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聖女の誤算

 レイチェルは焦っていた。

「何で……」

 聖女候補だったのがようやく聖女になれたのに魔力が失われているのだ。


(おかしい。()()()()()()()()()()()()()()()

 思わず腕輪に視線を送る。


 ()()()()という名目で似たような腕輪を配ってきた。そんな名前がついていたらお綺麗な性格の輩は何があっても手放さないというのは代々の口伝で聞かされていたのだ。


 もしかしてと不安になりそっと腕輪を外す。


 腕輪には知らない人からすれば模様のように見える魔法文字が書かれてある。


【すべての魔力は我の元に集う。皆は一人のために】

「やはり、これはわたくしの物よね……」

 字が薄くなって消えているのか入れ替わっているのかと不安になったがそんな事もない。


「見立て間違いだったかしら……」

 アーレクイン家にはアーレクイン家にしか伝わっていない秘術がある。


 他人の魔力が見えるのだ。


 その秘術を使い、他人の魔力を奪ってきた。

 もちろんばれるようなへまはしない。


 聖女を歴代輩出してきたアーレクイン家。その名を利用して、アーレクイン家の嫁に子供が出来ると無事子供が生まれるようにという()()()という名目で神話をモチーフとした絵を画家に描かせて寄付という形で養護施設に配った。

 書かれた紙や画材にはアーレクイン家に伝わる特殊な魔道具が使われて、絵が飾られた場所にある魔力を少しずつ吸収して、生まれる赤ん坊に与えられるようにしてある。


 人が多く集まる場所であればあるだけ塵も積もれば山になるとばかりに多くの魔力が集い、女の子であれば聖女候補になれるだけの魔力を持つ事が出来る。


 そうやって栄華を極めていた。


 聖女候補に挙がる時には同じ聖女候補から魔力をたんまりもらい、聖女に……その上にある王太子妃。王妃にとなり、アーレクインをより栄えさせる。


 なのに、大事な()()()()()()から魔力が送られにくくなっている。


「魔力が枯渇……?」

 そんなはずはない。あの目をつけてきた供給源(カティア)の魔力は弱ってはいたが、まだ十分保てそうだったのに。


「魔力の吸収力を上げて行けばいいわよね」

 まだ婚姻をしていない。これで魔力が失われたら王妃になれないではないか。


 仕方ない。

 供給源から吸い込む量を増やせばいい。

 なあに、魔力が枯渇すれば生命力を吸収するだけだ。


 供給源(カティア)が体調を崩す程度だ。自分が王太子妃……王妃になるには必要な犠牲だ。


(吸い込む量を増加させてもあの雑草並みの生命力なら死なないでしょう)

 死んだら親友の死を嘆いて宣伝に使えばいいだけだ。


 そう判断して、魔道具の能力を上昇させる。






――レイチェルはそんな判断をしたが、自分が与えた()()()()が奪われて別の人が持っているとは知らなかった。


 

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― 新着の感想 ―
[良い点] うわぁ…うわぁ……女って怖いっすね… まさか聖女()もお人よしの身内があんなにも真逆の性格してるとは思わなかったんだろうw
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