第91話【絶望が始まりますか?】
「なんっ…で?」
神凪楓がその場に倒れる。何が起きたのか、状況が全く掴めない玄輝たちはその場で硬直してしまう。
「フフフ、アッハッハッハ…!!」
東雲桜が余りにも滑稽な表情を浮かべている西村駿たちを見ると、指を差しながら高笑いをしていた。
「し、東雲? これはどういう――」
「西村くん、まだ分からないの? 黒霧は死んでいない。ここに生きているんだよ?」
冗談は止してくれと西村駿は辺りを見渡して、黒霧の姿を見つけようとするがそれらしきものなど見つかるはずもない。
「どこを見てるの? 西村くんとお喋りをしているこのわたしが――"黒霧"なんだよ?」
頭が上手く回らない。倒れている神凪楓と、自身を黒霧だと名乗る桜。状況が全く掴めず、玄輝たちは口を動かすことすら出来なかった。
「何を…言ってるんだ? 黒霧はさっき倒しただろ?」
「フフフ…西村くんたちが必死に戦っていたのは"偽物"。あんな簡単に黒霧を倒せるわけないでしょ?」
精一杯に声を出して黒霧だと名乗る桜を否定する駿に、東雲桜は更に言葉を付け加えて、
「七つの大罪の悪魔が西村くんの周りに多かったのも、西村くんたちの邪魔をしたのも…ぜーんぶ、わたしのせいなんだよ?」
「何故だ? 何故あんなことをしたんだ? 東雲、お前はそんなことをするやつじゃないだろ? 誰かに操られているのか?」
現実を突きつけられても尚否定をし続ける西村駿に対して、東雲桜はトドメを刺すかのように、
「二年一組の教室にある楓ちゃんと玄輝くんの机を破壊して、掲示板に警告の貼紙を貼って、ステージ発表のケーブルを切断させた。これでどう?」
現実世界で起きていた数々の妨害を全て口にした。この話は東雲桜に一切した覚えはないため、西村駿は認めたくもない現実を無理やり認めるはめになる。
「そうそうその顔だよ! わたしがずっと見たかったのは!」
絶望に浸る駿の顔を見た桜は歓喜しながら、近くで倒れている神凪楓を見て、
「みんなー? 助けなくていいの? "仲間"が死んじゃうよ?」
愉悦感に体を満たされている桜に向けて、アメがドロップキックを放ちながら
「ザコども! ボーっとしてんじゃねぇ!! さっさとそこのやつを助けろぉ!」
動くように指示をしたため、木村玄輝は倒れている神凪楓を抱きかかえると、駿たちの元へ寝かせた。
「楓、どうして再生を使わないんだ…!?」
「使え…ないの…よっ」
腹部の切り傷から大量の血液が絶え間なく溢れ続けている。再生が何故使用できないのか、その疑問に対して東雲桜はアメを吹き飛ばしながら、
「わたしの能力は夢殺し。このユメノ世界で使える能力は全て効果を失ってしまう。だから、わたしの攻撃を受ければ再生も効果がなくなるってことだよ」
愉悦に浸りつつも、そう説明をした。
「西村くんたちが絶望する情報が沢山あるから…一つずつ教えてあげるね」
そして、東雲桜はニヤッと不敵な笑みを浮かべ片手を上に向けると、
「"ユメノ使者 "」
自身の背後に先ほどの化け物を呼び出した。ユメノ使者を呼び出せるということは、玄輝たちと同様にユメ人だったという証拠。これには木村玄輝たちも息を呑んだ。
「まず一つ目、このユメノ世界の主導権はわたしが握っている。それはつまり、現実世界に帰るにはわたしを倒さないといけない。さて問題です、神凪楓ちゃんが助かる可能性は何パーセントでしょう?」
【ケッケッケッ…ほんとうにオマエは趣味が悪いぜ】
東雲桜に怪我を負わされた神凪楓を、このまま放置していればいずれは出血死する。再生が使えない現状で楓を助けるためには、現実世界へと一刻も早く戻らなければならない。
