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俺式夏野菜カレー

 次の日、俺はいつもより少し早く起きて朝飯の準備をする。人数が多いので欠伸をしながらキッチンへと向かう。

 朝は……あえて普通の朝食でいいか。昼は夏野菜カレーにするから米も多めに炊いておかないと。野菜カレーなら麒麟さんも食えるだろうし、全員食えるカレーにしないとな。


 それから一応昨日の事について語ろう。

 ルビーはなんだかんだで夜はいつも通り一緒に寝た。でもその日だけはどうもルビーは遠慮気味と言うか、お互いに背を向けた状態で寝た。

 普段は俺が抱き締めるように寝てるのに……人肌がなくてちょっと寂しかったな……


 にしても一体ルビーは何を気にしているんだろう?一緒に居るって事は嫌がっている訳ではないはずなんだけどな。

 そう思いながら朝飯の準備をしていると玄関のベルが鳴った。

 誰かがインターフォンを押したって事ではなく、ただ扉を開けるとベルのような音が出る仕様になっているので誰かが屋敷に戻ってきたようだ。

 このキッチンに立ってから誰かが出て行く所を見ていないのでおそらく戻って来たのだろう。


「おはようございます。朝食の準備ですか?」

「おはようございます、ラファエルさんでしたか。朝からどこに?」

「日課の散歩です。海岸をゆっくり歩いていました。朝の潮風も気持ちいものですよ」

「なる程。なら今日はゆっくり過ごしますか?昨日遊びまくってみんなお休みの様ですし」


 いまだに寝ているであろうメンバーの事を思いながら言う。

 4姉妹とそのパートナー達のほとんどはまだ寝ている様だし、起きていてもまだ部屋でゆっくりしているだろう。

 俺の研究メンバーの方は完全に遊び疲れ。ルビーを筆頭に海で長時間遊んでいたのだから当然と言えば当然なのかも知れない。


 そう思っていると麒麟さんが現れた。


『おはようマスター。そしてラファエル殿』

「おはようございます、麒麟さん」

「おはよう麒麟さん。ちょっと話良いか?」

『どうかしたかマスター?』

「今日の昼は夏野菜カレーにしようと思ってさ、麒麟さんが食べちゃいけない物って何だったっけ?」

『大雑把に言えば肉と魚肉、にんにく、ニラ、ネギ、ラッキョウ、玉ねぎだな』

「うっわ~玉ねぎなしってのはどうしたもんかな?と言うかスパイスって時点で大丈夫か不安になってきた」


 玉ねぎの入ってないカレーって作った事がない。

 最悪とろみは片栗粉を溶かして誤魔化すとしても、そのスパイスの段階でな……と言うかスパイスってアウト?それともセーフ?


『ふふ。私の故郷にもスパイスとなる食材は多くある。使っても問題ない』

「え、つまりセーフなの?あっぶね~。てっきりスパイスなしでなんちゃってカレー作らなきゃならないかと思った」


 それなら単にニンニクと出汁を作る際に肉や魚で出汁を取らなきゃいいだけだ。

 となると干しシイタケをベースにした方がいいのか?他に肉や魚以外で出汁が取れそうなものは……


「朝食の準備中なのに考え込んでしまいましたね」

『むぅ。やはり肉や魚も食べるべきか?』

「確か食べれない訳ではないと以前お聞きしましたが?」

『宗教的な問題だ。ただずっとのその様な食生活だったからか、菜食主義気味でな……あまり好んで肉や魚を食べないだけだ』


 あ、コンブめっけ。これで出汁をとろう。

 魔物によって食材を変えたりするせいか食材だけはあるんだよな、この世界。

 ただ微妙に鰹節とかそう言うのが不足してる所があるんだよな……

 今度日本ぽい所に本気で言ってみるか?かなり東の所に日本みたいな所があるらしい。

 そこに行けば鰹節買えるかな?


 -


 結局なんだかんだで全員が起きてくるのはなかった。俺が起きてキッチンに立っている間に起きてきたのはリーグにキュイ、アスモデウスに女王、最後にルビーと言うそれぞれの主より立派に起きてきた。

 ちなみに俺は砂浜でパラソルの下で昼寝だ。

 麒麟さんも食べれる夏野菜カレーは本人からも了承を得ているので寸胴鍋で保管中。

 今日の昼飯!食べるな厳禁!と書いた紙を張り付けておいたが……食ってないよな?

 起きて来なかった連中には朝食として一応ホットドックもどきやサンドイッチもどきを用意しておいたはずだが……大食漢が多いからな……

 ま、足りなくなったらマダスかそれぞれのメンバーで用意できるだろう。1部不安があるけど。


「マスター!お昼にしましょう!!」


 ぼんやりとうたた寝をしていたらラファエルさんが俺を呼びに来た。

 って言うか何で折り畳みイスを持ち出してるんだ?


