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短編小説 私の知り合いの●●シリーズ

短編小説 自分の死体をみた意味

作者: 猫田蛍雪

 今回はじめて、短編小説を書くので、実験的な内容となっています。

 手法が間違っている、またはこうしたほうがよいなど、よろしかったらアドバイスをお願いします。





 私の友人に大熊という人がいる。

 彼は楽観的にものを考える人で、おもしろい話をしばしばしてくれる。

 今から話す内容はその大熊からきいた奇妙な話である。

 

 その話をきいたのはネコバー旅館で夜ご飯を食べているときに聞いたのであった。

「そう言えば、昨日の寝ているときに奇妙な夢をみたぞ」

「へえ?どんな夢だったのですか? 」

 私はいつも大熊の面白い話を心待ちにしているのである。

「それがな、自分が死んでいる死体を自分でみたのだよ」

「おお!それは、どんな意味を持っているのですか? 」

「夢占いの研究家であるなつみに聞いたところによると『運気の上昇』であったり、『トラブルの解決』であったりといった事らしいがどうにも腑に落ちん」

 大熊は、顔を曇らせた。

 自分の死体を自分で見たのに、運気が上昇、トラブルの解決などのプラスの意味合いとして捉えることは大熊は好きではないらしい。

「なつみのいう夢占いも考えて見れば一理あるかもしれない。しかし、科学的に説明するのは決して容易なことではなかろう」

 大熊はいつもの科学的に考えはじめた。

「そんなに深く考えすぎても体に毒ですよ」

 話を聞いていたネコバーは、大熊のことを気遣う。

 私もネコバーとに合わせて、大熊を励ます。

「そうですよ。夢はあくまで夢ですよ」

「そうか」

 大熊はようやく納得して、それ以降は明るく振る舞っていた。

「ここで一旦、コマーシャルよ」

 ネコバーは誰に説明しているか分からないが、どうやらコマーシャルにはいるようである。

 

