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家族仲良し大作戦、第二段階始動!


「妹っていっても、話したこともないのよ。」

「僕もないです。」

「実は私も。」

「「「……」」」


「お父様!お母様!教えてください!」

「もちろんだ!」

「ええ!いいわよ!」


早速行き詰ったので、両親に泣きつく。

ていうか、執事とメイドの二人なら、多少は接するものじゃないの?


「今まで二人は会ったことがなかったか?」

「そういえばそうね。接する機会も多いでしょう。」


あ、やっぱりお父様とお母様もそう思われるのですね。


「とはいっても、お嬢様と妹君のお部屋は遠いでしょう。」

「それをいうなら旦那様方とも遠いのです、兄上。」

「「う!!」」


なるほど、(物理的に)遠かったのか。

まあ、そうじゃないとわたくしと妹はもっと頻繁に会うだろうし。

そうでもしたら昔のわたくしの癇癪に巻き込まれただろう。

安全面に配慮した部屋選び。


「ええと、イヴァンカ・アロー四歳、髪はピンクブロンド眼は金色」

「「「それぐらいは知っています。」」」

「…誰にでも優しい可愛い物好きな女の子だ。」

「見てないところで拗らしたりは?」

「聞いた我儘で一番高い物は?」

「拗れらせてはいないはずよ。一番高かったのは宝石沢山のドレス。」

「「教育は?」」

「「………」」

「まずは会って話してみましょうか。」

「そうね。」


再び行き詰まりを感じたので、直接会って確かめることになった。

両親が引き離していたので、わたくしたちの妹の内面に関しては全くの未知数。

慎重に行きたいところ。


「まず私が行くのです。」

「…お前はちょっとしたミスをしたりするからな。心配だ。」

「ここは女の私が行った方がいいのです。」

「まあ、そうだな。行ってこい。」

「行ってきます!」


セフィドが飛び出していった。


「廊下走るなよ~。」


セヤの声に「は~い。」と返答が来る。

というか足音がしなかったのに結構遠くから声が聞こえた。

静かで素早いとか羨ましい。


「どうしたらあんなに足音を出さずに動けるのかしら。」

「狩りの技術ですので。お嬢様、お茶どうぞ。」

「あらいつの間に。ありがとう。」

「旦那様と奥様もどうぞ。」

「切り替え早いな。」


それがセヤですから。

切り替えの早さならセフィドも同じだけれど。


「で、もっと何か情報はありませんか?」

「具体的に何の情報が欲しいんだ?」

「趣味趣向、家来との関係、友人または仲の良い親戚。」

「うむ…」


考え込むお父様。

溺愛する愛娘の情報なのに悩むのか…


「好きな色はピンク。好きな装飾はレース、フリル、リボン。」

「女の子を絵にかいたようですね、」

「メイドや執事、下女や下男からも悪いことは聞いていない。」

「令嬢の鏡のようね。」

「親戚とは会わせていないし友人もいない。」

「お嬢様もですか?」

「ええそうね。」


しかしここまでいったら、やっぱり思う。


「すがすがしいほど上辺の情報ですね。」

「内面とか性格とかがぼやけまくってるわね。」

「そんなんだから拗れるんです。」

「「ぐっ!」」


ジト目でお父様を見るセヤ。

ダメージを受けたように声をもらすお父様とお母様。

流石に庇えないけど。もうちょっと性格把握とか…


「兄上―!」

「ひゃあ!」

「ああ、またです!すいませんお嬢様!」

「だ、大丈夫よ。」


急に扉が開いてセフィドが叫ぶ。

驚いて悲鳴をあげてしまい、セフィドが焦って謝る。


「で、どうだった妹よ。」


あくまで冷静なセヤ。

慣れた様子で説明を求める。


「妹君は、滅茶苦茶外面がいいと思うのです。内面は恐らく拗れてそうなのです。」

「旦那様方、学習しましょう。」

「「…はい。」」



悲報:妹も拗れている。



一体どうしてこの短い時間で把握したのだろう?

時計は見ていないけど、恐らく十分ぐらいしか経っていない。


「なんで拗れていると思ったのかしら?」


お母様がセフィドに聞く。

セフィドはこの質問は当然予想していたのだろう。

迷いなく答える。


「部屋の本が、こうして家族はまた一緒に暮らしました。めでたしめでたし。というものが半数。

悪者を倒して一家は幸せに暮らしましたが五分の一。

姉と妹は仲良く助け合って暮らしましたが五分の一。

本当の家族に引き取られ幸せになりましたが残りだったのです。」


「思ってたより拗れてますね。」

「ねえ、最後のやつ、もしかしてわたくしたち死んでいない?」

「牢屋の中なのです。」

「ダメじゃねえか。」


まさかのわたくしたち牢屋行き予定?

十分の一だけよね?その本。

隠されていて半分そうだったとかなら怖すぎる。

お父様とお母様もちょっと頬が引きつっているし。


「他は何かあったか?」


怖いもの知らずなのかセヤはまだセフィドに問う。

セフィドが『もうない』と言ってくれるのに期待し…


「あるのです。」


一瞬で希望は儚く散った。


「おそらくピンクじゃなくって赤が好きなのです。だから色の近いピンクが多いのだと思います。」

「…なぜだ。」


今度はお父様が尋ねる。


「お嬢様の色だからですね。明るいピンクより明度の低いピンクが多いのは、出来るだけ赤に近づけているからでしょう。

…赤にしないあたりが私が拗れていると思った点なのです。」


本当に拗れているようだった。

わたくしが妹と仲良しで、『お姉さまの色だから!』だったら、微笑ましい姉妹の図だろう。


だがしかし!わたくしと妹は話したことすらない!

すると微笑ましい姉妹の図は一転、

妹に興味ない姉と姉の愛情を求めすぎる妹の歪な姉妹の図に変わる。

これのどこが拗れていないといえるんだ…。


とうとう頭を抱えるお父様(後ろに自己嫌悪の文字が見える)。

ふらついてしまうお母様(後ろに自己k…以下略)


「取り合えずお嬢様、妹君と仲良くなってください。」

「この状況で!?わたくしに突っ込めというの!?」

「兄上、ここは旦那様方が行くのではないのですか?」


セヤはわたくしをあの歪な図の中に突っ込まそうとする。

セフィドは親の出番じゃないのかと首を傾げる。


「よく考えろ。妹よ。」



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