「正解はゼロでしたー! 何故なら西村くんたちを現実世界に帰すつもりはないから!」
【おまえたち…! そんなことはぼくが許さないぞ!】
レヴィアタンが尾びれによる薙ぎ払いを繰り出すと、桜のユメノ使者が巨大な鎌を取り出して、尾びれを一刀両断する。
【うわっ…!?】
夢殺しの効果。その影響でレヴィアタンの半分より下が光の塵へと変化をし、再生されない状態となってしまう。
「ありがとう、"ポベートール"」
【ケケッ…いいってことよ】
――打つ手なし。玄輝たちの頭の中でそんな言葉が過った。想像していた黒霧の強さとは桁違いの強さを誇っている。
「私は、私は知っていたのに…!」
「智花ちゃん…? 知っていたって…」
内宮智花はその回答をするかのように、一枚の写真を創造して皆の前に差し出した。そこに写っていたのは、紛れもない真実。
「桜ちゃんが、貼紙を貼っている姿が写ってる…」
黒百合玲子から貰った写真。そこに写っていたのは東雲桜の犯行現場だった。智花は無人島へ来る前にこれを受け取り、どうしようかと常に頭を悩ませていたのだ。
「嘘、やろ? ならほんまに桜が、生徒会長が…黒霧だったんか?」
「オレたちは…仲間じゃなかったのかよ!?」
そこでようやく全員が認め、改めて東雲桜の顔を見る。敵意を向けられたことで、東雲桜は嬉しくて仕方ないのか、笑いが込み上げるのを口で押さえていた。
「智花ちゃん、残念だったね? もし、そのことを少しでも話していれば…わたしの正体にいち早く気付くことが出来たのに…」
「信じたくなかった…! あの桜ちゃんが黒霧だったなんて真実!!」
「でもね、わたしは智花ちゃんに感謝をしているんだよ? 邪魔者が入らないこんなとびっきりの無人島で、黒霧のわたしを連れてきてくれたこと。おかげでこうやって西村くんたちを始末することが出来るからね…!」
智花は裏切られたことと、自身の責任という二つの感情がぶつかり合い、涙を流しながらその場に崩れ落ちる。
【玄輝よ、我は戦うぞ】
「ベルフェゴール…」
【あの小娘を助けるにはそれしかない】
ベルフェゴールが剣を構えたことで、ユメノ使者たちがユメ人を守るようにして、黒霧の前に立ちはだかった。
「それじゃあ、二つ目の話をしてあげるよ。西村くんたちが倒した七つの大罪の悪魔たちってね――」
【黙れ】
ベルフェゴールが東雲桜に言わせまいと斬りかかる。だがベルフェゴールの姿が一瞬にして光に包まれると、
「――西村くんたち自身なんだよ」
異形な風貌をしていたユメノ使者たちが、ユメ人そっくりの姿へと変わってしまった。
【思い出した、ぞ】
木村玄輝の姿をしたベルフェゴールが剣をその場に落として、玄輝と向かい合った。他のレヴィアタン、アスモデウス、ルシファー、マモン、サタン、ベルゼブブも駿たちの前に立つ。
【我らは…。いや、おれらはお前たちだったんだ】
「待ってくれ…!? 一体どういうことだ!」
【ケッケッケ、ソイツらはオマエたちが歩むはずだった大罪の成れの果てなのさ】
ベルフェゴールたちがお互いに顔を合わせたことがあったのも、玄輝たちの体でなければ奪い取れないのも当たり前。何故なら、二年一組で共に過ごしてきた木村玄輝たち自身なのだから。それを忘れてしまっていたのは、七つの大罪の象徴として長い間生きてきてしまったからだろう。
【ソイツらは七つの大罪なんかじゃない。人間性を失って、罪に腐れ落ちた偽りの悪魔なのさ】
「本当に面白かったよ…! 西村くんたちが自分自身と殺し合う姿…! 最高だったね!」
