第12話 魔法とは
下描きが消えてしまった、
目的地に着いた。予想通り東の方向から太陽が昇りはじめている。
焚き火の前の椅子にクレアが座っていた。
「遅かったわね。それでその男達と後ろの女は誰?」
彼女は鋭い視線でルーラを睨む。
「すまんすまん。この男達はギルドで絡んできた人達。彼女はその男達に金で雇われて俺達を襲おうとしてたらしい。」
「あら、じゃあ殴ればいいの?」
「違う違う。もう話は解決したんだ。」
「あらそうなの、何があったの?」
「実は……」
俺は今夜起こった出来事をクレアとザックに丁寧に説明した。
話している途中クレアがいきなりルーラに殴りかかろうとしたり、男を蹴ろうとしたりしそうになったのを必死に俺はくい止めた。
彼女はその全ての行動を真顔でするから余計に怖い。
ちゃんと最後まで話を聞いてくれ……
っと言う感じで説明した。
「分かったわ。彼女は私達が街にいる間協力してくれるのね。」
「そゆこと。」
「その男達はどうするき?」
「言われた通りここに持ってきたけどどうすんの? ザック。」
「任せなさい。私達は彼らが寝ている間にテントを片付けてこの拠点を出る。そしてそこの君――」
ザックはルーラを指さした。
「は、はい。」
「六人が起きるまでここで彼らを守ってあげなさい。Aランクなのだから彼女に任せば魔物に食い殺される心配はないだろう。」
「わ、分かりました。」
「よし。じゃあテントを片付けよう。」
そうしてテントを片付けることにした。
一直線に体を伸ばし爆睡しているアリスが安定に大変だった。
「アリス、いつもより早いけど起きてー。」
「すー、すー。」
やはりこいつに早起きは無理なようだ。
早起きという概念を彼女は持ち合わさていないのだろう。
ということでお姫様抱っこをして運ぶ事にしよう。
俺は無性なので心配無用。
変な事は致しません。ここ大事。
「よいしょと。」
びっくりして起きるかもと思ったがそんなことはなく、変わらず爆睡だ。
こいつ夜襲われたらどうするんだ?
夜になると何故か自分は最強だと錯覚するようなオオカミ達にでも襲われたら……
危ない危ない、俺はこいつを守らなければ!
なんだか母性が出てきた。
というのは流石に嘘だけど、こいつは毎日何がなんでもクレアと寝てもらう事にしよう。
「ルーラ、守る用事が終わったらギルドで会おう。」
「この人達が起きたら、ギルドに行けばいいのね?」
「そゆこと。――じゃあ行こうか。ルーラ後は任せた。」
「はーい。」
そう言って俺達は日が出たばかりの朝に、街へ向かった。
俺達は朝早くからケイオス街に向かっていた。
俺はアリスをお姫様抱っこしている。
彼女は気持ちよさそうに寝ているが、早く起きて欲しい。
こんなことを前世でやっていると引かれるだろうか?
うん、引かれるな。
なんだか今更だが恥ずかしくなってきた。
それは置いておいて、今俺はルーラと出会って魔法について余計に興味を持っていた。
ルーラは驚くべき事に三つの属性の魔法を操っていたのだ。
ルーラで三つならザックが一つなはずがない。
いや、それとも一つの魔法を極限まで極めた野郎なのか?
自分で考えてもしょうがない。
直接聞いてみよう。
「なぁ、ザックは何の魔法が使えるんだ?」
直球過ぎたか。
「ストレートに聞いてくるね。そうだね、あのルーラって子より多くの魔法属性が扱えるよ。」
「火霊魔法以外にも?」
「ん? あぁ、確かに今までそれしか使って来ていなかったね。他にも使えるよ。」
やはり火霊魔法以外にも使えたか。
「じゃあ使えない魔法属性はある?」
「もちろんあるよ。特に聖魔法は魔族で使える人はほとんどいない。」
なんか聖魔法と暗黒魔法がどうちゃらこうちゃらってルーラが言ってたな。
てかそもそも魔法はなんだ。
「それはザックでも難しいんだな。――なぁ、そもそも魔法ってなんだ?」
「魔法はこの世界を取り囲んでいる見えないエネルギーを使用して発動させる技だ。」
「見えないエネルギーがよく分からない。」
「私達も取り込んでいる魔素だよ。魔素は全ての生物が生きていくのに大切なエネルギー。魔素に魔という字がついているが、これは魔族だけのエネルギーという訳ではない。昔はマナと言われていたが、魔族の方が人間より魔素の吸収効率が高いから、魔素なんて呼び方が増えたらしい。」
「ふーん。でもそれならなんで魔法が使えない人がいたり、魔族は聖魔法が使えなかったり、人間は暗黒魔法が使えなかったりするんだ?」
「魔法が使えない人がいる大きな理由は、魔素を体内に吸収する量が少なかったり、魔素を吸収することができても、体内に留めておく事ができない人がいるからなんだ。その体質は生まれつき決まっている。逆にその素質はあるのに使えない人は、ただ単に感覚が掴めていないだけ、勉強不足なだけだ。基本、火、水、風、地属性の魔法は素質があれば誰でも習得できるんだよ。」
なるほど。
魔素を吸収してもそのまま体内を通り過ぎていくだけの人は魔法を発動出来ないのか。
「聖魔法と暗黒魔法の事だけど、魔素というエネルギーは三種類に分けることができると言われている。その三つは、精霊の力、魔神の力、聖神の力だ。――」
ん?
