ようやくバカンス!!
人魚を海に帰して3日後、俺達は海に居る。
海と言ってもそこら辺のビーチではない。ドラバカ達王族用のプライベートビーチと言う奴である。
いや~流石王族。ビーチ1つを貸し切るんじゃなくて、普通に持ってるとかマジで凄いわ~
人魚を海に帰した後、俺は次の日は思いっきりゴロゴロして過ごした。流石にクジラロデオは思っていたよりも体力を疲弊していたらしく、寝て起きたら筋肉痛とダルさのコンボに屈していた。
と言ってもただゴロゴロしていた訳ではない。元々仕事など出来たのではなく、遊びに来たら何故か人魚が砂浜に居るというアクシデントがあっただけであり、元々遊びに来ていたのだ。
なので野良猫が持参していたパールクラウンのガイドブックを見ながらどこの海に行くのか検討しながら時間過ごす。
なので俺、マダス、野良猫、ドラバカ、そしてそのパートナー達全員でどこの海に行くか検討中にシスコン長女からこんな話が出た。
「いっその事王家所有のプライベートビーチにしたら?あそこなら人もいないしのびのびとできるわよ?」
シスコン長女もたまには役に立つという事が立証された。
てことでこの日は長女の一言で行先は決定!と言ってもまだ疲労しているのですぐ明日、という訳にはいかないし、ルビーが水着を持っていないので水着の購入などもあるのでこの日は行き先を決めるだけで終えた。
さらに次の日、俺とマダスにとって地獄のような時間が発生した。それは女性陣の買い物に付き合うという超困難なミッションだ。
女の買い物に付き合える奴は本当に凄いと思う。
行先は当然水着屋なのだが……女性物の水着コーナーに男が堂々と入れると思うか?いくら少しは年とったとはいえ、この間まで学生やってたガキだぞ。女ものの水着コーナーに近付くのは勇気がいる。
で、本当は嫌だったのだがマダスは野良猫に、俺はルビーとドラバカに強制連行された。
俺もマダスも引きずられて行く様を見ていた他の若い男性陣は憐れみと言うか、やけに優しい表情で見送られた。
ちなみにそこでも問題発生。それはルビーの服嫌いである。
ドラバカと野良猫が2人がかりで水着の試着をさせようとしたのだが、ルビーが生まれたままの姿で脱走。店の外に出る事はなかったが、店員さんも動き出すほどになってしまったので店に迷惑を掛けてしまった。
ちなみに女性用の水着店だったので、男は俺とマダスの2人だけだったのは運が良かったと言ってもいいのかも知れない。それでもルビーの裸をマダスが見そうになった瞬間殴っておいたけど。
その後の事は野良猫に任せた。マダスは後にどのような事になったのかは俺は知らない。
その後は帰りながらアイスを食べたりとのんびりできたのは良かったと素直に思う。
ルビーは初めて食べるアイスに冷たさと甘さに驚いていたのはとても可愛かったと言っておく。
そんでもって今日。冒頭に戻る。
にしてもいい所っぽいな……人っ子1人も居ない砂浜って初めて見た。知ってるのは人がごった返した砂浜だけなのでこんな静かな海は初めてだ。
「マスター、ここが遊ぶための海?」
「そうだぞルビー。普通はこういう所で遊ぶんだ」
この間見た沖合いの海とは違う雰囲気を見て楽しんでいるのか、ルビーはじっと水平線を見ている。
ルビーをちゃんと穏やかな中で連れて来れてよかった。この間のはノーカンだろう。あんな忙しくて落ち着かないのは旅行じゃない。
「マスター!荷物下ろすの手伝って!」
「分かった!ルビー、ちゃんとそこに居るんだぞ」
「まだ海に入っちゃダメ?」
「テント建てて着替えてから。まぁルビーの場合は直ぐ済むだろうけど」
「なら私も手伝う」
「ありがとルビー」
こうして俺達はテントを建てる準備を始めた。テントはドラバカのテントで次女作のあの豪邸テントだ。なので建てれば結構中は広いのである。
そして少しは止めに建てないといけないかも知れない。その理由はぶっ倒れている貞〇が原因だ。
「………………死ぬ」
「イージス様、今マスター達がテントを建てていますのでもう少し待ってくださいね」
「ねーラファエル。テントを建てるってエッチに聞こえない?」
「……アスモデウスは黙ってる」
「イージスのためにも私も手伝うか」
「必要ないと思いますよ?アイリ姉様。あの2人かなり手際がいいですよ」
「旅をしているからきっとなれてるんでしょうね」
「私もいつかはああならないといけないんだろうね。アイリア」
「マスター達と一緒に旅をしていれば自然と身に付くんじゃない?」
『儂も入って大丈夫なんじゃろうか?』
「キュイキュイ!!」
今回の旅は俺達だけではない。シスコン戦隊全員とそのパートナー達も一緒だ。
長女曰く、「可愛いアイリアがアバンチュールに!?」と言ったのが原因だ。そんな気は毛頭ない。
俺にはルビーが居るのにどうしてそう間違った方向に思考が行くんだろう?シスコンも大概にしろ。
そう思いながらも淡々とテントを建て終えた。このテントを建てるのも手慣れたもんだ。
テントを建てて早速中に入り、俺達は水着に着替える。そして砂浜用にパラソルやらクーラーボックスみたいな箱を用意して外に出た。
マダスと共にパラソルを立て終えて一息つく。
つなみに俺達男は無難なトランクスタイプである。説明終わり。
「なぁ~マダス」
「どうかしたか?マスター」
「バカンスって久しぶりだな」
「だな~。お前に付いて行くと色々と面倒事ばかりだし、こうまったりした時間は過ごせなかったよな~」
「それはごめんって。野生動物相手にしてるからどうしてもさ」
「それは覚悟して付いて行ってたんだから気にするな。ちょっと意地悪したくなっただけだって」
「それならよかった」
サングラスをかけて昼寝でもしようかと思ったら、シルフィーが水着状態で現れた。
シルフィーの水着はフリルが付いた可愛い感じの水着だ。ちょっとスク水っぽい?胸の所に名前書いてあったら確実にスク水なんだけどな。
「シルフィー、他のみんなは?」
「もうすぐ来る。でもイージスは熱さにやられてるから来ないって」
それはよかった。貞〇の海水浴なんてホラー以外の何者でもない。むしろ髪が濡れて怖さアップか?
