月下旬頃にバレンタインデーネタを思いつくも、既に時期は過ぎていて無理やりホワイトデーネタに魔改造するも、執筆する気力なくお蔵入りしたネタになりますが、書いてみました。
何かの間の箸休め程度になれば、幸いです
バレンタインデー近くのある週末、時間は午後10時になろうとしていた。
パステルピンクのフリースに黒いサテンのエプロン姿。
朱い差し色の入った黒髪ロングのポニーテール揺らしながら、小柄な少女は必死に作業に取り組んでいた。
「ふゎっ!ぐっ、ぐぬっ!ぬおっつ!ぐふっ!」
「ふげっ!げふげふげほっ!」
「あと五枚!…まだ行ける?手札はまだある」
「なぜ?またダークマターを召喚…いやまだ私の聖なるチカラで愛の結晶をこの手で作り上げるのよ!」
「と、と、とりゃぁぁぁぁぁ!!?いやぁぁぁ」
チョコレートを細かく刻み小鍋に入れて湯煎で溶かす
チョコレートがとろみのある液状になったら、ハートの型に入れて冷まし硬くなるのを待つ
そうすれば手作りバレンタインチョコレートの完成のハズで、学校から帰って部屋着に着替え間もなく5時間が過ぎようとしていた。
「母さん、…キッチンが騒がしいようだけど、夕飯はまだなのか?」
「父さん、今日は諦めて下さい…硯が頑張ってるようだから…今日はこれで我慢してください」
「これ?…炊飯器と湯沸かしポット?にマグカップ?」
「女の嫌な勘ってホントあたるのよねぇ」
「炊き込みご飯と…」
「マグカップの中は即席のお吸い物です」
「家にお吸い物の用意あったっけ?」
「出汁用にとって置いた昆布茶と椎茸茶の混合物ですが何か?」
「母さん…笑いながら目のハイライト消すのやめて」
「なんのことかしら?」
父はそれ以上何も言わず、小さく頂きますをして静かに食べ始めた
母も一度キッチンの方に目を向けてからゆっくりと食事をはじめた。
その頃、キッチンを占領している硯は…
「嫌、やめて!それ以上は、耐えて耐えるのよ!」
「うふ、うふふふ、ブラックチョコがダークに闇堕ちしてる…うふふふ…うふふふ」
バレンタインチョコの製作に失敗し闇堕ち寸前であった。
結局、バレンタインチョコの作成を諦めた硯は最後に残った製菓用板チョコをそのまま、幼馴染の男の子に渡した。
そして、一ヶ月後 硯はその子からハート形の手づくりチョコを貰い、なんとも言えない複雑な気持ちになったのであった。