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やっと見つけた

 飯を食ってしばらくしてから屋敷を出た。もうこれはテントじゃなくて屋敷と呼んで問題ないだろう。

 全員が出た後テントを解体する。複雑な形ではあるが解体するのには時間が掛からない。なのですぐ解体し終わり、ドラバカの収納系魔道具にしまう。


「それじゃ行くか」

「おー!」


 ルビーが元気よく言ってから出発、水辺があるであろう場所に向かって歩く。

 そうして歩いている間にドラバカと野良猫もようやく慣れてきたのか俺たちのペースについて来ている。

 ルビーは辺りをきょろきょろしながらではあるがちゃんとついて来ている。ちょっと危なっかしく感じるが。


 そうやって2、3時間歩いていると動物の姿が見えた。

 まだ遠いので双眼鏡で確認するとシマウマの群れが居た。


「やっと動物の姿が見えた。それに幸先がいい」

「あれって牛じゃないでしょ?探しているのは馬なのに何で?」

「あの馬はよくブラッティーホーンの後ろを追っかけてるんだよ。だからあの馬がいるって事はブラッティーホーンも近くに居る可能性が高いって事」

「へ~他の動物からどんな動物が居るか分かるんだ」

「と言っても大雑把なんだけどな。それじゃもう少し探すか」


 そう言ってから再び歩き出す。

 歩いている間に動物の姿が多くなってきた。今の所は草食動物ばかりだがそのうち肉食動物の姿も見えてくるだろう。

 その時は警戒しないと。


 動物が多い方に歩いていると多種多様な動物の群れが固まっている湖が見えた。


「あ、湖だ!」

「そうだな。それじゃ少し離れるか」

「え、水浴びしないの?」

「今は動物達に譲ろう。それに近付き過ぎると警戒されるからな」

「え~湖で水浴びしたかったのに……」


 残念そうに言うルビーにちょっと頭を撫でながら言う。


「その時は早朝に行こう。夜は危険だし今は動物たちがいる。そうなると早朝は比較的安全な方だからな」

「……約束だからね」


 頬を膨らませながら言うルビーは可愛い。ほっこりした。


「やっぱり可愛い系が好きなのか……!」

「親公認も強い理由だよな」

「手出しても怒られないだろうしね」


 おいそこ、俺は別に下心があってこうしてる訳じゃないからな。

 そう思いながら湖全体が見えるちょっとした丘まで歩く。丁度いい具合に全体を見渡せる。いい場所見付けたな。


 あと双眼鏡とペン、羊皮紙を出していつでもメモできるように準備する。

 さてブラッティーホーンはどこだ…………あ、居た。


 湖の一角で固まっている。湖には魚や動物がいる様に見えないので恐らく大きな水溜まりと言った感じだろう。

 でも最近雨が降ってはいないはずだし……湧き水なんだろうか?

 この間見たブラッティーホーンの赤ん坊も少し見ない間に大きくなっている。やはり動物の中でも魔物の赤ん坊は成長が早いな。


「マスター、せっかくだしここで昼飯の準備していいか?」

「あれ、もうそんな時間だっけ?」


 ブラッティーホーンを見ながら言っているので顔は会わせていない。

 あ、草をみに少し移動したな、以前見たように子供は中心に集めている。屈強そうな雄2頭が前と後ろを守っている。

 メモメモ。


「そんな時間だよ。それじゃ準備してるから飯出来たらすぐに来いよ」

「お~」


 生返事で返しながら観察を続ける。

 ブラッティーホーンも食事は草を食べるが決まった場所はない。

 大抵の牛科は根に近い部分を好んで食べるそうだがブラッティーホーンは個体によって好みが違う。柔らかい草の先を食んだり、根と先の中間ぐらいの部分を他の部物が食べた後を食んだりと性格が出る。


 ……ただ問題は俺の隣で涎を飲み込む音が聞こえる事か。


「……マスター、ちょっと狩りに行っちゃダメ?」

「飯はちゃんと食わせてるだろ」

「だってやっぱり自分狩ったご飯の方が美味しいもん。マダスのご飯も美味しいけど……そうだ!私が今狩って来て、そしてらマダスに料理してもらおうよ!そしたらもっと美味しいよ!!」

「確かに美味そうだが今はダメ。また今度な」

「む~」


 納得できてないみたいだが今ここでルビーが本来の姿になった場合この辺の生態系壊れないか?

 壊れなかったとしても100%崩れる。最低でも大混乱は起こるだろうな。

 ルビーは特にやる事がないからか俺の隣にいる。


 俺はブラッティーホーンの観察に集中して細かい動きも注意して見る。

 この間まで赤ん坊だった子たちは乳離れの時期の様で、乳を飲んでいる子牛との草を少しずつ食んでいる子牛と分かれている。

 この微妙な差異は何なのか気になるがおそらく向こうに居る間に起こったことだろうから、もう確認は出来ないだろうな。


「お~い飯出来たぞ」

「マスターご飯だって」

「聞こえたよ。それじゃ食うか」


 双眼鏡を放してマダスの元に行く。

 今日の昼はドラバカの食料から出したようで贅沢に巨大なステーキ肉が全員分あった。

 ちなみにルビーは3枚、キュイは2枚だ。


「マダス、もうちょい焼いてくれよ」

「どうせ群れが移動すれば俺達も移動するんだろ?なら軽くでいいだろ」

「でもこんないい肉を1枚だけとは、ルビーが羨ましい」


 ルビーの肉を見て言うとルビーはちょっと優越感に浸っている様に見える。

 そう思っていると野良猫が言う。


「逆にあれだけ歩いてよく2枚も食べたいって言えるわね。1枚で十分でしょ」

「私は半分にしてもらったぐらいなんだけど」


 ドラバカのステーキはそう言えば小さい。歩き過ぎて食欲がないとは、いや確かに激しい運動をした後とかは俺も重いものは遠慮するけどこのぐらいで……


「本当に体力落ちたんじゃねの?」

「あんたは元々『身体能力強化』を持ってるから言えるのよ!普通はこんなに歩かないって」

「そうか?マダスは普通について来てるぞ」

「マスター、最初は俺も付いて来れてなかったからな」


 そういやそうだっけ?

 なんだかんだで長いこと一緒にいるから分からんかった。


「そんなにキツイか?」

「初めはな。だがもう慣れた」

「そうか」


 そう言えば……『身体能力強化』を全力で使った事は今だにないな……

 学生時代重たい魔物とかを移動させるとかに自然と使かったが全力という事はなかったな……

 この能力を全力で使った場合はどうなるんだろう?


「マスターどうかした?」

「大した事ない。ただの考え事だ」


 さっさと飯を食い終えて観察に戻る。

 全力で『身体能力強化』を使った場合どうなるか気になるが、まぁ別に使う機会はないだろう。

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