顔も声も仕草も、何一つ変わりない。パートナーとして共に戦ってきた相手が本当は自分だった。そんな真実を打ち明けられてしまえば、どう言葉を掛ければいいのかが分からない。
「お前はどうして、悪魔なんかに……」
【あいつの言っていた通りだ。毎日がつまらなくて、何もしたくなくて…怠惰な自分が嫌になって、気が付いたらおれは人間じゃなくなっていた】
【ケッケッケッ…! オレがどうしようもないお前たちをこの世界まで導いてやったんだ。感謝するんだな】
金田信之は【妬んでばかりいた】。鈴見優菜は【愛を求めてばかりいた】。西村駿は【周りを見下してばかりいた】。白澤来は【欲を出してばかりいた】。波川吹は【怒りを曝け出していた】。内宮智花は【食べてばかりいた】。全員がこれらを原因に悪魔と化していたのだ。
【でも安心したよ。この世界のおれは楽しそうで、毎日を生き生きとしていてな】
「おれは……」
【悪かったな。お前の体を奪い取ろうとして】
その言葉に木村玄輝は自然と涙を溢してしまう。
語られた真実があまりにも残酷で、可哀想だと感じてしまったからだ。自分はこうして現在まで生きていられるが、どこかで知らない世界で悲惨な目に遭っている自分がいる。そう考えるだけでも胸が苦しくなった。
【良かったよ、私がお父さんと仲良く出来ていて】
「うっ…うあぁっ…」
【妹と仲良くしろよ。たった一人の妹なんだからな】
「くそっ、くそぉっ!!」
全員、立つ気力すらなかった。
哀れな自分を目の前に泣き崩れてしまっているだけ。今まで戦って否定をしてきたのは悪魔ではない、もう一人の自分自身だったのだ。
【ケッケッ…自身の正体に気が付いたオマエたちは、跡形もなくこの世界から消える。悪魔の歳のまま人間に戻れば体が耐え切れないからなぁ…!】
悪魔となっていたもう一人の自分たちが半透明になり、光の塵へと変わっていく。それを目の当たりにした玄輝は再生を使用するために手をかざそうとしたが
【無駄だ、再生でおれたちをこの世界に留めることは出来ない】
「――!」
ユメノ使者である自身の相棒を失うことの辛さは想像以上だった。大して会話は交わしていなかったが、共に戦ってきたことは紛れもない事実だ。
【お前だけは生き残ってくれ】
「……あんなのをどうやって相手にすれば――」
【最後まで奇跡を信じろ。お前には守るべきヤツがいるだろ】
そう言ってもう一人の木村玄輝は、必死に腹部を押さえながら、荒い呼吸を繰り返す神凪楓を見る。
【おれは楓を守れなかった。だから――】
もう一人の自分たちが、跡形もなくその場から光の塵となり消えてしまうと、
【お前は守ってやってくれ】
何も出来なかった自分への悔しさに、地面に何度も拳を叩き付けた。
「あぁー、さいっっこうだね! 人間の絶望する表情と泣き叫ぶ姿ほど、思考なものはないよ!」
「おいザコ、泣いてんじゃねぇよ! お前はアイツの想いを受け継いでやる気はないのか…!?」
「しゅん立って…! たたかわないと!」
アメとイトナが木村玄輝と西村駿を立ち上がらせようとするが、全く動く気配がない。この場で立ち上がらなければ、敗北を認めているのと一緒だ。
「まだまだあるよー! 続いてのお話は~…そこの二人について」
ノリノリな東雲桜がイトナとアメのことを指差す。
「チッ…! 今度は何をするつもりだ…!?」
「そんな焦らなくても、ちゃんと話してあげるって!」
東雲桜は一枚の写真を創造すると、二人にニヤニヤしながら見せつける。
「神凪楓ちゃん、この写真に写っているものは何だっけ?」
「……」
「あっれー? 結構厳しそうだね?」
