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第14話 人魔大戦による変化

いくつか国が出てきて位置関係が難しくなるので、地図を載せようと思っています。(適当な時に)

 魔女?

 確かに前世の昔に起こった魔女狩りというのは、女性だけではなく男性もだったと聞いた事がある。

 女性の方が割合は大きいが。


 そんなことはおいておいて、魔女は魔術師と何か違うのか?

 どっちも魔法使いのイメージだ。

 だが、なぜ後ろの三人は少し不気味な笑顔を浮かべているのだろう。

 これは危険なにおいがする。


 受付の人に常識を知らないおバカさんと思われたくないので、小声でザックに聞いてみた。


 「魔女と魔術師は何が違うんだ?」


 「魔術師はただの魔法使い、魔女は魔法で意味もなく他人に害を与えるような人のことを言う。つまり魔法使いの殺人者だよ。」


 「えっ!――」


 大きな声を出してしまった。


 「そんな奴が今から行くとこにいるの?」


 「フッ。そうだ。」


 近くで会話を聞いていたアリスが不気味な笑みを浮かべて言う。


 「いや、全然笑えないから。え、その人は捕まらないんですか?」


 俺は受付の人に聞いた。


 「まだ魔女と疑われているだけなので、捕まえることはできません。」


 「なるほど。」


 まだ疑われているだけ……

 これはフラグか?

 やめてくれよ受付のお姉さん。


 「そもそも魔女と断定すること事態が難しい。」


 「なんで?」


 「魔法による犯罪行為は証拠が残りにくいからだよ。だから大半の魔女は、自分から名乗り出ている。その類は本当に頭がおかしい人ばかりだよ。だがその分実力もあるけどね。」


 「なるほどね。」


 魔法による犯罪はどんなものか分からないけど、確かに調査する側は大変だろう。

 道具もなしに火をつけるし、殺傷能力の高い水の槍を作れるしな。


 そんな危険な所に行きたくないよ……

 銀貨一枚払った方がいいのではないか?

 めんどくさいことになりそうだよ。


 「まぁ魔女だったらとっとと捕まえて金貨十枚貰いましょ。」


 クレアはなんでそんなに余裕なんだ。


 「魔女と戦った事でもあるのか?」


 「そんなの無いわよ。」


 いや、無いんかい。


「喋ってないで早く行くぞ。」


 「だからルーラがまだで……」


 「なら迎えに行くぞ。」


 「え、ここで待っとこうよ……」


 俺はアリスに腕を持たれ連れていかれた。



 「ははは、行ってらっしゃいませ。」


 受付の人が苦笑いで小さく手を振ってくれた。






 俺達四人はギルドの外に出た。

 人通りが先程より増えている。

 既に露店を出しているところもあれば、準備中のところもある。


 「じゃあ門の方に行ってみよう……あ。」


 「約束通り来ました。」


 目の前にいたのはルーラだった。

 フードを被っているが女性の声だ。

 フードにオンオフ機能でもあるのか?

 まぁそんなことはどうでもいい。


 「ジャストタイミングすぎ。」


 「いえいえ、ところで何処に行くつもりですか?」


 ん?

 なんでこいつ丁寧語になってんだ?


 「宿を取りに行くけど、なんでデスマス調なんだ?」


 「あなた方には大変ご迷惑をおかけ致しまして、誠に申し訳ありませんでした。」


 怖い怖い。

 いきなりどうしたんだ。

 こんな奴じゃなかったよな。


 「そんな、もうすんだことだから。」


 「すんだことでも……」


 「本当にもう大丈夫だから。あとデスマス調じゃなくていい。」


 「いや、私なんかが……」


 「いいから。」


 「……いや……分かったわ。普通に話すわね。」


 「うん。それでいい。……アリスとクレアは剣の柄を持たなくていいからね?」


 「フッ。安心しろアレン、彼女が不審な動きをしたらすぐに頭を胴体から切り離してあげよう。」


 「それが安心出来ない理由なんですけどね?」




 ということで俺達五人はザックが言っていた宿に行った。宿ではひとまず一週間の宿泊を予約した。


 ルーラは既に別の宿に泊まっているらしく、その宿の情報を聞いてみると、宿泊代はとても安いのだが、毎日ゴキブリがゴソゴソ動き回り、天井には大きな蜘蛛の巣が張って、床は今にも抜け落ちそうで、窓を開けると隣の建物の壁が見えるらしかった。


