ミケナイ王の後継者
神託により次のミケナイ王は、黄金の子羊を持つペロプスの息子ということになった。
ペロプスとは、ゼウスの孫にあたり、肩が象牙で出来た人物だ。
ペロプスは一度、父親タンタロスに殺され、ゼウスの力で復活していた。
父タンタロスは冥界に突き落とされたが、タンタロスの呪いが子孫たちに続くのだった。
ペロプスには、アトレウスとテュエステスという2人の息子がいた。
黄金の子羊は兄であるアトレウスが女神アルテミスから頂いたものだ。
ミケナイ王には、兄のアトレウスがなるはずだった。
アトレウス:「ど、どういうことだ!」
アトレウスは机を叩きながらどなり散らした。
あるはずの黄金の子羊が無いばかりか、弟テュエステスが所有しミケナイ王には、
弟のテュエステスがなるのだという。
アトレウスの動揺に、妻のアエロペは薄ら笑いを浮かべる。
アトレウスの夫婦関係は上手くいってないらしく、妻のアエロペは弟テュエステスと関係を持っていたのだ。
妻のこの表情に、アトレウスは何かを感じた。
日頃、上手くいっていないだけに、怒りが込み上げた。
それから、密かに妻の行動を監視していたアトレウスは弟との関係を突き止め、復讐を誓う。
ある日、アトレウスは弟を招き、自らの手料理を振る舞った。
久々に兄弟楽しく食事をし会話も弾んだが、会食の最後に今日の食事の材料が紹介された。
今日の食事の材料は、テュエステスの息子たちとアトレウスの妻アエロペだった。
その事実を知らされた、テュエステスはゴホゴホと咽ながら床に倒れこんみ、
食べた料理を口から吐き出した。
放心状態のテュエステスは捕らえられ投獄される。
こうしてミケナイ王は、兄アトレウスということになった。
この狂った行いをしたのは、実はアントレウスがはじめてではない。
アントレウスの祖父タンタロスが神々の不死身になる食事の席に招かれ、
そのお返しに息子ペロプスを料理して、神々が気が付くかを試したことがあるのだ。
これにより、タンタロスは冥界に突き落とされ、
手にしたものは全て枯れ、水は砂になるという永遠の飢えと乾きに苦しむことになる。
食事として提供されたペロプスは、ゼウスによって復活させられた。
だた、お腹を空かしていた豊穣女神デメテルがうっかり肩の部分を食べてしまっていた。
ペロプスの失った肩の部分を象牙で代用されることとなった。
地下に投獄されたテュエステスは、兄アトレウスを恨み続け、
毎夜のように神に復讐する方法を問うた。
みかねたアポロンは、テュエステスの夢枕に立ち答えた。
アポロン「自分の娘との間に子が生まれたら、その子が復讐を果たすだろう」
テュエステスは、一人残った末娘ペロピアを監獄に呼び寄せる。
ペロピア:「父さん、なんでこんなことになってるの?兄さんたちは何処にいるの?」
テュエステス:「お前に、頼みがある」