口すら開けない状態の楓を見て「ま、いっか!」と、二人にこの写真の事をこう話した。
「この写真に写っている黒い塊はね。あなたたちなんだよ?」
「は? そんな気持ち悪いものがワタシたちなわけがないだろ?」
【ケケッ…なら聞かせてもらうが、オマエたちは自分たちが何者なのか知っているの?】
アメはイトナの顔を見て、少しだけ考える。勿論、ベストアンサーなどはない。イトナを守らなければならないということも、イトナのことを自分が知っていることも、そのすべてに繋がる大きな根拠などはないのだ。
【分からないなら、教えてやるよ。オマエたちの本当の名前は"ナイトメア"。オレの住んでいた世界で、秘密の最終兵器として隠されていた代物なんだよ】
「ナイト、メア…?」
「ぐぅぅッ!? 頭が…!」
イトナとアメは頭に激痛が走ったことで、両手で頭を抱えながらその場に倒れてしまう。
【ナイトメアは"あっちの世界"が消えた衝撃で分裂しちまってなぁ? この世界にやってきたときは、双子になっていたのさ】
「そして真実を知った時、ナイトメアは一つになるんだよ」
アメとイトナの体が宙に浮くと、雷光が辺りに走り、徐々に渦が中心に出来ていく。アメ、イトナは抵抗もできないままその渦に吸い込まれていってしまう。
「アメッ!」
「来るんじゃ、ねぇ…!!」
玄輝は助け出そうとアメに手を伸ばすが、それを自ら振り払った。
「テメェは生き残れ…! 這いつくばってでも、生き残れ!」
「アメ…!」
駿もイトナを助けようとするが、全く手を掴めないままのようだ。
「そしてあのクソ野郎の顔面に一発…! ぶちかましてやれ!!」
「待ってくれ! お前まで消えたらおれは――」
「いつまでもへなへなしてんじゃねぇ! お前はワタシと約束したんだ! 絶対に約束を守れ…!」
イトナとアメの体が混ざり合っていくその最中に、
「分かったな!? "木村玄輝"っ!!」
初めて玄輝の前を呼ぶと、清々しいほどの笑みを浮かべてその場からイトナと共に消滅した。
「イトナぁぁぁぁぁっっ!!!」
西村駿が悲痛の叫びをあげ、両拳を強く握りながらその場でひたすらに悔しさ交じりに雄叫びを上げる。
【ケケッ! これでナイトメアを使える…! よく見ておけよ!】
黒い塊がポベートールの元に渡ると、それを天に掲げるようにして
【もう一度…! 災厄の日を引き起こした者たちよ! ここに甦れ…!】
そう高らかに声を上げる。
「へぇー…これでこの世界を創り直せるんだね」
【その通り。オマエの望んだとおり、この世界を破壊して創り直せるのさ】
空間に強大な歪みが発生する。一体ナイトメアという塊で何が出来るのか、この後何が起こるのかは数秒も経たずに明白した。
「……何だ?」
煙の中に浮かび上がる四人の人影。その人影を見て、玄輝たちは目を凝らしていると、
【ケケケッ…! 成功だ!】
前方に桁違いの風格を漂わせる四人の女性が立っていた。
「…なるほど、ポベートール。ナイトメアの使用に成功したのだな?」
【ケケッ…"龍神様"、そうでございます】
ナイトメア。それはもう一つの世界で起きた災厄の日の首謀者である龍神という神が隠し持っていた最終兵器。もし、自分たちが負けてしまった時、これを使用すればもう一度悪夢の象徴である神や悪魔を甦らせることが出来るという優れモノだ。
【この人間が復活に協力してくれました】
「ふむ、貴様が協力をしてくれたのだな。感謝をする」
「…ポベートール、この人たちは本当に世界を壊してくれるの?」
桜が疑うように龍神のことを見つめる。すると、その近くに立っている制服を着た女子高校生が東雲桜に声を掛けた。
