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お嬢様の初恋

作者: chamu

初投稿です。

執事とお嬢様という設定が好きで書かせていただきました。

拙い文ですが、よろしくお願いします。

私の名前はフィーネ・コールウェル。

コールウェル公爵家の長女で今年で15歳になりましたの。

お父様は宰相の職に就いていて日々お忙しそうにされていて、お母様はそんなお父様を支えるべく領主の仕事をされているの。

お二人とも私の自慢の両親ですわ!

私も将来は両親に恥じない立派な淑女になるべく日々勉学に励んでおりますの。

でも、少し身体を動かすのは苦手でダンスだけは上達しないのはここだけの話ですわよ?


「お嬢様は他の事は卒なくこなされるのにダンスだけは上達されませんね。」


今、ここだけの話って言ったのにも関わらず

さらっと私が気にしている事を言ってくるこの失礼な者の紹介もしなければなりませんわね。


「お黙りなさいウィル。この失礼執事。私も自分の事だから分かっているわ。」


そう主人に向かって平気で失礼な発言をしてくるこの青年は私の執事のウィル。


私が5歳の時に執事見習いとしてやって来たの。

私よりも3歳年上でこの国では珍しい黒髪で赤みの強い琥珀色の目をしていて少しばかり見目が…認めたくないけど整っている顔をしているわ。


「おぉ怖い。淑女の台詞とは思えませんね。」


わざとらしく肩を竦めてまた失礼な事を言い出したわ。


「ウィルも主人に言う台詞ではないわよ。」


ここでまた感情任せに発言しては主人としての威厳がなくなるわ。うん。よく耐えたと思うの。


「おや?今日は随分とお淑やかな返答ですね。」

「私だって成長するのよウィル。」


そういうと生温かい目で微笑まれた。

いつまでも子供扱いするんだから。

いつになったら淑女として扱ってくれるのかしら?