精霊、魔神、聖神?
え、え、え?
パワーワードすぎんか?
「ちょっとまってまって。精霊と魔神と聖神ってどゆこと? そんなのいるの?」
「精霊はいる。私達の国の南西方向にフェリーク樹海と呼ばれる森が広がっているのだが、そこに地上に顕現した精霊がすんでいるはずだよ。だが魔神と聖神の存在はまだ分からない。魔神と聖神の存在しないという人もいるのだよ。」
精霊はいるのか。
で、魔神と聖神は現界はしてないと……
または存在しないかもか……
精霊が居ちゃってるのなら魔神と聖神は居そうだ。
ほんとこの世界どうなってんだよ。
「精霊の力で発動できる魔法は、火霊魔法、水霊魔法、風霊魔法、地霊魔法の四つで、これらの総称を精霊魔法とも言う。魔神の力で発動できる魔法は暗黒魔法、そして聖神の力で発動できる魔法は聖魔法と言われている。なぜ魔神の力が魔族だけ使えて、聖神の力が人間だけに使えて、たまに例外があるのかはまだ分かっていないんだよ。」
「ふーん。なるほど? ザックは魔神と聖神いると思う?」
「いると思うよ。でないと暗黒魔法と聖魔法が成り立たないからね。」
魔術師は信じる傾向にあるのかな?
「あとそれから召喚魔法だ。これはただの魔法では発動させることが出来ない。」
「ん?」
「召喚魔法は手動の術式、つまり魔法陣が必要なのだよ。この魔法は発動時に莫大なエネルギーを必要とするため、人が持つエネルギー量じゃ足りないんだ。」
「ほーん。魔法の術式を口で言うだけじゃダメってことか?」
「そう言うことだ。召喚魔法は魔法陣と魔法術式の詠唱、それから多数の魔術師が必要だ。つまりそれぐらいの莫大なエネルギーを使うんだよ。」
「それを詠唱だけですませたりは無理なのか?」
「今は無理だな。でも確かに魔術師で召喚魔法の単純化を研究しているものがいたりする。もしかしたら何百年か経てば発見されるかもしれないな。」
「実例とかある?」
「召喚魔法ではないが、六属性の魔法では実例は山程ある。」
「あるの!?」
「昔は六属性のほとんどが魔法陣を必要としたらしい。
それを魔術師達が使い勝手のいいように消費エネルギーを減少させる研究をして成功。見事ほとんどの六属性魔法が詠唱魔法となった。」
「ほとんど? まだ魔法陣を必要とする魔法もあるのか?」
「六属性でも上位の魔法になるほど消費エネルギーが大きくなるからね。それらはまだまだ魔法陣を必要とするものがあるよ。」
「なるほどね。……無詠唱魔法はないのか?」
「存在する。詠唱魔法になったものはそれを目指しているよ。まずは詠唱の短縮からだがね。」
時が経つほど魔法は進化していっているようだ。
これはロマンがありますね。
「魔法って凄いな。先人達の努力の結晶みたいで。」
「ははは。そうだろう。君は魔法を習得するべきだ。魔法は人類の知恵が生み出した宝石だ。これ以上に価値のある宝石など存在しない。ははは。」
確かにそうかもしれない。
俺の魔法を習得したいという気持ちはさらに増幅した。
魔法(アレンの知識)
魔法(この世界を取り巻く魔素を体内に取り入れ魔力とし、発動させる。)
魔力(魔素という物質を力にする。ご飯を食べてエネルギーにするのと同意。)
魔素(昔はマナと言われていた。この世界を取り巻くエネルギー。精霊の力、魔神の力、聖神の力の三つに分けることが出来る。)
精霊の力(精霊が存在することによって発生する力。)
魔神の力(魔神が存在することによって発生する力と言われている。)
聖神の力(聖神が存在することによって発生する力と言われている。)
精霊魔法(四大元素魔法とも言い、火霊魔法、水霊魔法、風霊魔法、地霊魔法を指す。)
暗黒魔法(魔神の力によって発動される魔法と言われている。)
聖魔法(聖神の力によって発動される魔法と言われている。)
召喚魔法(莫大なエネルギーを必要とする。魔法陣、詠唱、複数の魔術師が発動に必要。)