----コマーシャル----


「カモメゲーム工房から新作ホラーゲームが発売!」


「近づく怪物からあなたは仲間とともに脱出できるか!?」

「NSX版『右ヲムクナ!』は、7980円で好評発売中です」


「アイデアを形にするカモメゲーム工房」




「大熊書籍から新刊のお知らせです」


「あなたもその島の開拓に参加しませんか?」

「私は、その求人をもとにその島へ向かったのであった」

「新しい未来を開くために仲間たちは、その島を開拓する」

「ハードカバー版『移民が多い島~開拓編1』は980円で好評発売中です」


「以上、大熊書籍のお知らせでした」


----コマーシャル 終わり ----


「それで・・・・・・ 」

 私は、あたりを見た後に、ネコバーに聞く。

「大熊は、まだトイレから帰ってきていないのですか?」

「そうね。コマーシャルよりも長いようね」

 大熊は食べ過ぎたようで、コマーシャルよりも長い間トイレに入っているようである。

 結局、大熊が戻ってきたのは、20分後であった。

「時間厳守よ!」

 ネコバーは、優しく怒りました。

「すまん、すまん食べ過ぎでな」

「そんなことよりも早く帰しましょう」

 私は眠たくてしょうがなかったのである。

「ネコバーすいませんな」

 大熊はネコバーに謝った後に、残ったコロッケをお土産にしてもらい帰る支度をする。

 それから、何事もなく私たちはアパートへ帰っていった。


 次の日に、大熊と私は島の道路工事の進捗状況を確認するために、島の東側へ行った。

 この島には、電車やバスなどのような便利な移動手段がなく、歩きか自転車の二択の選択肢しかないのである。

「全く、しんどいですね」

「ああ、これでも飲んだくれの偉いやつに、交通手段の設置を頼んでいるのだがな・・・・・・ 」

「また博士が、役場のお金を使ったのですか? 」

「そうさ。やつには、そんな権限が一つも何のだが裏にビッグな組織を構えているからかもしれん」

「裏の組織と、皆さんが、よく話していますが、どんな組織なのですか? 」

 私はこの島に移住してわずかしか、たっていないので、興味をもって聞いた。

「具体的には知らないが、やつを怒らせたら、消されたり、左遷されたりするらしい」

 大熊の表情は、恐怖の顔でいっぱいであった。

「私は開拓前に、村長をしていたが、その時の仕事仲間の多くは、急病や事故で亡くなっている」

「それは、裏の組織と関係しているのでしょうかね? 」

「分からんが、元村長としてやつの派閥を必ず、この島から追い出してやる! 」

 ようやく、険しい山を登り終えて目的地に着いた。


「大熊さん、お疲れ様です」

「おお、野口さん。私が代表して謝るよ」

 大熊は野口さんに、心をこめて謝った。

 野口さんは、もともと南港で働いており、人手不足を理由に借り出されたのである。

「いいですよ。この島も未開拓の部分も多いですし、みんなのためなら喜んで働きますよ」

 野口さんは、にこやかに言った。

「それで、進捗状況はどうなっていますか? 」

 工事の責任者とともに、進捗状況を確認した後、私たちは帰り際に小熊病院へ立ち寄った。


 小熊の専門は小児科や内科など分野が幅広い分野を仕事としているが、高齢という理由で、今は健康診断のみを行っている。

「おお、大熊、数少ない親戚よ!」

 ほとんどの親戚は高齢で亡くなっているので、残っているのは大熊と小熊のみなのである。

「そんな悲しいことを言うなよ。人生を明るく見通したらどうですか? 」

「大熊、高齢者になったらいつ死ぬか分からないから、そんなに余裕などないぞ!」

 小熊は、どうやら今後の人生を悲観的にみているようである。

 このままでは、喧嘩でも始まりそうだったので、私は大熊に聞いた。

「ところで、どんな用事でしたっけ? 」

「そうだ、そうだ」

 大熊はやっと思い出したように用事を小熊に話す。

「先月の健康診断の結果を役場のパソコンまで送ってくれとお偉いさんの部下が言っていましたよ」

「パソコンの調子はよいのだが、モデムの調子が悪くて、フロッピーディスクでもよいか? 」

「ええ、せっかくだから一緒に行きましょう」

 私は、高齢の小熊を気遣った言葉をかけた。

「おお。この島の若者は優しいなあ」

 小熊はさっそく、データをフロッピーディスクにコピーする準備を始めた。

「大熊さんと小熊さんの顔が似ていますが、兄弟ではないのですか? 」

 私は疑問に思ったことを素直に聞いた。

「私もそうなのではないかと、親戚の集まりの時に聞いたのだが、みんな話題を変えるからそうかもしれん。しかし、真相は明らかではない」

「何か出生証明書とかはないのですか? 」

「そうだな・・・・・・ 。小熊には聞いたことがないから、作業が終わったら聞くことにしてみるか」

 大熊は、作業をしている小熊をみた。

 知りたいという思いと間違っていたらどうしようという思いの二つの思いがゆれているのであろう。

 しばらくして、小熊はフロッピーディスクにデータをコピーすることを終えた。

「それでは行きますかな」


「おお、野口さん。今日の仕事は終了ですな」

 小熊は、元気よく野口さんにあいさつした。

 工事のおじさんたちは、工事用の道具を片付けたり、工事用の車が動かないように固定していた。

「先ほども確認したように、工事はあと2、3ヶ月で終了しますよ」

「そうか。この道ができれば、東雲(ひがしぐも)研究所までの道のりが楽になるな」

 小熊はうれしそうであった。

 この旧道は、未整備で電灯が壊れたままであり、道は穴ぼこだらけであった。

 だから、道が新しくできることは、生活を少しでも楽をするのである。

「さて、そろそろ行きますかね」

 時間を厳守しないとお偉いさんに怒られてしまうので、私たちは再び、歩き出す。

「ところで、小熊に質問があるのだが、よろしいかね? 」

「いいぞ。我々は、兄弟みたいなものではないか! 」

「・・・・・・ 」

 大熊は深い深呼吸をした後に、小熊に言った。

「私たちは、血が繋がった兄弟だと思うか? 」

「・・・・・・ 」

 小熊は足を止めて、黙り込んだ。

「大熊よ、何を言い出すのだ。血が繋がっているかどうかで、関係が変わるのか? 」

「小熊。何か知っているのであれば答えてくれ! 」

 大熊は、今まで気になっていたことを明らかにしたい気持ちで、いっぱいであった。

「いいか、大熊・・・・・・ 」

 それは一瞬の出来事であったことを記憶している。

 何者かが、我々に矢を放ち、それが小熊の胸に当たったのだ。

 あたりは血で染まった・・・・・・ 。

「小熊! 」

 大熊と私はあたりに注意しながら、小熊に駆け寄った。

 私はその時に、誰かが、草むらを駆け抜けていく様子を見た。

「小熊!小熊!くまさん! 」

 大熊は叫び続けた。

「待っててください。今、医者を呼んできますから! 」

 私は急いで元来た道を戻ろうとしたが、小熊が止めた。

 小熊は自分が医者であるから助からないと悟ったのであろう。

「いいか小熊よ・・・・・・ 。お偉いを怒らした結果がこれだ 」

「小熊!死ぬな! 」

「やつの好き勝手にさせるな・・・・・・ 」

 小熊はそう言い残して、死んでしまった。

 大熊は、真実を聞くことができずに死んでしまったことが悲しかった。

 それから、裏の組織に対しての怒りが増すのであった。

 私は、冷静になって大熊に聞いた。

「警察を呼びますか? 」

「呼ぶなら、信用できる志熊警部を呼べ」

「分かりました」


 私は、あたりを注意しながら志熊警部がいる交番へ向かった。

 向かっている途中に、ネコバー旅館で大熊が話していたことを思い出した。

 自分が死んでいる死体を自分でみた、と。

 あれは予知夢であったのか、どうかは定かではない。

 しかし裏の組織の存在が、島の人たちの命が危険にさらされていると分かった。

 同時に、危険を取り除くためにも大熊をサポートしていかなければならないと思った。



 終わり

 


 






  

 



  

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― 新着の感想 ―
[良い点] 大熊さん、どうなっちゃうのだろう・・・・・・ ドッペルゲンガー系の匂いがする!? [気になる点] これ、まだ途中でしょうか? ホラー物なのに話にオチがついてるように見えなくて。 [一言]…
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