序章
ピピピ、ピピピ
「んぅ〜〜。」
枕に顔を沈めたまま、手探りでスマホをさがす。つかんだスマホを薄目で見ながら、親指を右にスライドさせ、アラームを消した。
「――はぁー。」
布団をどけベッドからおり、洗面所へ向かった。
バシャ、バシャ、バシャ
顔を洗い、馬鹿そうな寝起きの顔にある歯を歯ブラシで磨く。
グジュグジュグジュ ペッ。
眠い……
そして台所へ向かい朝食を作る。
バタンッ
冷蔵庫から卵と鮭の切り身をとりだす。
フライパンに火をつけ、油をぬり、そこに鮭を入れる。
適度な焦げ目をつけ取り出す。
いい香りだ。
次に、そこに卵を台所の角でわって入れる。
広げた卵を畳むようにして卵焼きを作る。
いちいち卵焼き用のフライパンなんて使わない。
洗うのが超めんどくさいからだ。
できた卵焼きを鮭と同じ皿の上にのせた。
炊飯器から冷たい米をすくいとり、茶碗につぐ。
それを電子レンジで温める。
時間は適当だ。
温めたら、食卓に料理を並べ、コップに茶をついだ。
「いただきます。」
一人で朝食を食う。
俺は如月育真。
高校二年の男子高校生だ。
ん?
なぜ一人なのかって?
暗い話になるが、俺の親はもういないのだ。
俺が小学二年の時、父と買い物の帰りに歩いていると、飲酒運転をした車が自分たちの方向へ突っ込んできた。
父は自分の身を犠牲にして俺を守ってくれた。
母は、父が亡くなった二年後に、急性の病で亡くなった。
俺ができることは親のことを忘れないで感謝し、そこの写真の前で南無阿弥陀仏するぐらいだ。
その写真には、父と母、真ん中に小さい頃の俺、そして昔飼っていた鳥が写っている。
赤色の鳥で、名前はフェルノだ。
今日は休日にしては早起きをした。早起きと言っても、八時半だが。
これから隣の島に散歩にでかける予定だ。ちょっとしたプチ日帰り旅行と言っていいかも知れない。
そこの島には有名な神社があるから、まず、そこら辺を徘徊して屋台をあさる。
友達に店から持って帰ったぐらいの、しなしなのポテトが好きと言うやつがいるが、俺には理解できない。俺は出来たてホヤホヤ、カリカリ派だ!
次に人気の蕎麦屋で蕎麦を食べる。
そして最後に、日が落ちる頃、島の裏にある浜辺にいく。
綺麗な景色が見れる浜辺だ。夕方の赤色と紫色が混同した空は圧巻で、太陽が沈むにつれ、徐々に赤色が紫色に飲み込まれていく。
まるでキャンバスに描かれた動く絵だ。
そんな景色が見れる場所は、俺だけの隠れ絶景スポット。
誰にも教えるつもりはない。
というか自分がこんなことをしてるなんて恥ずかしくて言えない。
パンッ
「ごちそうさん。」
あれから食器を洗って、家を出て、今は隣の島にいる。
計画通り島を徘徊して、日の落ちる頃、例の浜辺についた。
いつも通り特等席で空を鑑賞しようとしていたが、目の前にはよく見る顔がある。
「よぉ育真!」
話しかけてきたのは、少し薄く茶色がかった髪色の地毛が風で靡いている、犬顔のイケメン。
身長は181センチの高身長で俺より少し高いぐらいだ。
よく身長で勝負するから覚えている。
前まで俺の方が少し高かったのに……
「げっ、亮……」
そう、こいつの名前は亮。
友達だ。
小学生からの付き合いで、信頼できるやつである。
昨日は彼女の誕生日プレゼントを買いに行くからというクソクソクソ理由で、買い物に付き合わされた。
今日もこいつにあったから、一週間毎日会っていることになってしまった……
俺の方が彼女より彼女していないか?
それはさておき、今、亮の隣には女性の姿が伺える。
さぁ、どうゆう事かな?
「なんだよ『げっ』って。あ、紹介するよ昨日言ってたけど、この人が俺の彼女の三玖だ。」
腹が立つぐらいの満面の笑みで彼女を紹介してきた。
亮のお隣の彼女さんはこちらも若干茶色がかっている髪色だ。
綺麗なロングの髪が風で靡いている。
肌は色白で、大きな目がある。身長は160センチ弱と言った所で美人だ。
うむ。
良い身長差だ。
亮の好きそうな雰囲気だ。
「あー。おめでとー。お似合いだよー。(棒)」
「いやぁ……。それほどでも……」
俺の言葉を聞いた亮と彼女が目を合わせ、なんか照れている。
くそ、このバカップルめ!
