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第2話 能力の把握

 俺は洞窟の出口を探していた。

 やはり生き物の気配はしない。


 その時俺は、イリス以外の能力を持っているのか気になった。

 イリスによると俺は他にいくつかの能力と耐性を持っていることが分かった。




並列思考(イリス)』・・・複雑な計算が可能となる。


『固有空間』・・・自分の亜空間へ物質を保管することが出来る。自身の体から直接吸収し入れることができる。自身の周囲に円形の亜空間への入口を作りそこから収納、取り出しが可能。


『金属操者』・・・金属を自由自在に変形させることが出来る。


『空間知覚』・・・魔素の流れを感知できる。周囲の様子を知覚することが出来る。危険を察知することができる。


『物理攻撃耐性』・・・そのままの意味


『状態異常耐性』・・・毒などに対する耐性


『変熱耐性』・・・高温、低温に対する耐性




 の能力を獲得していたらしい。

 イリスに教えてもらうまで全く知らなかった。

 石だったんだからしょうがないじゃん!!

 ってことで、俺は洞窟にある鉱物を、能力『固有空間』を使って吸収した。


「この吸収した鉱物を『金属操者』で変形させれるってことか?」


 《その通りです。》


 さっそく拳銃を持つように体を構え、右手にそのイメージを思い浮かべてみた。

 怪物と鉢合わせするかもしれないから、万が一のために持っておこうと思っただけだ。

 決して、悪いことに使うためじゃないよ??


 すると、みるみる拳銃の形が出来上がっていく。3Dプリンターみたいだ。


「おぉ、これは凄い。」


 俺は歓喜と同時に、ヒトを簡単に殺せる存在になったということに恐怖した。


「持つの怖いな……」


 拳銃の物質が一点に収束し、右手に戻って行った。


「拳銃はやばくなった時だけでいいや。」


 ということで今俺はスッポンポンなので、白シャツと黒ズボン、黒い手袋と靴を具現させ身に付け、黒いマントを羽織った。

 着心地は最高。

 俺のために作られた俺だけの服だ。

 初めてのオーダーメイドの服に多少興奮した。

 そして最後に黒塗りのお面をつけた。

 俺の姿はもう誰にも分からない。見

 た目は人間に見えるだろう。


 それから俺は出口を見つけるために歩き続けた。


 すると奥の方が少し明るく見えた。


「あ、光だ。」


 《この先は外に繋がっていると推測します。》


「いや、そんなことぐらい分かるよっ。」


 俺は光が射す方向へ走って向かった。







「やっと外だ。」


 久しぶりの外で眩しい。前が真っ白に染まっている。


 《色彩、明度、彩度を調節します。》


 視界がだんだん開けて、くっきりと見えるようになってきた。

 洞窟を抜けた先には、綺麗な大自然が広がっていた。

 知ってたけど。


「久しぶりの外だぁ。」


 俺は地面に大の字になった。

 空は綺麗な青色だ。

 雲がゆっくりと動いている。

 風で木々が靡いている。

 川の流れる音が聞こえる。

 体全体で自然を感じ、時間がたつことを忘れていた。


 この自然を大の字で堪能した後、体を起こし周りを見回した。

 やはり生き物の気配はない。


「やっぱり動物とかいないのかな。」


 《ほぼ間違いなく存在すると思われます。》


「そんなこと言われても、いないんですけども。」


 俺は辺りに生き物がいるかよく観察しながら、森を抜けるために歩いていた。前世の森と大差はない。


 そうこうしているうちに、ついに見つけた。

 生物がいる証拠を!


「城だ!」


 遠くの野原にただそれだけが高くそびえ立っている。


「行こうイリス。お前の言ってた通りかもっ。」


 俺は城のある方角へ足を進めた。





 ------





 俺は今城にいる。そこは廃城であった。


「なんということでしょう。人の気配がないではありませんか。」


 もう動く力がでない。

 期待を膨らませ過ぎていたせいで、落胆も大きかった。


 城下町があったであろう場所は更地である。

 ところどころ遺跡のように残っているが、とても人が住めそうな場所ではなかった。

 建造物の造りは前世で言う、中世の西洋と言ったところだろう。

 周辺を一通り探索してみたものの、食用であったであろう動物の骨はあったが、人骨はなかった。


「人骨が一つもないのは逆に不気味だな。」


 《情報不足のため原因を特定できません。》


 まーそれはそうだよな。

 これだけで原因なんか分かっちゃったら賢者様って呼んであげるとこだ。


 しかし、このでかい城を見るに、昔は栄えていたのだろう。この地の権力者の財力が伺える。


 城に何かあるだろうと思い、城の内部を目指すことにした。


「お邪魔します。」


 大きな扉を押した。

 だがピクリともしない。

 次は思いきり力をこめて押した。

 またしても、ピクリとも動かなかった。


「凄く重いぞこれ……」


 《能力『範囲結界』によりこの城が守護されています。解析を始めます。よろしいですか?》


「頼む。」


 イリスは本当に有能だ。いや、俺の能力だから俺が有能なのか?


