交換条件
大将アガメムノンは、縛り上げた巫女クリュセイスを肩に担ぎ上げ部屋に入っていく。
クリュセイスはアガメムノンの肩の上で、ジタバタト抵抗するがどうすることもできない。
そこに、アガメムノンの弟メネラオスがやってくる。
メネラオス:「まってくれ、そいつは神官ラオコオンの娘だというじゃないか」
アガメムノン:「そのようだな、元気がよくて楽しみがいがある」
そういうと、アガメムノンはクリュセイスの尻を叩いて見せた。
メネラオス:「そうじゃないんだ、私の妻ヘレネとの交換条件に出来ないだろうか?」
アガメムノン:「お前は、これから楽しみだって時に・・・こまった弟だ」
アガメムノンは、クリュセイスをベッドに放り投げ、弟メネラオスの話を聞いた。
アガメムノン:「だが、お前の妻ヘレネと、神官の娘では釣り合わないだろ」
メネラオス:「確かに、釣り合いはしないな・・・」メネラオスは首をうなだれ横に振った。
クリュセイスはベッドの上で、ジタバタともがいている。
アガメムノン:「静かにしろ!」そういって食べていたリンゴをクリュセイスに投げつけた。
睨み付けるクリュセイス、それを見て楽しそうに笑うアガメムノン
メネラオス:「兄さんはそうやって楽しそうに食べているが、食料は底をつきかけてるんだぞ」
アガメムノン:「そうなのか?・・・それじゃこの女と食料を交換したらどうだ?」
メネラオス:「それではヘレネが戻ってこないじゃないか!」
アガメムノンは、次のリンゴを手にしながら言った。
アガメムノン:「ヘレネを取り戻すなら、パリスって坊やと一騎討ちで決着をつけてはどうだ?」
クリュセイス:「パリス様が戦えるわけないでしょ!」
クリュセイスは口を塞いでいた猿ぐつわが外れ声をあげた。
アガメムノン:「パリスが羊飼いだったって話は本当のようだな」
メネラオス:「羊飼いに勝ったところで、戦士の名が泣くだけだ」
アガメムノン:「その羊飼いに嫁をとられた男が、何をいってるんだ、とっとと取り返さんか!」
確かにその通りだった。
このヘレネの件で、多くのギリシャの兵士がトロイアまでやって来ているのだ。
一騎討ちで、取り返せるのなら安いものだ。
翌朝、ギリシャ軍はトロイアの門の前に集まっていた。
一騎の騎兵が、トロイアの門まで駆けあがり、一騎討ちを申し出る。
騎兵:「この戦いはヘレネ様を取り戻す為の戦い、双方の当事者で決着をつけたい!」
そう告げると、騎兵はギリシャ側の陣に戻った。
ギリシャ側の陣からは、ヘレネの夫、スパルタ王メネラオスが前に進み出た。
ヘクトル:「なんてことだパリスは剣なんて持ったことないぞ」
パリス:「ど、どうしよう兄さん」
パリス! パリス! パリス!
外からは、パリスを出すように声が上がっている。
メネラオス:「なんだ!怖じ気づいたのか!」さらに、メネラオスが挑発する。
ヘレネはパリスの腕をつかむ。
ヘレネ:「あなたが出ていく必要なんてないわ」
うつむくパリス。
メネラオス:「これを見ろ!」
メネラオスが指差した方向には、巫女クリュセイスがひざまづかされ、首に剣を当てられていた。
メネラオス:「もしお前が出てこないなら、この女の命はないと思え!」
神官ラオコオンは立ちすくみ、パリスは拳を強く握りしめた。




