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ここで一泊

 今日は華陵のための別館で俺達は寝る事になった。

 お姫様のために屋敷1つって流石皇族。金持ってんのな。


「わたくしの家と言う事ではなく、代々鳳凰と契約した者のための屋敷です。ですので今はわたくしが使っているだけの事ですわ、マスター様」


 あ、代々使っている感じだったのね。

 そんな華陵の伝統ある屋敷に一泊した後、国に戻ってドラバカの父に報告。その後はルビーの里帰りに付いて行くっという感じだな。


 う~ん。

 ドラゴン専門の飼育施設は見た事あるが、野生の、特に知性の高いドラゴンの巣に行くのは当然初めてだ。

 人間が発見できているのはドラゴンが1頭だけでいる姿のみである。だから飼育施設には世界各地から偶然見つけたドラゴンを捕縛したりティムして連れて来ると言うのが一般的だ。

 まぁドラゴンをティムせずに無理やり連れて来るなんて滅多にできない事だけど。


 そして学校時代の旧友が来たと言う事で今俺達の前にはとんでもない量の料理が並んでいる。

 満漢全席っと言うのだろうか?これ食い切れんの?絶対余るよね?っと言う雰囲気がものすごくする。


「なぁ華陵?俺達が来て宴会を開いてくれるのは嬉しいが……これ食い切る自信ないぞ」

「ふふ。大丈夫ですよマスター様。こういう物ですから」

「そうか?無理してない?」

「心配してくれるマスター様……何と心優しい」

「それよりもこれ魔物も食って大丈夫なんだよな」

「当然ですわ。これらの料理は全て魔物が食べても問題のない無農薬無添加食材ばかり!そしてやはり魔物の事を第1と考えているマスター様、何とお優しい」


 またくねくねし始めた。俺は無視して食事に手を付ける。

 にしてもどデカい料理が多いな。豚の丸焼きに鶏の丸焼き、もちろん唐揚げとか海藻を使ったサラダなど野菜系もちゃんとあるがこれバイキング方式だな。

 まぁ料理は全部回るテーブルの上に置いてあるわけだが。


「マスターマスター!これ全部食べてもいいの!?」

「あ~多分見栄の部分もあるだろうから手加減してやれよ」

「いっただっきまーす!!」

「キュー!」

「あ、キュイ!お皿に取ってあげるから直接食べようとしないで!」


 キュイのテンションも高くなっている様で腹ペコドラゴン2体は料理に一直線だ。シルフィーは既にデザート系の菓子やフルーツのある所に向かっているし、リーパは野良猫に甘えて欲しい料理を取ってもらおうとしている。

 俺達人間組はそんなパートナー達の要望に応えたりしながら食事を楽しむ。

 ホムラは何て事のないように優雅に食べている。ホムラからすれば当たり前の事だろうが。


「ところでマスター様?ルビー様とご結婚されたと言うお話をもう1度お聞きしたいのですが」

「ん?もう1度と言われても……人間に捕まったルビーを助けたら気に入られて、そのまま嫁入りしてた」

「ち、ちなみに人間の奥様をめとるご予定は?」

「今のところないかな。ほら、俺一応魔物の研究者ではあるけど基本的にフィールドワークで稼ぎは安定してないし、論文の発表によって上下するし、とりあえず30歳ぐらいまでフィールドワークしたら安定した職業に就いた後に婚活かな?」


 ぼんやりとした話だが、現状そんな物しか思い浮かばない。

 なんだかんだで行き当たりばったりな生き方をしているし、俺の様な根無し草を気に居る女は……1人目の前に居るが……皇族に婿入りとか勘弁。そんな責任のある存在と結婚なんてしたくない。

 かと言って普通の人ってのもな……現状どうしようもないか。

 それにフィールドワーク後の俺なんて想像もつかないし。


「で、ではわたくしが!!」

「何度も断ってるだろ。俺は人の上に立つような才能はない」

「その辺りはわたくしがサポートいたします!その魔物に好かれると言う才能が――」

「止めときなさいよ華陵。こいつは権力なんて面倒な物としか思ってないんだから、これ以上言っても無駄よ」

「素直になれないドラバカは黙っていてください!わたくしよりも側にいてマスター様を――」

「それ以上言うなら殺す。プライバシーの侵害って事で良いわよね?」

「お~い。さらっと戦争になりそうなことはよしてくれないか?エルノさんって確か華陵のお兄さんと結婚するかもしれないんだろ?」


 夏の海での出来事を思い出しながら俺は言った。

 酒飲んで酔っ払った4姉妹がその事でもめていたのを思い出す。

 するとドラバカと華陵は一気に黙った。そしてドラバカは聞く。


「……そっちは本気なの?エルノお姉さまとの結婚」

「お兄様は本気ですよ。できれば嫁いでいただけないかご相談中ですが」

「帝国との付き合いはどうなってるの。向こうとの付き合いだってあるのによりにもよってお姉さまに求婚するだなんて……」


 これ以上の事は聞~かない。

 偉い人達の黒い部分を見る事になりそうだから俺は知~らない。

 そう思っているとふとルビーが思い出したように俺に聞く。


「そう言えば人間って交尾相手は沢山いてもいいものなの?それともダメ?」


 これまたド直球な。

 うちの女性陣は固まったし、ホムラは下品な物を見るように見ている。

 そしてこういう説明は俺がするべきなんだろうな。


「あ~その辺は……色々だ。国の法律で違ったり、宗教的なものが絡む時もあるからな。言ってしまえば甲斐性があれば問題ないっかな?」

「へ~。ドラゴンは基本的に一夫一妻だからハーレムってのはあまり聞かないんだよね~」


 およ、意外な所でルビーの種族の生態について新発見が。


「そうなのか。俺達が知っているドラゴンってのは基本的にハーレム制が多いから意外だな」

「ま~昔からの伝統?みたいな所もあるし、後は単に独占欲が強いからかな。主に雌が」

「独占欲ね……ある意味普通か」

「でも配下のナーガ達はハーレムだよ。元々雌しか生まれない種族だし、1人の夫を家族で共有するから。あ、家族と言っても姉妹同士とか、いとこ同士で共有してる」


 そういやラミアも似た生態だったな。いわゆる蛇で出来たボールみたいになってる奴。

 あれ本当に雄って大変なんだなって思う。


「ってナーガも雌しか居ない魔物なんだよな?どっから雄を手に入れてるんだ?」

「え?それは確か……迷子になった人間の雄を捕まえて繁殖する」


 ………………


「それ男の俺が行って大丈夫?マダスも大丈夫だよな?」

「流石に他に好きな異性が居るのに襲ったりはしないよ。それにマスターは私の匂いをたっぷり付けておけば手は出さないよ」

「マダスは?」

「ん~一応ティナに確認しに来たりはするかも?ハーレムダメですか~共有させていただけませんか~みたいな」

「絶対に阻止するから」


 野良猫が久しぶりに本気の殺気を纏わせながら言う。

 あ、あの眼は!マダスを狙う女子達を叩き潰して言ったあの時の眼だ!!

 この時の野良猫は何故か強い。戦闘系スキルを持っていないはずなのに何故か強い。あれが女の意地と言う物なんだろうか?

 ルビーはそんな野良猫の殺気を感じて慌てて言う。


「そ、その気配があれば大丈夫なんじゃないかな?多分、いや絶対大丈夫」


 ルビーがビビるのはとても珍しい事なので本気であの状態の野良猫はヤバいのだろう。

 とりあえず楽しい食事を続けたい。

 時々微妙な空気になりながらも俺達は食事を楽しんだ。

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