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シスコン戦隊、ドラグ・ノート!参上!!

 俺は普通に通路を通ってドラバカ達を探す。

 この別荘、魔物のためにも設計されているためとてもデカい。

 多分迷子になるだろうからちょっとは覚えておかないと。


 そんな迷子になりそうだと思いつつも視線を感じる。

 視線の数は全部で8つ、やる気満々の気配が半分で、もう半分は仕方なさそうな気配だ。

 と言うか実際に仕方なく動くんだろう。

 契約者である連中の命令で仕方なくここに居る。

 その気配を確かに感じながら迷っていると、中庭と思われる場所に出た。


「これは……見事だな。整理しているのは3番目か4番目だな。いい空間じゃねぇか」


 中庭は人間だけではなく、魔物達も心地良く過ごせるような空間となっている。

 ベンチなどは最小限に、精霊や聖獣が好む様な草木も多い。

 何より強い生命力を感じる。


 花をじっと見ていると、足元から視線を感じた。

 視線の正体はアルラウネだった。

 植物系の魔物で種族は花の数だけ居ると言われている。

 魔物と言ってもどっちかって言うと精霊寄りで、本体は植物ではあるが、人前に現れる時は花を頭に乗っけた小人のような姿が多い。

 綺麗な花畑に来たら、足元から大量のアルラウネが現れた、何て話も聞く。


 と言ってもこの中庭に居たアルラウネはまだまだ小さく、おそらく見た目通りの年齢なんだろう。

 アルラウネの寿命は植物が枯れるまで、なので必ずと言える寿命は確定されていない。

 多分この子は生まれて1年も経っていないだろう。


 初めて俺を見たアルラウネは葉っぱの陰に隠れて俺をじっと見る。

 可愛らしい姿につい頬が緩む。

 俺はそっと小指をアルラウネに寄せる。

 アルラウネは俺の小指を掴んだので、お近づきの印程度に俺の生命力を分ける。

 アルラウネは俺の生命力を受け取って上機嫌で消えた。

 あくまで本体は植物そのものなので、その分身と言える小人の姿だと急に居なくなる事もよくある事だ。


 俺は軽い挨拶を終えて再びドラバカを探す。

 どうも室内からだと分かり辛いので、1度外に出た。

 外に出ても視線はいまだについて来る。

 適当な方向に行こうとすると、視線が強くなった。

 どうやらそっちに入ってほしくない様なので、素直に方向を変える。

 すると視線は元の感じに戻る。


 そんな感じでぶらぶら歩いていると、何だか味もそっけもない広い場所に出た。

 あるのはただのグラウンド。

 な~んでこっちに行かせたかったんだ?


「ようやく来たわね!!この魔物ったらし!!」


 まるでどっかの戦隊モノのレッドが言いそうなセリフを言いながら、カッコ悪く、魔物に抱きかかえられた状態で空から降りてきた。

 他にも、もう3人と3体。


 1人はパートナーの魔物の魔力で降りてきて、1人はチョウの様な精霊に囲まれて、1人は魔物の背に乗って下りる。

 どれもこれもドラバカに顔が似ている。

 そりゃそうだ、こいつらは――


「私達の可愛いアイリアと一緒に旅をしているとはどういうことなの!?」

「……内容によっては、呪う」

「アイリアは私達の者よ!絶対あなたなんかにあげないんだから!!」

「アイリアはまだ嫁に行かせるわけにはまいりません!!」


 妹大好き戦隊、ドラグ・ノートだからだ!!

 ちなみにこいつらボスは、ドラバカの父親である国王だ。

 なんでもアイリアから悪い虫がつかないように守るのが仕事らしい。


 ちなみにざっと紹介すると。

 長女、アイリ・ドラグ・ノート。

 次女、イージス・ドラグ・ノート。

 三女、ウティア・ドラグ・ノート。

 四女、エルノ・ドラグ・ノート。


 性格は全員シスコン。

 面倒だから以上!