 それは気の毒だと思い、俺達の奢りで同じ宿に泊めてあげる事にした。


 俺とザック、アリスとクレア、そしてルーラの三つの部屋を借りる事にした。


 一人部屋のルーラが羨ましいが、アリス達と同じ部屋にするのは可哀想だろう。

 次の日に遺体が発見されても困る。


 「じゃあ行こうか。」


 例の魔女の家へ。


 そうして俺達は歩き出した。



 「何処に行くの?」


 ルーラが嫌な事を聞いてきた。

 正直に言えば逃げ出してしまうだろう。


 「さっきギルドで依頼を受けてきたからそれをね。」


 「どんな依頼を受けたの?」


 「ただのDランクの依頼だよ。」


 うん。

 嘘はついていない。


 「そうなのね。」



 話題を変えないと追求されそうなので変えることにした。


 「人魔大戦って知ってる?」


 「え、えぇ、もちろん知ってるわよ。いきなりどうしたの?」


 「いや、人魔大戦について詳しく知りたくて。戦争後に何か変わった事とかある?」


 「まって、それなら人魔大戦について知ってる知り合いがいるわ。丁度この近くの本屋で働いてるから会ってみたい?」


 「それはナイス。」





 俺達はルーラの知り合いがいる本屋へ来た。

 二階建ての建物で一階が本屋、二階が住居だろう。

 こじんまりとした本屋だが趣があっていいお店だ。


 「おばあさん久しぶりだ。」


 ルーラが青年の声になった。


 「あらルーラ。よく来たね。」


 優しそうなおばあさんが立っていた。


 「おばあさん、この人達に人魔大戦の事を教えてくれないか。」


 「いいけど、どしら様だい?」


 「えぇーと、友達だ。」


 ルーラが困惑した感じで俺の方を向いてきた。

 どうどうと友達って言ってくれたら素直に喜ぶぞ。


 「初めまして、私はアレン、そのおじさんがザック、そしてこちらがアリスとステラだ。」


 三人はペコッと小さくお辞儀をした。


 「初めましてじゃの。私はただの本屋のおばあさんだから、おばあさんって呼んでくれてけっこうだよ。」


 「じゃあおばあさん、人魔大戦について聞きたいのですが、いいですか?」


 「人魔大戦のことかい。珍しい人じゃの。別に構わんよ。」


 「ありがとうございます。人魔大戦の後に変わった事って何かありますか?」


 「あるのぉ。とても変わったよ。先代が書いた本があってそれによると……あら、何処にしまったかの……」


 本棚をゴソゴソと漁っている。


 「お、あったあった。えーと、ここら辺に書いてあったはずじゃが……あったあった。この本によると、百年前の人魔対戦によりアーケド帝国の北に新しい王国が誕生した。その名はベルフ王国。人間の国じゃよ。」


 人間の国?

 アーケド帝国の仲間割れでもしたのかな?


 「なんで国が生まれる事になったのかね?」


 真っ先にザックが質問をした。


 「それがのぉ、人魔大戦後に理由もなく唐突に、北側から攻めていたアーケド帝国軍がたった数日にしてその土地に城壁を作り、立てこもったらしいのじゃよ。」


 「意味不明だな。」


 全く意味不明だ。

 なんの目的があって立てこもったのだろうか?

 イリスに聞けば分かるかな?


 《情報不足により、原因を特定することができません。》


 まぁそうだよね。



 「ベルフ王国とはどんな国なのかね?」


 「それがの、何も分かっておらぬのじゃ。」


 「それはどういう?」


 「ベルフ王国はどこの国とも関係をもっていないんじゃ。国の周りには高い壁がそびえ立っていて、外からは中央に立派な城が立っていることだけしか分からないのじゃよ。」


 「そんな勝手に国を作って、アーケド帝国や他の国は何も言わないんですか?」


 「もちろん言ったさ。特にアーケド帝国は元々自分の国の領土だったから強く反対したのじゃが、送り出した兵士達がベルフ王国に近づくにつれパタパタと倒れてしまったらしいのじゃよ。原因不明の衰弱で、中には死んでしまった人もいるらしいから、アーケド帝国は軍の侵攻を中断したのじゃ。」


 「それは恐ろしいですね。」


 なんだそのベルフ王国という国は。

 近づいたら死んでしまうなんて、国の中にいる人は大丈夫か?


