アトレウス家
その夜から、娘ペロピアは父テュエステスの監獄に通うようになった。
テュエステス:「いいか、お前の兄たちの仇は、お前が成し遂げるのだ」
ペロピア:「わ、わかっております。か、かならず・・・仇を・・・」
ペロピアの息は、すこし上がっていた。
1年後、ペロピアは赤ちゃんを抱えていた。
ペロピア:「無事に生まれました」
テュエステス:「よくやった、だが、これからが本番だ。もうここに来てはいかん。」
ペロピア:「はい」
テュエステス:「やることは、わかっているな」
ペロピアはこくりとうなずいた。
この赤ちゃんの名前はアイギストス、父テュエステスと娘ペロピアの子供だ。
ペロピアは化粧を施し、伯父であるアトレウスに近づいた。
化粧を施したペロピアは、まるで別人だったが、アトレウスはそれを見抜いていた。
アトレウスはペロピアと結婚し、アイギストスを養子に迎えた。
アトレウスのペロピアの正体に気づいていないそぶりをし、更なる悲劇を企てようとしていた。
アトレウス:「坊主、大きくなったなぁ」アトレウスはアイギストスを可愛がり、
アイギストスも、アトレウスになつき駆け寄っていく。
やがて成人したアイギストスに、アトレウスはある頼みをする。
アトレウス:「アイギストス、お前に頼みがある」
アイギストス:「なんでしょう父上」
アトレウス:「ここの地下牢には、わしの王位を狙っているものがおる」
アイギストス:「それは誰です?」
アトレウス:「わしの弟じゃ・・・」そういってアトレウスは残念そうに首を振った。
アトレウス:「もうあいつも年じゃ、楽にさせてやりたい。だがわたしの手で弟を殺すことは出来ない」
アイギストスは目をつむり考えてから言った。
アイギストス:「父上の願いなら、わたしがその役目果たしましょう」
アトレウスは、アイギストスに父殺しをさせるつもりだった。
アイギストスが地下牢にやってくると、ひどく年をとったテュエステスと母ペロピアの姿があった。
ペロピア:「この人を殺してはいけません」
アイギストス:「なぜです母上」
事実を知らされたアイギストスは、現実を受けいられないでいた。
ペロピア:「いいですか!、この短剣でアトレウスを刺すのです」
ペロピアの言葉に魔力でもこもっているのか、事実に呆然とするアイギストスは、ただ母の言葉にしたがった。
アトレウス:「どうしたんだアイギストス」
呆然と部屋にもどってきたアイギストスに声をかけるアトレウスだったが、次の瞬間、
腹部に強い痛みを感じ倒れこんだ。
やがて、地下牢からテュエステスとペロピアが上がってくる。
倒れこむアトレウス横を通りすぎ、テュエステスは玉座についた。
テュエステウスは長い年月をかけ、ミケナイ王に復帰したのだ。
テュエステスの王位復帰は、たちまち諸国に広まった。
そして、ミケナイを離れていた、アトレウスの息子、
アガメムノンとメネラオスの耳にも入った。