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とりあえず終了

 気が付くと俺は紅い何かに守られていた。

 日の光に当たって美しく光るその鱗だと分かると、俺は優しく言った。


「全く、自分から飛び込んでどうすんだよ。ルビー」


 久しぶりに見るルビーのドラゴン状態だ。

 蛇がとぐろを巻く様に、俺を中心に丸くなる事で麒麟さんの攻撃を防いでくれた。

 ルビーは体勢を元に戻すと、麒麟さんに向かって思いっきり吠えた。

 おそらくこれが、咆哮と言うのだろう。

 その姿は雄々しく、同時に気高い美しさも兼ね揃えていた。


『……そのドラゴンは何者だ』

「俺が契約ティムしたドラゴンだよ。名前はルビーだ」

『ほう。ようやくマスターが契約を結んだか。それにしては随分と大物と契約したものだ』

「俺もそう思う。それから麒麟さん、今日はここまでにしないか?」

『何故だ?2人のコンビネーションと言うものを、見せてくれるのではないのか?』

「悪いが、そんな事のために契約したんじゃない。ルビーは俺の嫁だ」


 そう言うと何故かルビーが1番驚いていた。


「……何故ルビーが1番驚く」

「だ、だって!人前でそう言う事、1度も言った事ないから……」


 人型に戻ると顔を赤くしてもじもじし始める。

 やっぱり可愛い。

 そう思って頭を抱でていると、2番目に驚いていたアスモデウスが、崩れ落ちていた。


「あ、あれ?アスモデウス?」

「ちっくしょう……もう既に、マスターちゃんに奥さんが居ただなんて……やっぱり清楚系?清楚系が好きなの?」

「何でそんな凹んでるの?別に清楚とか特に決めてないが、ほぼ見合い結婚だぞ?」

「てことはなに!?その子ご両親に承諾は得ちゃってるの!?」

「と言うか直接渡された」

「ぐっは」


 吐血するかのように言うと、前に倒れてピクピクしてる。

 ………………こういう時どう反応すればいいんだろう?


「えっと、確認いいかしら?」


 何故か長女が挙手をしながら聞いてきた。


「どうぞ」

「アイリアは知ってるの?2人の関係」

「知ってますよ。キスしてるところは見られたんで」

「ちょっと集合」


 長女の言葉に他の姉妹達が固まって、相談をし始めた。

 その間にラファエルさん達は俺の方に来る。


「ご結婚おめでとうございます。関係はどこまで行ったんですか?」

「関係って、キスまでしかしてないですよ」

「……でもドラゴンを堂々と嫁って言う人は少ない。と言うか魔物と結婚する人も少ない」

「別に世間の事をそこまで気にしていませんよ。俺はルビーに惚れてます。だから堂々と嫁って言います」

「なら童貞を奪うチャンスは!!」

「マスター。噛み殺していい?」

「こんなんでもたまには役に立つから、それから人の相棒殺そうとするなよ」

『すまんな、エレメンタルフレイムドラゴンの子よ。儂はどうも手加減が苦手でな、許してもらえんか?』

「いいよ。マスターもダメって言うし」


 ルビーと麒麟さんは和解したようで何より。

 にしてもあの4人はいつまで円陣組んで相談してるつもりだ?

 かなり討論してるみたいだけど。


「……マスター。この子の事、ルビーちゃんって呼んでいい?」

「ルビーに聞けよ女王」

「……一応の確認。ルビーちゃんには許可は貰ってる」

「なら好きにそう呼べよ。で、それだけか」

「……ううん。ただ忠告しておこうと思って」

「忠告?」


 確認を取ると女王は真剣な表情で俺に言う。


「……あの子を狙う存在はきっと多い。それは人間だけじゃなく、他のドラゴンからも」

「そりゃどう言う事だ」

「……エレメンタルドラゴンは6種いる。その内の何種かはルビーちゃんを狙うかも知れない。色んな意味で」

「色んなって事は悪い意味だけじゃない?」

「……ん。例えば光のエレメンタルドラゴンはあの子のお父さんかお母さんと仲良しって聞いた事がある。その代わり、光と仲良しだからって理由で闇のエレメンタルドラゴンからは嫌われてる」

「なる程。ルビーやエレメンタルフレイムドラゴン個人だけじゃなく、そう言う勢力争い的な意味でもあるって事か」

「……最低でも縄張りには入らない方がいい。ルビーちゃんなら本能で縄張りの事が分かるだろうから」

「分かった。気を付ける」


 縄張り争いによる戦い、と言うものは自然界では普通の事だ。

 強い生物が広範囲に、獲物や住み心地の良い地域を手に入れる事が出来る。

 それは当然魔物にだってそう言う意識はある。

 おそらくそれぞれが適した土地を縄張りにしているだろうが……どこなのか全く分からないからな……


 そしておそらく、その縄張りに居る各エレメンタルドラゴンは、かなり強いであろうという事だけは理解できる。

 それは王都に襲来してきたルビーの家族の事を思い出せば容易だ。

 決して怒りに触れてはいけない生物である、とだけは分かる。


「マスター?」

「ん?どうしたルビー」

「何女王ちゃんと話してるの?」

「別に大した話じゃねぇよ。それより仲良くなれそうか?」

「うん。アスモデウス以外は」

「ルビーちゃ~ん。お姉さんにそんな意地悪しないで欲しいな~」


 そうアスモデウスが言うが、ルビーは目を半開きにして、見下げる様に見る。

 その視線にアスモデウスは両腕で肩を抱き、震えている。

 ちなみあれは怖がっているんじゃない。

 ド変態だからドMでもあるだけだ。

 特に気に入った相手にそうされるとよく喜ぶ。


 そんなアスモデウスにラファエルさん達がため息を付く。

 そんなラファエルさんがぽつりとつぶやいた。


「……昔はもっと悪魔らしかったんですけどね……」

「そうなんですか?この変態が?」

「ええ。七魔の1人に数えられ、生命に深く通じていたのが彼女なんです。でも流石に5桁ほど生きると……」


 さらっと5桁ってすごいな。

 そうか……5桁は生きてるんだ……


「ん?どうしたのマスターちゃん?は!もしかしてようやく私の美貌に!?」

「それはない。下半身直結悪魔とエロい事なんてしたくねぇよ」

「そんな~」


 そう言ってわざとらしく崩れるアスモデウス。

 こうも軽くかかわれるのはこの人ぐらいだし、別に嫌いじゃないんだが……


「待たせたわね」


 そう言ってきたのは長女だ。


「本当に待ったよ。それで会議結果は?」

「まずはアイリアの様子を見てからね。その後改めて審議するわ」

「なんだよ、まだ警戒してんのか?」

「当たり前よ。あなたに気がなくても、アイリアの反応によっては、これからもあなたの事を警戒するわ」

「ならドラバカにいい見合い相手でも見つけてやれ。テンプレ満載で結婚式当日に殴り込みに行く様な事はしないから」

「それはそれで嫌なんだけどね……こっちよ」

「こっちってどこ行くんだよ」

「アイリアの所よ。マダス君もティナちゃんも居るから」


 それじゃ付いて行こう。

 ルビーに腕を絡ませられながら、みんなのいる場所に行くのだった。

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