「マスター!その代わり私は来たわよ!!」
アスモデウスの声を聞くとどうしても不安になる。嫌々振り向いてみると、予想通りとは言えあまりにもとんでもない姿だった。
アスモデウスが来ている水着はヒモである。あのパチンコのヒモみたいなあれだ。
「…………………………」
「どうしたのマスター?誘惑されちゃった?」
そんな訳がない。開いた口が塞がらないとはこう言う事を言うのかと初めて理解した。
前世でもこういう水着を着ている漫画とかあっても、現実じゃありえね~っと思っていたのだが実際に見て思う感想は1つだけ。
「ただの痴女だな」
「も~そんな嬉しい事言わないでよ、もう!」
くねくねするな~、キモイぞ~、関わりたくないぞ~、逆に俺の男の部分が全く反応しないぞ~
唖然としているとアスモデウスがぶっ飛んだ。
脇腹に綺麗に入ったケリはアスモデウスを砂浜に激しくぶつかる。そして蹴ったのはラファエルさんだった。
「全く。本当にそんな水着を着てくるなんて頭おかしいんじゃありませんか?いえ、おかしいから着ているんでしょうね」
そんなラファエルさんの水着は落ち着いた緑のパレオだ。
お姉さん系のラファエルさんにとても似合っている。それからさっきの痴女を見た後だと更に癒し効果が増している気がする。
「ラファエルさんらしくていい水着ですね」
「ありがとうございます。露出はあまり好きではないので、このような水着があってよかったです」
「そこは天使らしくて良いんじゃないですか?」
「そう言っていただけると助かります。でも男性は露出部分が多いと喜ぶのでは?」
「そこまで下心だけで見てませんよ。俺は似合っているかどうかで判断します」
「ふふ。それならアイリ様達の水着も期待しててくださいね」
それは期待しかねる。だってシスコン姉妹の水着だぞ、興奮のしようがない。そう思っていると続々と女性陣がやって来た。
最初に来たのは長女、三女、エルノの3人。3人とも柄は違うが……普通の服?
「おいシスコン共、海に入らないのか?」
「何言ってるの?当然入るに決まってるじゃない」
「私達どこも変じゃないわよね?」
「マスター。これは服の様に見えるかもしれないけど、これも立派な水着なの。タンキニって言う水着でね、このまま泳いでも大丈夫なの」
へ~そんな水着があるのか。知らなかった。
「私達の肌をそう簡単に見れると思わない事ね!!」
「そうよ!将来の旦那様のためにあなたにだけは見せられないわ!!」
「長女三女、お前らには元々何の期待もしてないし、見たいとも思わない。あ、エルノは似合ってるぞ。その服」
「ありがとうございます」
「「それはそれでイラつく!!」」
ちなみに三女のパートナーである女王は意外な事にビキニを着ていた。と言っても元々小さな体でビキニを着ているから何とも思わないんだけど。
「……失礼な事を思われた気がする」
となると最後は……うちの女性陣か。
家のルビーがどんな水着になったのか期待半分、不安半分と言ったところだ。一応水着屋では変なのを着てはいなかったはずだが……
「ほら!もうみんな出ちゃったよ!」
「ほら!アイリアも早く行こう!!」
「わ、分かったから引っ張らないで!」
そんな慌ただしい感じで登場した3人中で、ルビーが1番美しかった。いや、3人ともそれぞれ似合っているのだが、何故だかルビーの姿から目を離せない。
野良猫は猫の肉球マークが入ったチュートップ水着で、活発そうな感じがしながらも女性らしさを出している。
ドラバカは意外とホルターネックの水着で、ドラゴンの紋章が入ったシンプルな水着だ。ドラバカ自身の素材の良さを生かしているように感じる。
そして最後にルビー。
最もシンプルと言える白いビキニだ。てっきり好きな紅い水着にするのかと思っていたのだが、その白い水着がルビーの赤い髪や、尻尾を美しく引き出している。
ルビーの肌も白い方なのでとても美しい。
「マスター、どう?」
「………………」
「マスター?」
「え、あ、ああごめん。見惚れてた」
「ホント!?初めてだけどどうかな?これ?」
「スゲー似合ってる。正直驚いた」
「ふふ~ん。そっか」
嬉しそうに抱き着くルビーの頭を優しく撫でる。
というか今の俺、上半身裸だからルビーの柔らかさがダイレクトに当たってちょっと大変なのですが。
理性と本能に挟まれながらも、どうにか抱きしめたい気持ちをぎりぎり押さえつける事が出来た俺だった。




