夜は危険
ライガーの捕食と言うイベントが起きたがライガーたちはもう既に去った。
ブラッティーホーンを恐れてか、食事を終えるとどこかに向かって歩いて行った。
他の草食動物たちは既にライガー達が満腹なのを知っているからか、鳴き声を上げたり威嚇する事もなく、ただ遠くに行くのを見ている。
その後1部の群れは湖から離れて移動する。
ライガーを恐れてか、他の水辺に向かうんだろう。
その群れが無事にたどり着く事を願う。
ドラバカは俺の事を冷血と言ったがそのぐらいの感情はある。
手を出したりしないのはあくまでもこの自然の中で生きている間だけだ。
手ぐらい差し伸べる。
そしてこの日はそれ以外は特に目立った事は起きらなかった。
もう既に夕焼けが差している。
今日はここでテントを張って夜に備えるとしよう。
「そっち固定してー」
「固定したぞ」
という感じで今日もドラバカのテントを立てる。
少し先の方では動物たちが湖の近くで休んでいる。
しかし警戒は怠らない。
夜行性の肉食動物だって普通にいるし、そのための見張りもいるようだ。
それはブラッティホーンの群れだけではなく他の群れでもだ。
ほとんどの動物が寝ているが夜でも警戒して起きている動物はいる。
と言っても人間のように8時間も寝る必要はないので人間よりは寝なくても大丈夫だ。
常に回遊しているイルカなんかは器用に半分の脳だけを寝て休んでいると聞く。
そうやって生きている動物に比べれば素直に休んでいるといえるだろう。
そう考えながらも手は動かし、テントを立てた。
ほとんど俺とマダスで立て、野良猫とドラバカはまだ慣れない手つきで頑張っていた。
こればっかりは慣れだからなぁ。
そう思いながらもテントは完成。
昨日同様に中身は立派な内装になっている。
「あ~疲れた~」
「今日もほぼ歩き通しだからねぇ。あ、マダス今日の晩御飯何?」
「適当に冷蔵庫の中を見てから決める。それからマスター、夜食いるんだよね?」
「おー頼むわ」
「マスターだけズルい!」
俺とマダスの会話を聞いてルビーが言う。
俺はその発言にちょっとだけ笑ってからルビーに説明する。
「ルビー、それは単に夜もお仕事をするからってだけだ。夜も仕事となると腹減るんだよ」
「夜も牛の観察するの?寝てるだけだよ」
「ああ牛はな、でも他の夜行性の動物たちは起きてる。その様子も観察したいと思ってな」
「じゃぁ私も一緒に行く」
「え、でも」
驚きながら言うとルビーは当然のように言う。
「私はマスターと契約したんだもん。マスターが外でお仕事するなら私も行く」
「いや、でも夜行性の動物のほとんどは肉食が多いぞ?危ないから大人しく寝てろって」
「……マスター?私ドラゴンだよ。ただの動物や動物に近い魔物何て敵じゃない。マスターの護衛する」
胸を張りながら言うルビーにそう言えばと思いだす。
確かにルビーはドラゴンだ。
一説では世界最強の種族とまで言われている。
ルビーは子供だからそこまでの力はないだろうが、長く生きた個体は天使や悪魔を片手まで倒せると聞く。
さらにその上、神も倒せるとか色々と噂を聞くが……神様と契約した者は見た事がないので正直眉唾物だ。
まぁ個人的には天使が居るのだから神様が居てもおかしくはないと思う。
それにきっとルビーは俺が2人で夜に動くのが不安なんだろう。
夜は危険が多いからな。
それにいざと言う時のためにも素直に受け取るか。
「それじゃ頼むか。マダス、2人分頼む」
「分かった。温かいスープも入れておくから体冷やすなよ」
「悪いな」
「これも助手の仕事だ。それに俺は夜は怖くて動きたくない」
「大体起きているのは肉食獣だしな、マダスの判断の方が正しいよ。それじゃ夜のデート感覚で行こうか、ルビー」
わざとデートと言うとルビーの尻尾が激しく揺れた。
ソファーとかにぶつけて壊すなよ。
そう言うとドラバカが焦ったように言う。
「え、本気なの?本気で夜に出歩く気なの!?」
「行くよ?」
「何で普通に言うの!!これ相当危険な事なんだからね!?」
「大丈夫だって、慎重に行動するし今回はルビーもいる。安全な方だろ」
「それでも普通は行動しないわよ!人間が野生の世界でどれだけ弱いか分かってんの!?」
「分かってる」
「分かってない!」
俺を心配して言ってくれているのは分かるが……
「そこまで心配しなくたって大丈夫だって。『身体能力強化』もあるし、夜目だって利く。それに今回はルビーだってついて来てくれるんだ。何かあっても逃げの一手だから問題ないって」
「そう言ってあなたが学生時代にどれだけ無茶してきたか分かってる!?そのおかげでこっちがどれだけ心配してきたか……」
「えっと、ドラバカ?」
「とにかく私は反対。この屋敷の窓からだって見えるんだから観察するなら部屋の窓から見て、私は絶対認めないから」
そう言って先にドラバカは行ってしまった。
心配性だな、ドラバカは。