「なんでバカップルはここに?」
亮に彼女がいることより、こいつらが俺の隠れスポットにいることの方が許せない。
「バカップルじゃないよ……」
またお互い目を合わせて照れあっている。
こいつらにとってバカップルは褒め言葉か……
まぁそこはどうでもいい。
「なんでここにいるんだ?」
「ここいいよな。最近見つけてさ、ここの夕焼けすげー綺麗なんだわ。」
「チッ 、もう隠れスポットじゃねーのか……」
あぁ…… 俺の隠れ絶景スポットが……
「なんか言ったか?」
「いや何も、日が沈むまで居させて。」
「あぁもちろん。みんなの場所だからな。」
「チッ。」
「ん?てか育真はなんで?」
「いや、たまにここに来るんだよ。」
浜辺の階段に腰を下ろした。亮の彼女は浜辺で貝殻を拾っている。
「そーなのか、確かにここ落ち着くもんな。」
「あぁ 落ち着く。」
「てか、なんで育真は彼女つくらないんだ?お前、運動できて頭も良くてイケメンじゃん。」
皮肉かおい。
まぁ確かに勉強も運動もまぁまぁできる。
イケメンかは知らないが。
「つくれねーんだよ。」
「そーか? あ、でも原因があるとしたらたまに目つきがやばいとかか?」
「知らん。」
多少自覚が無いことは無い。寝起きに鏡を見ると、やばい時がある。
「話し変わるけど、俺今から誕プレ渡すんよね。」
「は?」
うん。
めちゃくちゃ話題変わったな。
というか、まさかの今日が彼女の誕生日だったとは、 前日に誕プレを買いに行くとはやるなこいつ・・・
「もう薄暗いし渡して来るわ!」
スキップしながら彼女の元へ向かった。
「大丈夫かあいつ……」
少し心配になりながらも少し横になった。
俺は彼女について考えた。
高校生の内に彼女と付き合うのは、ただ自分も相手も傷つくだけだと思う。
本当の大人の恋愛もそうなのかもしれないが。
大人じゃないので分からないが。
喧嘩は、小さな事がいつの間にか大きな事に変貌し、怒らなくていいことに怒ってしまう。
ただ自分はそうして欲しいと素直に伝えるだけでいいのに、いつの間にかに遠回りをしている。
過去をえぐり、現在をえぐり、心をえぐる。
そしてしょうもない理由で別れるものだ。
高校生の恋愛のほとんどは永遠じゃない。
だから俺は、付き合った人達を見ると少し悲しくなる。
楽しければ楽しい程、最後の悲しみは大きい。
そんな目で見てしまう俺は、もう彼女なんか出来ないだろう。
そんな事を思っているといつの間にか眠ってしまった。
目が覚めた。
寝てから何分経ったんだろう。周りは真っ暗で人の気配はない。時計を見た。
「一時間も寝てたのか あいつらおいて帰りやがって。」
帰ろうとする時、
「キャー。」
近くのあかりがこもる小屋から聞こえた。
何がなんだか分からず、一瞬思考が停止したが、とりあえず俺は小屋に向かって走った。
そこには亮とその彼女が倒れている姿だった。まだ息はある。
「亮起きろ!大丈夫か!」
「っ、育真か、気絶してた、 三玖は大丈夫か?」
「あぁまだ息がある。 でも少し傷が深い
早く逃げるぞこんなとこ。 早く俺の肩を持て。」
俺は左右のこいつらを支えて小屋を出ようとした。
「他にも嫌がったか。」
低い男の声が聞こえた。
「お前がやったのかっ。」
「あぁ。」
黒のスーツを着た男だ。黒のネクタイで腰にはナイフを身につけている。
「そーかよ お前ら早く逃げろ。」
「いやお前をおいていけ……」
「いいから早く行け。」
「でも……」
「彼女を連れて行け。何度も言わせるな。」
「クソ。ごめん。早くお前も逃げろよ!」
「君なんかが僕の相手をするのかい?他国に持ってくだけだったのに 大事になりそうだから君達を殺さないといけなくなったじゃないか。」
「殺しをしたいからわざと逃がしてやってるくせに。」
「ハハハ 面白い事を言うね。 正解だよっっ」
素早い蹴りが横腹に飛んできた。
俺は父からよく格闘技術を学んでいた。
俺の父は俺を武道の道にでも進めるつもりだったのだろうか……
まぁ、今は関係ない。
「あまり舐めるな。」
蹴りを左腕で受け止めた直後に、俺は相手に蹴りを返した。
それを相手も受け止める。
「以外とやるじゃないか。ははは。」
「一応、父さんから格闘技術を習っていたから。俺の大切な人達をこれ以上は奪わせない。」
「ははははは。ガキ風情が何を言う。君には少し早いよ。」
また蹴りが飛んできた。
受けた腕が痛い。
さっきの蹴りは様子見で、これが本当の蹴りだろう。
立て続けにパンチが飛んでくる。
俺は瞬時に交わした。
だが連続してくる攻撃で、反撃が出来ない。
「そんな力で大切な人を守りたいと言ったのかい?」
これは挑発だろう。
俺は無視をする。
だがこのまま受け身のままだと拉致があかない。
一発賭けに出ることにした。
さっきまで距離をとっていたが、詰めてみることにした。
ドンッ
一発相手の横腹に俺の拳が入った。
その瞬間に相手の腰にあるサバイバルナイフを奪った。
「君ちょっと痛いよ。ナイフ取られちゃったのは失敗だね。でもごめんね。」
そう言うとジャケットの中から拳銃を取り出して、俺に銃口を向けた。
俺は咄嗟の判断で相手との距離を急いで詰めた。
パーン
銃声が鳴り響いた。
俺の胸にあてた手が赤色に染まっている。
だが、俺が握っていたナイフは相手の胸に刺さっていた。
お互いがよろめき、地面に倒れた。
「君しぶといね。」
「うるさい。拳銃はないわ。」
胸が熱い。
凄く痛い。
「悪人と一緒にあの世なんて最悪だ。」
「ははは。僕はこんな生き方しかできないんだよ。」
「どうゆう事だ?」
「この道しか俺の前にひかれてなかっただけだよ。」
「よく分からない。」
「まぁ、僕は君と死ねてよかった。」
彼はゆっくり目をつぶった。
「意味わかんねぇよ……」
胸は熱いがなんだか寒い。
死に近づいていると感じられる。
「これが死か。あいつら、俺の分まで……生きろ……よ……」
意識が遠くなっていき、俺は死んだ。
カリカリポテト派のアンケートをとります。
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