不死身のアキレス
アキレスは、これまでの戦いで傷一つ受けたことはなかった。
ペレウスと結婚したテティスは旧神のティターン族で、アキレスを生んだ際、不死を願って冥界のステュティス河にアキレスを浸したのだ。こうして、アキレスの体は傷つくことがなくなった。
ただ、アキレスを河に浸した際、テティスが持っていた足首の部分だけが弱点となった。
アキレスのもとに使者がついたとき、母テティスはアキレスが死んでしまう事を予見してしまう。
テティス:「アキレス、行ってはなりません」
アキレス:「いいではありませんか、こんな大きな戦なんて滅多にありません」
テティス:「ダメです。行けばあなたは死んでしまいます」
アキレス:「なにを言っているんです母さん、俺が死ぬわけないでしょう。」
アキレスは戦うことが大好きで、自分が死ぬなど考えてもいなかった。
アキレス:「俺は不死身のアキレスですよ」
母テティスは、辛そうに目を閉じ首を振った。
テティス:「あなたが、止めても行くことはわかったわ。だったら彼らと一緒にいってちょうだい。」
テティスが指差した方向には、褐色の屈強な男たちがいた。ミュルミドンである。
ミュルミドンとは、ゼウスによって蟻から作られた人間で、アキレスの祖父アイアコスの為に作られ、現在は父ペレウスが引き継いでいた。
アキレス:「こいつは頼もしいな」
テティス:「彼らは屈強な戦士です。ですが不死身ではありません。あなたもですよ。」
アキレス:「ありがとう。母さん。でも心配は無用ですよ。」
そういうと、アキレスは馬にまたがり、戦場へと向かった。
アキレスはアガメムノン率いるギリシャ軍に加わった。
アガメムノン:「よく来てくれたアキレス」
アキレス:「あんたの為に来たわけではない。俺は俺の為に来たんだ。」
アガメムノンは、内心ムッとしたが笑顔をつくった。
(お前が来さえすれば、お前がどう考えようが、俺の為になるんだよ)
オデュッセウス:「あなたが来れば、勝ったも同然だ。みんなそうだろ!」
オデュッセウスの声に、まわりも声をあげて活気づいた。
ヘレネの夫でスパルタ王のメネラオスもホットし笑顔をみせた。
大男:「久しぶりだな、アキレス」
大男は、アキレスを持ち上げた。
アキレス:「アイアスじゃないか!お前も参加するのか」
アイアス:「もちろんだ、ここらで大暴れしておかないと体が鈍ってしまうからな。」
アイアスはアキレスの従兄弟で、アキレスの父ペレウスの兄テラモンの息子だ。
こうして、トロイア出発の前夜、祝賀会が開かれた。