「君の想像以上の力をボクたちは持っているんだよ? 桜ちゃん」
「どうしてわたしの名前を…?」
【オレたちの住んでいた世界にも、またもう一人のオマエがいたんだよ。でもまぁ…その時のオマエは敵だったけどな】
――絶望だ。ナイトメアを使用され、ユメノ使者を失った自分たちに勝ち目などあるはずがない。逃げようにも逃げられないこの状況、全員がその場で動くことすら出来なかった。
【奮闘したオマエたちにも紹介してやろう。この方たちが、世界を崩壊させる力を持つ"四色の孔雀"だ】
七つの大罪のトップに君臨する"ルシファー"、神である"龍神"、人間を超越した力を持つ"めぐみ"、大妖怪である空亡。どれも今まで出会ってきた者たちと比べ物にならないほどの威圧感だった。
「ポベートール、こいつらはやっちまってもいいんだろう?」
【ケケッ…勿論ですともルシファー様。ナイトメアを回収できたので、あの者たちは既に用済みです】
四色の孔雀と呼ばれる存在たちは、玄輝たちを始末しようと徐々に歩み寄る。
「くそぉ…っ!」
「やめておきな。あたしらは楽にしてあげようとしているんだ」
西村駿が迫りくるルシファーに剣を振るったが、触れる前に散り散りに粉砕してしまう。創造破壊ではない、気迫だけでその剣を消してしまったのだ。
「――地獄へ堕ちな」
七つの大罪が玄輝たちに手の平を向けると、漫画やアニメでしか目にしたことのない魔方陣が展開され、
「やめっ…てぇ…!」
神凪楓の声も虚しく、辺りで大爆発が巻き起こった。
「わたしたちの勝ちだね。完全勝利だよ」
煙が辺りに立ち込める。ルシファーたちは「他愛のない」と、背を向けて、桜たちの元へ戻ろうとした時、
「――やはり、甘く見過ぎていたか」
煙の中から聞こえるはずのない声が耳に入り、再び背後を振り返る。
「……その声は」
【おいおい…どうしてお前たちがここにいるんだ?】
周囲を囲むようにして創られていた壁はボロボロと崩壊して、中から無傷の玄輝たちが姿を現す。玄輝たち自身も何が起きたのか分からなかったが
【"四色の蓮"、オマエたちがここに姿を現すのは可笑しいだろう?】
雨空霰、月影村正、雨氷雫、朧絢の四人が玄輝たちの前に立っていたことで、すぐに理解が出来た。
「雫から全て教えてもらった。現実世界では木村たちが命を狙われ、ユメノ世界では黒霧と戦っているってことをな」
「…どうしてそれを教えられたの? 携帯は圏外で使えないし、何よりも雫さん? あなたは外の敵と戦うのに手が離せないはずだよね」
霰はルシファーと、村正はめぐみと、絢は空亡と睨み合い、雨氷雫は龍神と懐かしむように視線を交わし合いながら、
「ユメノ世界で霰たちに教えただけ。外の敵はもう片付けたから」
そう答える。雫の言葉を聞いた東雲桜は「侮っていた」と頬を引きつらせているようだった。
「だが、貴様らはどうするつもりだ? この数を相手に出来るとでも?」
「相手に出来るかどうかじゃない。やるしかないんだよ」
龍神の問いに村正が返答すると、四人の創造力が高まり、
「木村、俺はお前にこう言った。黒霧の相手は任せると」
雨氷雫は二丁拳銃を、月影村正は二刀流の剣を、朧絢は紅色の刀を、雨空霰はナイフを創造する。
「……そして、こうも言ったはずだ。もしお前たちに越えられない壁が立ち塞がった時は――」
空亡の刀と絢の刀が、村正の二本の剣とめぐみの防衛壁が、ルシファーの剣と霰のナイフが、雫の弾丸と龍神の雷がそれぞれぶつかり合い、
「――俺たちがその壁を壊してやるってな」
ユメノ世界を揺るがした。