「みなさんの提案で外でカレーを食べる事に決まりました。こう言うのは雰囲気が大切だと」

「それは分かるが……カレーはどうする?屋敷で温めてから食うか?」

「そこは敢えて薪を使って温める事に決定しました。マダスさんがレンガを組み立てて簡易的な物を作るそうです」


 それなら外で火事が起こったりはしないか?どうせ砂浜だから燃え移るような心配はないし、薪は……暖炉の薪を使えばいい。

 意外とできそうだな。


「ちゃんと計画して出来てるんなら構わないが……カレーは誰が運ぶんだ?結構重いぞ」

「ご心配なく。ルビーちゃんが持ってきてくれます」


 そんなセリフ聞いてすぐ他のみんながテントから出てきた。薪やテーブル、レンガなどを全員で用意している。

 1部まだ眠たそうにしているが、ちゃんと歯は磨いたか~?

 それからルビーが寸胴鍋を持っている姿は危なっかしく見える。だって鍋のせいで足元が見えていない様に見えるからな。


「マスターっと。このカレー?っていうのどこに置けばいい?」

「今マダスが作ってる奴が完成したらその上に置く。と言うか米炊かないと」

「ん?カレーってご飯と一緒に食べるの?」

「俺はそうしてきた。でも周りはパン派の方が多いかな?その辺は好みとしか言いようがないけど」


 普通の食パンだったり、ナンっぽいパンだったり好きなパンを付けて食べる者がとても多い。ちなみに俺はやはり米派だ。日本人としてこれは譲れない。

 でもこの辺って米本当に少ないんだよな……米って言ってもタイ米っぽい細長い米ばっかりだし、あ~日本の米が食いたい。

 そう思って個人的に米を準備。

 結構デカい鍋だから温まるのに時間が掛かるだろうし、その間に炊き上がるだろう。


 そしてマダスが準備した簡易的な奴が完成。

 その上に鍋を乗っけて沸騰するまで温める。朝作った物とは言え、食中毒には気を付けたい。沸騰殺菌である。

 そんな風に温めていると鍋の隙間から腹が減る匂いが漂ってきた。

 ルビーは初めて嗅ぐ匂いに鼻をひくひくしている所がとても可愛らしい。他の味を知っている者達もじっと鍋を見つめている。

 鍋を焦がさない様にかき混ぜながら10数分。鍋が激しく沸騰してきたのでもう大丈夫だろう。


「もういいだろう。皿持って来い!!」


 こうして全員が皿をもって鍋の前に並んだ。

 気分は給食の配膳係。にしてもカレー人気だな。

 俺?俺は正直言って普通。だって前世の様なちゃんと企業が作ったルーを使っている訳じゃないし、大抵の場合はこういう人数が多い時に作る手抜き料理って感じだし。

 今回は麒麟さんも食べれるように工夫するのが大変だっただけであとは基本的に適当だ。

 スパイスの分量で毎度味結構変わるし、基本的に干しシイタケとコンブで出汁取って作ったから物足りない部分もあるし。


 そして最後に俺とルビー、麒麟さんは米でカレーをいただく。

 ルビーは興味から、麒麟さんは俺同様米派だ。

 全員テーブルに座ってから合わせて言う。


「「「「「いただきます!」」」」」


 そして全員がカレーに食い付いた。

 そしてルビーが1番最初に言う。


「これ美味しい!!」

「そうか?個人的にはスープっぽくなっちまったかな~?って感じなんだが」

「そうなの?でも美味しいよ!!」

「そりゃよかった。麒麟さんも大丈夫か?味見はしてもらったけど」

『問題ない。十分に美味い。よく本当に肉を使わずに作り上げたものだ』

「え?この小さいのが肉じゃないの?」


 ルビーが小さなキューブ状の物を俺に見せながら言う。

 それを見て俺は笑ってしまった。


「ルビー、それは肉じゃない。まぁ肉っぽい食感にはしたけど」

「え?それじゃこれ何?魚でも野菜でもないよ?」


 そう言いながらルビーはそれだけを食べて首を傾げる。

 他の者達も少し驚いていた。正体を知っているのは俺だけである。

 なのでちょっとだけ得意げに言ってみた。


「そいつはテンペって言う大豆を固めた豆腐の親戚みたいなもんだ。本で知ってから試しに作ってみたら上手くいった」

「豆腐?これ豆腐なの!?」

「いや、あくまでも原料が大豆ってだけで製法は全く違うから。バナナの葉に居る菌を利用して固めたからな、テンペってその菌の名前らしいぞ」


 学生時代の時に試しに作って試行錯誤した作品の1つだ。本で知ったからと言ってやはりそう簡単には上手くいかないものだ。

 でもまぁそのおかげで肉の代用品として使える様になった訳だが。

 ありがとう。グルメマンガ!!


 こんな感じで盛り上がっているから気が付かなかった。

 海の方から大きな影が近付いている事に。

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