ウィルとは5歳からの付き合いだし妹のような困ったお嬢様だと思われてるわよね。

そりゃ…私少し前まで両親に口を揃えて

「うちのフィーは本当にお転婆だ(わ)」

と何度言わせたことか


好奇心旺盛な私は勉強も好きだけど

屋敷の中を探検するのも好きで

広すぎる屋敷の中で何度迷子になったことか


庭の池にも落ちた事があったわね

ウィルが慌てて引き上げてくれたっけ


木登りして降りられなくて大泣きしてウィルを呼んだこともあったわね


階段の手すりを滑り降りて壺を割ったりも…


あぁ…数々の私の失敗を片時も離れず見ていたウィルからしたら、完璧な淑女なんて遠いわね。


「お嬢様、遠い目をされてどうしたんですか?」

「ウィルにはかっこ悪い姿しか見せていないと思っていたのよ。」


思わずため息が出てしまったのも減点ね。

でも、ウィルの前だからいいのよ。


「完璧な人間なんていやしませんよ。お屋敷におられる間くらいわ、いつものお嬢様で居てください。そんなお嬢様をお支えするのが僕の仕事ですから。」


そんな事を笑顔で言われたら甘えてしまうわ。


「ウィルがそうやって私を甘やかすから淑女への道が遠ざかってる気がするわ。」


ウィルは失礼な事を言う割に私にとことん甘い。


「そんなことありません。

お嬢様は外ではしっかりなさっておられますよ。

旦那様も奥様もあのお転婆娘が成長したと感慨深くお話されていたではありませんか。」


ほら、言ってるそばから甘やかす。


「そうかしら?確かに昔より落ち着いたとは思うわ。

でも、今度のデビュタントで本格的に淑女としてデビューするのよ。

不安だわ。ダンスも苦手だし…。」


そう…私が最初にダンスの話をしたのは来週デビュタントする夜会で人前でダンスを披露するからなの


「お嬢様…」

「そんな残念そうな子を見る目で見ないでちょうだい。

どうしたら人並みに踊れるようになるのかしら」

「では、夜会まで僕がお嬢様のダンスの練習にお付き合いしますよ。

お嬢様の憂いが晴れるよう尽力します。」

「ウィルはダンス踊ったことないでしょ?」

「お嬢様こう見えて執事である身ですが、公爵家の執事たるもの色々な教養は身につけているので人並みに踊れるのですよ?」

「知らなかったわ。

悪あがきかもしれないけど、よろしく頼むわねウィル」

「はい。お嬢様。」


あぁ、またそんな甘い笑顔を私に向けるんだから。



その日からウィルとの猛特訓が始まった。


「お嬢様、もっと身を預けて下さっても大丈夫ですよ」

「どうも、異性と身体をくっつける事に抵抗があるの」

「お嬢様は異性との交流をあまりされませんしね。」

「違うのよウィル。

交流したくても男性側が寄って来ないのよ。

私に魅力がないのかしらね。」


実際そうなのだ。

お茶会に行っても目は合うのに寄ってきてくれないのだ。

目が合って顔が赤くなったと思ったら、直ぐに青ざめて目をそらして何処かへ行ってしまうのよね。

一緒にお茶会に出席していた親友のマリィに相談したら


「貴方の番犬の圧が凄いのよ」


なんて意味のわからないことを言っていたわ

私、犬なんて飼っていないわよ。

と返事をしたら生温かい目をされた。

なんでなの?


「フィーは魅力的だから番犬の目が届かない夜会となればダンスの誘いが殺到するに違いないから気にしなくていいわよ。」


と謎の励ましをされた。

魅力的なのに今は駄目だなんて!

と嘆いていたのを一緒に茶会に連れて行ったウィルに愚痴をこぼしたのは記憶に新しいわね。


「お嬢様に魅力がないなんてありえませんよ。」

「え?」


回想してい少しボーッとしていた

ウィルの声にはっとして顔をあげたら

いつものウィルじゃない真剣な顔をしたウィルと目が合った


「お嬢様は美しいハニーブロンドにサファイアにも負けない美しい青い瞳、白くて滑らかな肌、薔薇のような唇、引き締まった身体、隙のない美しさを持っておられます。

何より小柄で小動物を思わせる可愛らしさは守りたくなります。

お人柄は公爵家という高い爵位にも関わらず平等に接するお優しい心根をお持ちですし、勉強好きで同年代の方より博識であり知性を感じます。

自分の苦手な事もしっかり把握されており反省もできるお嬢様の何処が魅力的ではないんですか?」


「えええええ?」

「だから、お嬢様は凄く魅力的な女性です。と言ったのですよ?」

「わかっているわウィル。

でも、貴方の中での私は困った妹くらいの認識だと思っていたから驚いているのよ。」

「お嬢様、僕はお嬢様をひとりの女性としてみていますよ。」

「なっ!」


嘘よ!ウィルはずっと妹に向けるような態度で接していたじゃない。

私は身体中が燃えるような感覚に陥った

だってウィルが私を女性として見てくれていた

だって私はウィルの事が…

でも、主人と使用人、気持ちが通じ合ったて…


「ウィル…」


嬉しさと同時に切なさで胸が締め付けられた

きっと泣きそうな顔をしている

こんな顔ウィルには見せられない

ダンスのレッスン中にこんな話をし始めたものだから私はまだウィルの腕の中に居た

泣いてしまう前にウィルから離れよう

具合が悪くなったから今日はお終いにしようと言い部屋に戻って落ち着きたい

湯浴みをするからと言えばウィルはついて来ない

そう考えてウィルの胸を押す


「お嬢様。」


離れようしたのに私の顔はウィルの胸板に押し付ける形になった

ウィルに抱きしめられてた


「ウィッウィル!?」


自分の気持ちを隠してしまいたいのに

ウィルの腕の中に閉じ込められてしまった

こんなことをされてしまったら気持ちを抑えられないわ…。

お願い、離してウィル…。

私の心音がウィルに聞こえてしまったらどうしよう。


「お嬢様。僕に隠し事をされていませんか?」


そんなウィルの言葉にさらに心音は高鳴る


「しっしていないわ…。ウィルこそどうしたの?」


出来るだけ落ち着いて返事をしたつもりだ。


「お嬢様は淑女の仮面をつけておられる時は上手く嘘をつけるのに、今は嘘だってバレバレですよ?」

「嘘なんかついていないわ…。」

「お嬢様、僕はお嬢様に嘘をついていますよ?」

「ウィル?」


主人に嘘をついているとはどういうことだ?