「な、何か言いたげな表情ね。失礼な事考えてない?」

「考えてねぇよ。ただめんどくせ~っと思っただけ」

「十分失礼よ!!私達が揃う所を見るのはとっても稀なんだから!」

「そんな事言ってもよ?ことある毎に俺を襲撃してくるくせして、稀もレアも何もねぇよ。クソ女騎士」


 ちなみに言い忘れていたが、長女は軍事関連の仕事をしている。

 なので普段はもっぱら女騎士。

 今も鎧装着中。

 暑くない?

 そして視線を次女に移す。


「で、そこの引きこもりのコミュ障はいい加減治ったか?」

「……し、仕事はちゃんとしてる」

「魔道具の腕は俺も確かに認めてるが、その前髪だけでも上げらどうだ?陰気臭いんだよ」


 次女の仕事は魔道具の製作、および鑑定。

 魔道具をパートナーと共に作ったり、どっかで発見した魔道具がどんなものか調べたりする。

 前髪は長く垂らしているので基本的に貞〇状態。

 暗闇で遭遇するとマジ恐い。

 次三女。


「脳みそお花畑、頑張ってるか?」

「私は脳みそお花畑じゃない!!いつになったらそれやめるの!?」

「一生だ」


 三女の仕事は農業系、もっと広く言うと食料担当。

 精霊の力を借りて、大地に活力を与える事で作物がより元気に育つ。

 ちなみに五姉妹の中で最もチビだ。

 背の事を言うとキレる。

 最後に四女。


「密猟者退治いつもご苦労さん」

「たまにはバイトしてきてくださいね?待ってます」


 四女の仕事は密猟者の取り締まり。

 パートナーの魔物が戦闘に向いている事もあり、治安維持や内政担当。

 この中では最も俺と友好的だ。

 取り締まりのバイトもした事があるし、基本的に冷静だ。

 ドラバカが絡まなければ。


「ちょっとエルノ!!何でアイリアを誑かす男と親しげなの!!」

「親しいと言う程ではありませんわ、アイリお姉さま。ちょっと一緒に仕事しただけの関係です」

「エルノちゃんってなんだかんだでマスターの味方するしね~。もしかして……」

「邪推はよしてくださいウティアお姉さま。彼の能力はかっていますが、男性として見た事はありません」

「……好きで引きこもりなったんじゃないもん。研究に没頭している間に引きこもりキャラが定着して、いつの間にか魔女なんて言われてるし。まぁ確かに悪魔と契約している以上、魔女と言われても仕方ない気がするけど」


