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ちょっと振り返り

「お姉さま達、またマスターにちょっかい出していたんですか」


 ドラバカ達居るという部屋に入ると、ドラバカが仁王立ちで待ち受けていた。

 ドラバカが対象として見ているのはシスコン達なので、俺はそっと避けてマダスの隣に座る。


「そっちはどうだった?」

「どうも何も、またマスターがバカ仕出かしたって事ぐらいの反応だよ。それで人魚ちゃんは?」

「今プールで泳いでる。少し落ち着いた思ったら見に行ってみるさ。それより洗い場ない?一緒に海水に入っちまったから潮臭くてさ」

「それなら着替えて来なよ、シャワーあるよ」


 マダスの指差す方にシャワー室があるんだろう。

 ついでにシャワー浴びるか。


「そうだな。潮臭いし、シャワー浴びてくるわ」


 そう言ってシャワー室に行く。

 1部から強い視線を感じたので鍵はきちんと閉めておく。


 -


「マスターあが……ああ、やっぱり潜入してたんだ」

「おう。ぶん殴っといた」


 左手には気絶したアスモデウスがいる。

 案の定潜入してきたのでぶん殴って気絶させといた。


「なんでアスモデウスも俺にばっかりよって来るんだか。俺よりいい条件の男なんざいっぱいるだろうに」

「俺としては単に対抗心な気もするがな。だってマスターだけじゃねぇの?あの煙が効かないの」

「さぁ?天使系の魔物と契約してれば耐性とかできると思うんだけどな。一般人じゃどうしようもないだろうけど」


 俺はアスモデウスを適当に捨てて、ソファーに深く座る。

 考えるのは人魚の事だ。

 怪我とかだけならもう治したが、親元に帰すまでが大切だと思っている。

 だから食事に関しても考えないといけない。


 実は人魚は有名なわりに、あまり生態が知られていないのだ。

 理由は人魚達が臆病と言う点に、人魚達は基本的に人間を敵として見ているからだ。

 それは世界各国に存在する不死伝説の影響による。


 どっから生まれたのかは知らないが、人魚の肉を食った人間は不老不死になるという伝説がこの世界にもある。

 それに人魚はみな美形揃い、不老不死と言う伝説に興味がなくとも、奴隷のように扱う事を前提とした狩りも多く行われてきた歴史が存在する。

 そうやっていたために、人魚は余計人間から遠ざかり、今じゃ激レアな魔物となった。


 だからもし大雑把に魚を食べると知っていても、どのように与えるべきなのか分からない。

 生のままがいいのか、火を通した方がいいのか、それ以前に魚は切って刺身の様に出すべきなのか、斬らずに魚の姿がしたままの方がいいのか、全く分からない。

 とりあえず手探りで食べ物を探すしかない。

 一応昆布とかも準備した方がいいのか?


「……」

「ん?どうしたマダス?俺の事じっと見て」

「いんや、ただ真面目な顔してんな~っと思って」

「当たり前だろ。生き物の命かかってんだ、真剣に考えないでどうすんだよ」

「分かってるさ。それに一応俺の方でも情報を集めてみた。人魚の主食は生魚、と言っても姿そのままではなく、切り分けられた物らしい。つまり刺身だな。そして好んで食べるのは海の魚なら基本的に何でも大丈夫らしい。ただカサゴみたいな毒がある魚は食べていないそうだ」

「カサゴ……煮つけが食いたくなるな」

「それから好みは沖合で採れた魚、魔物系は食べなくて普通の魚だけを食べるそうだ。参考になるか?」

「なるなる!!ありがとなマダス!そうか、つまり刺身を食うのか。人魚達は」


 刺身……もうずっと食ってないな。

 以前『健全』のスキルがあるとか関係なく、買った魚を刺身にして食おうと思った時、全力でマダス達に止められた。

 どうもこの世界、生魚を食うのは自殺希望者的な偏見があるらしい。

 別に身が硬くなるまで火を通せ、みたいな事にはなっていないがそれでも生魚を食うのは相当度胸の居る事のようだ。

 それじゃタコを食おうっと思った時はもっと止められた。


 ここはヨーロッパか!?

 デビルフィッシュか?ここじゃタコをデビルフィッシュって呼ぶのか!?

 タコは食いもんだ!!日本人として主張する!!