 「そこの王の名前はなんですか?」


 「名はキリシタリア・テトロイト王じゃ。」


 「分かりました。他に変わった事はありますか?」


 「そうじゃな、魔人の国ダンタルテ王国の南東にあるドワーフの国が魔国側の立場から中立の立場に変わったの。」


 「何があったんだ?」


 ザックが食いついている。


 ドワーフの国なんてあったんだな。

 俺は地図を探す必要がありますね。


 「アーケド帝国は北のベルフ王国の侵攻をやめて次は南側を目指す事にしたのじゃ。そして侵攻先のドワーフの国は長年抵抗したのじゃが、中立の立場をとることでその戦争は終結。じゃがほとんどアーケド帝国の領土になったと考えた方がいいじゃろう。」


 守護者三人は真面目な顔をしている。


 「国民はどうなんだ?」


 「特に変わりはないかも知れんな。今はドワーフの国の隣に新しく出来た国、商業特区プロメリアと貿易をしているから逆に儲かっておるかもしれんわい。」


 待てよ一旦国を整理しよう。


 我らのダンタルテ王国の東側に山脈を挟んでケイオス街があり、そのまた東側にアーケド帝国。

 ケイオス街とアーケド帝国の北側にベルフ王国。

 ダンタルテ王国の南東側にドワーフの国があり、ドワーフの国の北東側に商業特区プロメリア。

 ドワーフの国の南側に海を挟んで魔人を逃がした南の島。

 ダンタルテ王国の南西側にフェリーク樹海


 があるらしい。



 「そうか。」


 「ドワーフが作る製品は品質が良くて人気じゃよ。ただ、中継貿易で稼ぐプロメリアは好かんがね。」


 「そこはどんな国なんだ?」


 「ドワーフの国が中立になった時に、行商人がお金の匂いを嗅ぎつけて集まってできた国じゃよ。ドワーフは中立になったが、人間の国まで自分の足で行くのは危険じゃ。だから行商人が仲介となって他国にドワーフの製品を売るんじゃよ。」


 手数料で儲けをだすみたいなものか。

 いいなー。

 ずる賢いがそれ程お金が欲しいのだろう。

 俺も欲しい。


 「確かにずるいですね。」





 それからもおばあさんから話を聞いた。

 ベルフ王国とドワーフの中立化の話が一番重要だろう。

 特に重要ではないが、ケイオス街の周辺にも小さな町が点々とあるらしい。

 そこら一帯を中央平原と言いだいぶ大きいそうだ。

 中央平原は一応中立の立場だが、半分アーケド帝国でもある。

 中央平原にあるギルドはアーケド帝国から資金援助を受けているから強く出ることが出来ないのだ。


 だがギルドは魔物を討伐し、助けが必要な場所に冒険者を派遣することで、いちいち帝国が動く必要が無くなるよう助けているため、アーケド帝国もギルドに強く出ることが出来ないらしい。



 「今日はお話ありがとうございました。」


 「いいえ、またいらっしゃい。」


 おばあさんがニコッと笑った。


 俺達はお辞儀をして外に出る。


 「これは大変だな……」


 ザックが言った。

 どれに対して大変なのだろうか。


 「何に対して?」


 「ドワーフが中立の立場になり、技術が人間側に漏れ出る恐れがある事だ。」


 確かにファンタジー世界のドワーフは高い技術力を持ってる事が多いが、この世界もそうなのだろうか。


 確かに敵国に技術が渡るのは恐ろしいな。


 「そんな簡単に技術を教える能無し国じゃないわよ。」


 アリスが言った。


 「そんなことより一番大変なのはドワーフの南に魔人を送り出した島がある事よ。そこがバレてしまうのも時間の問題かもしれないわ。」


 「そうだな。だが魔人達も弱くはない。帝国は簡単に攻略できはしないだろう。」


 ザックはそう言い冷静になった。


 「まずは私達の役割を果たすのが先決だ。」


 そうして俺達は魔女と言われている者がいる場所へ向かった。







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