祝賀会
祝賀会では立派な鹿が料理され提供され、アガメムノンは自慢げに仕留めた鹿の頭を掲げました。
アガメムノン:「これはワシが仕留めた鹿だ立派であろう」
その頃、天界で狩りの女神アルテミスが探し物をしていた。
アルテミス:「ジミー、ジミーちゃんどこ行ったの?」
アルテミスが、ジミーを探して下界を覗いてみると、ジミーちゃんの首を切り落とし、
高々に掲げている男がいるではありませんか。
アガメムノンが仕留めた鹿が、アルテミスの聖なる鹿だったのです。
怒ったアルテミスは、嵐を起こしアガメムノンたちのトロイア出向が遅れます。
アキレス:「なんてこった、すぐにトロイアに行けると思ったら、ミケナイで10日も足止めじゃないか」
オデュッセウス:「こんなに嵐が続くなんて・・・」
不自然に思ったオデュッセウスは、アガメムノンに神託を賜るように伝えます。
神託により、自分がアルテミスの聖なる鹿を殺してしまったことを知ったアガメムノンでしたが、
なんとか許しをもらおうとアルテミスに訪ねます。
アルテミス:「わたしも大切なものを失いました。あなたの大切なものを生け贄に捧げなさい」
その言葉に、アガメムノンは自分の娘イピゲネイアの姿を思い出した。
アガメムノンは、目を閉じ考えた。
(何がいけなかったと言うんだ、ただ鹿を殺し食べただけじゃないか・・・だが神の意向に逆らうことはできない・・・。)
アガメムノンはオデュッセウスに相談した。
オデュッセウス:「・・・このまま遠征を遅らせては、ギリシャの大事」
アガメムノンは黙って聞いていた。
オデュッセウス:「ここは・・・涙を飲むほかありません」
アガメムノン:「・・・だが、生け贄にされるとわかって素直に応じるとは思えん」
オデュッセウス:「・・・そ、それでは・・・」オデュッセウスがある提案をした。
翌日、アガメムノンの妻クリュタイムネストラと娘イピゲネイアのもとに結婚の知らせが届いた。
英雄アキレスと娘イピゲネイアの結婚を伝える知らせだった。
英雄との知らせに興奮する娘イピゲネイアと母クリュタイムネストラ
クリュタイムネストラ:「よかったじゃない英雄アキレスとの結婚よ。これもお父様の力ね」
イピゲネイア:「わたしみたいな者が、英雄アキレス様と結婚できるだなんて」
イピゲネイアは少しほほを赤らめた。
母と娘は、すぐに父アガメムノンの遠征部隊の陣へと向かった。
陣へはいると、母クリュタイムネストラはアキレスを見つけ話しかける。
イピゲネイアは、アキレスに微笑んだが、母にうながされ父アガメムノンのもとに向かった。
イピゲネイアは父のもとへ向かいながら思った。
(ああ、あの人が英雄アキレス様だわ、思ってた以上にカッコイイ)
クリュタイムネストラ:「この度はアキレス様のような高名方と娘が結婚できて母として本当にうれしいわ」クリュタイムネストラが微笑みかけると、アキレスは言っている意味がわかっていないようだった。
クリュタイムネストラ:「・・・ご、ごぞんじ・・ない・・・」
アキレス:「はぁ・・はい」
クリュタイムネストラは、背筋がゾッと凍りつくような悪い予感がして顔がひきつった。
夫アガメムノンは偉大な男ではあったが、容赦をしない男だということも妻クリュタイムネストラは知っていたのだ。
娘イピゲネイアが、父アガメムノンの前にやって来ると、多くの兵士に取り囲まれた。
イピゲネイア:「どういうことでしょ?」
アガメムノン:「すまない」そういってアガメムノンは娘イピゲネイアから目をそらした。
数時間後、イピゲネイアは船頭に立たされていた。
強風で今にも落ちそうになるなか、じっと足を踏ん張ってなんとか持ちこたえている。
母クリュタイムネストラは半狂乱になって娘を助けようとするが、兵士たちに押さえつけられる。
そんな中、一人イピゲネイアの助命を求める男がいた。アキレスだ。
アキレス:「彼女がなにをしたか知らないが、なんとか助けることはできないのか!」
英雄の声に少しは期待したが、まわりはもうこの嵐にうんざりしていた。
オデュッセウス:「すまないアキレス、神のご意思だ・・・」そう言ってうつ向いた。
イピゲネイアは、一人嘆願してくれた英雄アキレスの姿を嬉しそうにながめ海へ落ちていった。