「……それじゃ人魚のために刺身でも頼んでおくか。2人分」

「ちょっと待て、本当に生魚を食うつもりか!?いくら『健全』でも寄生虫には負けるだろ!?」

「新鮮な魚なら問題なくね?それに寄生虫が付いてるのって基本的に鱗の部分じゃなかったけ?」

「体内にもいるに決まってるだろ!とにかく!お前は食うなよ」

「え~」

「不満そうにするな!調教師が寄生虫にやられるとか冗談じゃねぇよ」


 多分大丈夫だと思うんだけどな……

 ああ、刺身食いたい。

 寿司食いたい。


「全く、その辺のゲテモノを食いたがる性格直せよ」

「美味いぞ?実際に食ってみれば分かる」

「食ったのか!いつどこで食った!?」


 マダスが本気で驚きながら俺を前後に揺する。

 あ~頭がグワングワンする。

 そう思っているとルビーが言う。


「そう言えば人間って火を通した物しか食べないよね。確かにあれはあれで美味しいけど、生でも美味しい物はあるよ?」

「前に言ったけどね、ルビーちゃん。人間は弱いの。そりゃあ野生の世界に身一つで飛び出したら、すぐに死んじゃうぐらい弱いんだよ」

「マスターは強いよ?」

「あれはただの異常だ。あれを基準にしちゃダメ」


 マダス~本気で言うなよ~。

 確かに転生特典で色々貰ったが、別に世界のバランスを崩すほどの力はもってないぞ。

 戦闘系の話ならともかく。


「でもマダスの言う通りよね。マスターって色々異常だもの」

「野良猫まで俺を異常者扱いするのか!?」

「当たり前でしょ。学生時代からどれだけ異常者っぷりを見せつけてきたと思ってんの。研修先で気性の荒いケルピーを手懐けたり、不吉の象徴であるエンドクロウと仲良くしたり、あげくには暴走するゴーレムの頭部を殴って正常化させたり、これが普通の人間がする事だと思う?」

「べっつに~1人でやったから異常者扱いされてるだけです~複数人でしてたら異常じゃありません~」

「認めてるじゃない。それを1人でやったから異常者扱いさてれるって」


 そんな事言ってもな……

 あのケルピーは前の主が居なくなって気を荒くしてただけだし、エンドクロウなんてただのデカいカラスだし、ゴーレムは一か八かで殴りながら癒しただけだ。

 俺のかでゴーレムとは機械的なイメージがあったから正直効くか効かないか分かんなかったけど。


 と言うか他の連中がビビり過ぎなんだよ。

 そりゃ俺だって毒がある連中とかにはビビったよ、でも今言った連中全員デカいとか、嫌な噂が流れてるだけの魔物じゃん。

 ビビり過ぎなんだよ。


「さらに言うと、ついこの間。ルビーちゃんの時だって異常者っぷりを発揮してたんだからね。暴れるドラゴン相手に武器1つ持って行かないし」

「いや要らないだろ」

「さらには押さえつけていた、他の契約ティム関係の魔物に頼んで言う事を聞かせる」

「頼んだだけじゃん」

「挙句の果てに今そのドラゴンを契約ティムしたってどういう事よ?」

「だって……嫁入りしたし……」


 そう言われると弱い。

 ルビーはまた嫁と言う部分に嬉しそうに尻尾を振る。

 ドラバカは厳しい目線を送ってくる。

 だからその顔止めとけって、ファンが見たらがっかりするぞ。


「ちょっとは自分の異常ぷっりを理解した?」

「ちょっとは」

「なら宜しい。少しは自重しなさいよ、魔物達のためって所は間違ってないんだから」


 野良猫が言いたいのはやり方とかそう言う事なんだろう。

 俺のやり方は大雑把で目立つ事が多い。

 だから気を付けろと言っているんだろう。

 頭では分かってるつもりだが、どうしても先に動いちゃうんだよな……


「それではお姉さま達はそこで待機です」

「あの、アイリアちゃん?正座1時間は大変なんだけど……」

「東の方ではこれで精神を落ち着けているそうですよ?お姉さま達もこれで落ち着いて下さい」


 いい笑顔で言うドラバカ。

 姉たちはドラバカには甘々なので逆らえない。

 と言うか、逆らおうとしない。

 そんなドラバカも話に参加する。


「ところでマスター。なんで私達魔物使いはそれぞれ何とか使い、なんて言ってると思う」

「なんだそれ?ただの得意分野で名乗ってるだけだろ?」


 ちなみに野良猫は猫系の魔物使い。

 マダスは妖精系の魔物使いと言われいる。


「そう。それぞれの得意分野を伸ばした方が楽だからよ。でもマスター、あなたの得意分野は?」

「……ないな」

「ないんじゃない、すべて得意なんでしょ。あなたは魔物に対して強い興味と好奇心を持っている。だから1つの事だけに特化しているのではなく、魔物全般に対して広い知識を持ち合わせている。しかも魔物使いにとって重要な魔物に好かれる才能を持っている。それがとても、嫉妬してるのよ」

「嫉妬って、そこまでじゃないだろ。だって偶然――」

「偶然でも何でもあなたは魔物に好かれる才能を持っている。実際ルビーちゃんだけじゃない。お姉さま達のパートナーであるみなさんにもとても好かれている。それを妬ましく思わない魔物使いは居ないわ」


 ……だからずっとドラバカは俺に対抗してきたのか?

 何かと勝負と言って、突っ掛かって来たのか?

 俺が誰かの嫉妬の対象になるだなんて思ってもみなかった。

 そう思っていると後ろからルビーが抱き付いて来る。


「やっぱり私のマスターは凄いね」

「なんだそれ?突然どうした」

「だって魔物みんなに好かれてるんだもん。私は誇らしい」


 そう言って頬を擦り付ける。

 俺はそんなルビーの頭を撫でた。

 この空間が心地よくて、居心地が良くて、ついぼんやりとしてしまう。

 取り合えず言う事は1つだな。


「これからも異常っぷりを見せつける事になるだろうが、これからもよろしく」


 軽くそういうと、みんなも軽く返してくれた。

 それじゃそろそろ人魚ちゃんの事を本格的に始めますか。

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