 ワイワイと姉妹話が始まった。

 その間に各パートナーの挨拶をしておく。


「そっちは元気でしたか?ラファエルさん」

「私は癒しの天使ですよ、元気に決まっています」


 ラファエル、長女が契約している天使。

 彼女を象徴する新緑色の四対の翼に、優しげな表情がよく似合う。


 元々は王妃、つまりこの姉妹達の母親と契約していた天使と言われている。

 自身でも言っていたように、人を癒したりするのが得意な天使であり、戦闘系とは言えない。

 と言っても天使である事は変わらないので、結構な戦闘力を持っている。

 あくまで天使の中で、という話らしい。


「そう言うマスターちゃんは溜まってない?抜いてあげようか」

「それはまたその内。と言うかパートナーの前でそんな事言っていいのか?」


 いつの間にか俺の後ろに現れ、俺の身体をまさぐる。

 アスモデウス、次女が契約している悪魔。

 下ネタ大好きなエロ悪魔。


「だって普段は研究室で2人っきりだし、男っ気なんて全くないんだもの。絶対に行き遅れるわね」

「なんと寂しい断定だ。で、どう思いますか?精霊女王」


 俺の癖ッ毛の髪の上に乗っかる精霊女王。

 名前は特になく、三女が契約している精霊。

 無口だが、さり気ないフォローをしてくれるすっごく助かる子。


「……それよりご飯」

「はいはい。菓子より俺の生命力が好きっていいのか?これ」

『いつも騒がしくてすまないな、マスター殿』


 とても知性の感じる、渋い爺さんの声は四女のパートナーからだ。

 麒麟、サバンナに居る方ではなく、ビールのマークにもなっている方の麒麟。

 この魔物の中では最も落ち着いており、1番の苦労人だ。


「いえ、いつまで経っても誤解を解決できない俺の責任です。はっきり言っているのに何故か聞く耳もたないんですよ」

『アイリア様の事本当に思っているからこその感情もの、ご理解いただきたい』

「まぁ心配から来てるってのは分かってます。ただ……皆さんと戦うのは正直やり過ぎだと思う、と申しますか……」

「それに関してはこちらからも謝罪を。アイリア様の事となると、怒りの沸点が低くなるので」

「そんだけ嫁に出したくないなら手を出せばいいのにね。今じゃ同性愛も普通なんでしょ?百合百合しちゃえ」


 麒麟さんとラファエルさんは呆れながらも謝罪し、アスモデウスはからかうように言う。

 あ~それ俺も前に言ったな。

 学校に居る時に追い掛け回されて、いい加減ウザったくてつい「そんなにドラバカを渡したくなかったら親近交配でもしてろ!!」っと言ってしまった。

 その時は大変ドラバカに怒られました。

 大声でそんな事言うなだって。

 だがしようと思えばできない事もない。


 なんせ次女が契約しているのはアスモデウスだ。

 エロの権化、猥褻物わいせつぶつが服着てる、生きた18禁、クイーン・オブ・ビッチなどなど、普通なら外を歩けないぐらいのドスケベである。

 そしてアスモデウスにはサキュバスとしての面が強い。

 つまり現実ではどうしようもない事も、夢の中では自由自在と言う訳だ。


「アスモデウス、あなたが動いた時はガブリエルを呼びますからね」

「分かってるわよ。でも~やっぱりたまには乱交ぐらいした~い。あ、ちなみに女は私1人ね」


 逆ハーレムかよ。

 ラファエルさんが呆れながら言う。

 ちなみに今話に出てきたガブリエルさんはアスモデウスの天敵らしい。

 なんでも男女間の正しい恋愛を押しているからだとか。

 まぁ生物学で言えば百合もBLも狂ってるっちゃ狂ってるんだが。


「……下半身が脳みそ悪魔」

「ちょっと女王、それ私にとって誉め言葉よ?」

『はぁ……辛い』

「麒麟さん!そんな深いため息しないで!!はい回復!」

『すまんのう……儂、エルノ様だけならともかく、この姉妹が揃うとひどく疲れるんじゃ』

「麒麟様、今日のお薬は飲みましたか?」

『飲んだのじゃが……既にダメかもしれん』

「麒麟さんが薬飲んでるってマジ?どんだけ苦労させてんの」


 呆れながら4姉妹を睨む。

 ま~だ煩くしてるよ、あのシスコン共。

 麒麟さんがラファエルさんの薬を飲んでる、それだけでどれだけの異常となっているか気付いてないのか?

 もしそうだとしたら本物のバカだ。

 あの姉妹、5人揃って5馬鹿と呼ぼう。


「で、お前ら揃ってなにがしたいんだ?そろそろドラバカの方に帰りたいんだけど?」


 そう言うと長女から三女までがはっとしたように俺の方を見た。

 四女だけは普通に覚えていたみたいだが。


「そうはさせないわよ!!あなたみたいな男はアイリアにとって邪魔なだけよ!ラファエル!!スタンバイ!」

「はぁ……申し訳ありませんね、マスター。こうなるとアイリは私の言葉を聞いてくれませんから」

「……去勢する!!」

「ねぇイージスちゃん。去勢するぐらいなら私に頂戴よ、マスターの赤ちゃんなら私……」

「行くよ、精霊女王ちゃん!!」

「……マスターごめん。あとでごめんなさいする」

「それでは麒麟、軽くお願いします」

『エルノ様、本当に軽くでもよろしいですか?』


 こうして4人と4体は戦闘体勢に入る。

 俺はどうせこうなる事を知っていたので、身体強化を最大にまで引き上げた。

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