ウィルの真意がわからなくてウィルの顔を見上げる


「僕は、お嬢様を主人でなく女性としてお慕いしております。」


ウィルの言葉に私は驚いてしまい何も言い返せない

ウィルが私を慕っている?

つまり両想い…どうしましょう!?


「最初は妹の成長を見ているような微笑ましい気持ちでしたが、年々綺麗になられるお嬢様に恋心を抱くようになりました。

お嬢様の笑顔を他の男性に向けられる度に大人気なく威嚇してしまっておりました。

僕は執事失格ですね。」


苦笑いしながらウィルは語ってくれた。

ウィルの気持ちに私はどう答えたらいいのかしら


「ウィル…私は…

私も貴方の事がずっと好きだったの

でも、私たちは主人と使用人、結ばれてはいけないわ」

「お嬢様…」


ウィルも私の言いたいことが分かってくれたみたいだ

この恋は今日限りで終わらせなければならない

そう口をに開こうとした時


「お嬢様、主人と使用人でなければ問題ないのですよね?」

「へ?え?ええ、そうね。

いえ!だからって貴族と庶民、ましてや私は公爵家の娘ですのよ…」

「わかっておりますよ、お嬢様。

僕は必ずお嬢様を手に入れてみせますよ。」


あら?なんだかいつものウィルとは違う黒い笑み。

それすら、かっこいいと思ってしまいますわ。

恋は盲目と言いますものね。

それよりも!


「てっ手に入れるって!どういうことなの?」


そう!ウィルは諦めるじゃなくて、手に入れると言ったのだ


「そのままの意味ですよ。大丈夫です、お嬢様。

僕にお任せください。

さっそく旦那様と奥様にご相談しなければなりませんね。」


なんだかウィルが活き活きしているわ。


「ねぇ、ウィル本当に大丈夫なの?私はウィルの隣を望んでもいいのかしら?」


大丈夫だと言われても不安だ。

今の私たちの現状を変える術を私は知らない。

ウィルは私の手をとり跪くと


「愛しのフィーネ。

欲しいと思っていた貴女の気持ちをいただけて、やっと貴方を手に入れられる日がきた。

まだ教えてあげられないけど迎えにくるから待っててほしい。」


名前で呼ばれてまた胸が高鳴る。

私幸せすぎて倒れないかしら?


「わかったわ。待っててあげる。」

「ありがとう。フィーネ。」


また貴方はそんな甘い笑顔を私に向けるんだから

信じるしかないじゃない


数日後のデビュタントの夜会で私のエスコート役をしたのは隣国の行方不明だった第二王子ウィルフレッド・エストニア

訳あって公爵家で執事としてかくまっていたそうな

その辺のオトナの事情とやからは私には分からないのだけど


「フィーネ。迎えにきたよ。」

「ウィル。待っていたわ。」

「僕の妻になってくれるよね?」

「もちろんよ!愛しているわウィル。」

「僕もだよフィーネ。」


こうしてあなたの甘い笑顔をずっと横で見られるだなんて

私は幸せ者だわ。


-end-



王子様オチです。

よくある話なので面白くなかったもしれませんね。これから頑張ります!

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― 新着の感想 ―
[一言] 読みやすくて好きですよ
[一言] いえいえ面白かったですよ。ストーリーの進め方が良かったです。テンプレでもハッピーエンドはいいですよね。
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