 《解析完了。解除を実行します。》


 《解除成功。能力『攻性防御』の獲得に成功しました。》


「ありがとう……って、え?能力獲得したのか?」


 《その通りです。》


 なんてべらぼうなやつだ。

 そんなに簡単に能力を獲得してしまっていいのだろうか。


「おう、ナイス……」


 だが、『範囲結界』と『攻性防御』の違いは何なのか気になった。


「『範囲結界』と『攻性防御』は何が違うんだ?」


 《『攻性防御』は自身のシールドです。『範囲結界』は自身のシールドかつ、広範囲のシールドです。『攻性防御』の上位能力です。》


「なるほど。」


 つまり『攻性防御』は『範囲結界』の劣化版ということか。

 だが能力を獲得できたのはいい。

 何があるか分からないから、得ることができるものは得ておきたい。


 気を取り直して扉を押した。

 すると次は簡単に開くことができた。

 中の様子が見えた。

 そこは大きな空間が広がっていた。

 窓から刺さる光が地面を照らし、左右の天井まで届く太い柱はこの城を支える。

 ステンドガラスには細かな装飾が施されていて美しく輝いている。

 そこはとても幻想的で荘厳な雰囲気の空間であった。


「綺麗。」


 ボソッと呟いた。

 無意識に言葉が出てしまうほどそれに圧巻された。


 《この建造物は千年近く前に造られたものだと推測します。》


 この地の権力者は偉大だったのであろう。

 ただ、怖くなった。はるか昔に生物は滅んでしまったのではないかと。

 こんな歴史があり、芸術的な城を誰も欲しないはずがないと。


「そうか、誰もいなさそうだし今日はここで休ませて貰おう。」


 《マスターは休息不要な体で出来ています。》


「なんか今日はいろいろと驚くことがあったからゆっくりしたい。」


 《すみません。よく分かりません。》


「…………」

「まぁ今日はありがとな。」


 俺は城内をざっくりと探索し、個室を見つけ、そこにあった椅子に腰をかけて窓から外の景色を眺めていた。

 夕方の赤色と紫色が混在する空が見える。


「この景色は久しぶりだな。」


 俺は次の朝を迎えるまでずっと窓のそとを眺めた。







 次の朝。俺は地下があることを発見した。

 その螺旋状の階段は、先が見えずなんだか不気味である。

 俺は好奇心が勝ち階段を進んだ。

 その先にあったのはまたしても巨大な空間だ。

 ここは城の広間よりはるかに広い。

 小さな街がすっぽり入るような大きさだ。


「なんだここは……広すぎる。」


 俺は驚きを隠せなかった。

 柱も何も無いただの空間だ。


 その時イリスではない何者かの低い声が頭に響いた。


「そなたがそうか。」


 ドシン、ドシン、ドシン


 巨大な生物が奥から現れた。


 竜だ。


「へっ?……」


 その迫力の前に俺は恐縮した。そのせいで変な声が出てしまった。


「ド、ド、ドラゴン!?」


「そう、我は獄炎竜・インフェルノ。この地を守護する者である。」


 威厳のある声が頭に響く。


「ご、ごめんなさい!誠に勝手ながらこの城へ侵入してしまいました。」


 俺は謝らないと殺られとる思い、すぐに頭を下げた。


「いや、寧ろ我はそなたに感謝しておる。」


「すみません……え?」


「我についてきたまえ。」


 その竜は後ろをふりかえり、どしどしと歩いていった。


 俺は戸惑いながらも、恐る恐る後をついていくのであった。












 ステータス


 名称 (如月育真(きさらぎいくま)


 種族 ホムンクルス(金属生命体)


 能力 『固有空間』

 『金属操者』

 『空間知覚』

 『並列思考(イリス)

 『攻性防御』


 魔法 なし


 耐性 状態異常耐性

 物理攻撃耐性

 変熱耐性


 その他 白シャツ、黒ズボン、黒手袋、黒マント、

  靴、黒塗りのお面を身につけている。




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