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そろそろ行くか

 2人の衝突を右から左に聞き流しながらダイニングに行くとそこには既にマダスが朝飯の支度をしていた。


「おはようマダス」

「おはようマスター、それに姫様も」

「マダスおはよー!」

「キュイ!」

「ルビーちゃんもキュイもおはよう。マスター朝飯作るの手伝ってくれ」

「あいよ~」


 気の抜けた返事でマダスに返しながらマダスの手伝いをする。手伝いっと言っても精々サポート程度で皿を出したり食材を出したりするぐらいだ。

 普通なら適当なスープ1つで終えるところだが……この屋敷でなら十分食料もあるからしっかり食うって事だろう。


 ちなみにドラバカはルビーとキュイの相手をしてもらっている。キュイはともかく、ルビーは好奇心旺盛な様でちょっと危ないからだ。

 俺たち人間側はパンにサラダ、目玉焼きにハムなようだが……問題はその隣だ。


 ……朝からステーキ焼いてない?朝からステーキって重くないか。


「マダス、いくら食料があるからって朝からステーキってどうよ?」

「これはルビーちゃんとキュイの分。ドラゴンなんだしこのぐらいは食べさせないと」

「ああ、なる程。でも人の食材でルビーの食費を賄うのは何だかな……」

「そんな事言える余裕はないだろ。今じゃ姫様も助手なんだし、食材提供って事で納得すればいいだろ」

「……そうなるとドラバカは食材調達担当になるな。そう言えば野良猫はどうした?まだ朝が弱いのか?」

「みたいだ。宮廷魔物使いの時はどうにか起きてたみたいだけど自由度の高いこの研究職だと、どうしても起きようとしない」

「それじゃ朝飯は抜きにしとくか」

「かわいそうだからそれは止めてやってくれよ。俺が起こしに行くからさ」


 マダスがそれでいいのならいいが……この飯もマダスが作ったのだから特別強く言うつもりはない。食材はドラバカもちだろうし、あれ?俺何もできてなくね?

 ……よ、よし。研究に没頭できるからラッキーとでも考えておこう。

 そう思っていると野良猫がダイニングにやって来た。


「みんなおはよ~」

「ちょっとティナ、だらしないでしょ?」

「え~朝ごはんの時ぐらいはいいじゃん」


 やって来たティナは猫の肉球が描かれたパジャマの姿でやってきた。

 足取りもズルズルと引きずっているし、見るからに寝起きだ。

 後ろに居るリーグは1度伸びをして静かにテーブルの下に移動する。


「ご飯できた?」

「出来たから運んでくれ」

「私手伝う!」


 ルビーは率先してできた料理を運んでくれる。ドラバカもキュイを座らせてから料理を運ぶ。野良猫はノーコメント、さっきの様子から察してくれ。


 全員分の食事を並べてから食事を始める。

 食いながら今日こそはブラッティーホーンの群れに会えるように頑張ろうと思う。昨日の精霊の話だとまだ水場にいるのは間違いないだろうし、他の草食動物の群れが見つかればその中心に近い所に居るだろう。


 そのために朝はきちんと食べないとな。そうしないと歩けん。

 ガツガツと飯を食っているとルビーが手掴みでステーキを食っているのを見た。

 流石にそれはどうだろう?


「ルビー、ちゃんとナイフとフォーク使いな」

「え~こっちの方が食べやすいのに」

「ダメだ。お陰で手がソースでべとべとじゃないか」


 ルビーの手を取ってふきんで手を拭く。うっわ、ソースだけじゃなくて肉汁でもべたべたになってる。これは頑固だぞ。と言うかこれ手を洗った方が早いな。


「でもマスターだって手で食べてるよ。他のみんなも」

「パンは手で食ってもいいの。でもステーキは流石にな」

「む~じゃあ私もパンにする」

「それはまた今度な。今度はちゃんとフォークとナイフ使えよ」

「なれないなー」


 渋々と言った感じでフォークとナイフを使っているがやっぱりぎこちない。

 しかもフォークにナイフを当てて切っているため時々フォークとナイフがこすれる音がする。

 根気強く教えるしかないが最初は手伝わないとな。

 そう思って最後の1欠片を口に放り込んで、ルビーの手を後ろから抱き締める様に手を掴む。


「マスター?」

「ナイフとフォークはこう使うんだ」


 ルビーの手を重ねてナイフとフォークの持ち方を直しながらそっと支える様にする。

 左手のフォークでそっと肉を押さえ、その数センチ離れた所からナイフで切り分ける。


 マナーとは関係ないがこうしてみるとルビーの手はとても小さい。俺の指は男の手にしては細い方だがルビーの手はもっと小さく細い。

 当然と言えば当然なんだろうが改めて感じる。


 一応口に入りやすいかと思って1枚のステーキを8等分に切り分けてからルビーの手を放した。


「これで食べやすくなったろ?」

「う、うん……」

「どうした、小さく切り過ぎたか?」

「そんな事ないよ。こうやって使うんだねマスター」

「そうだ。手も汚れないし食べやすいだろ?」

「そ、そうだね……」


 何だかルビーがぎこちなく食っている。まだフォークに慣れないのか?

 まぁ人の姿になってまだ2日だもんな、慣れてる方が不自然か。


「そんじゃマダス、ごちそうさん」

「ああ、おそまつ様」


 一度部屋に戻って荷物に不備がないか確認する。

 ただこうドラバカの屋敷で飯を食うとなるとほとんどが使わなくてもいい物になるな。昨日しまったテントも、長期保存がきく食材もほとんどいらなくなっちまった。

 便利ではあるが……どうするかなこれ?まぁ今直ぐ帰れる訳じゃないし、今まで通りでいいか。


 ただ荷物の底にテントを入れて、その上に保存食、そして観察用の道具を置いていく。

 これで少しは使いやすくなるだろう。

 普段なら大してうまくもない保存食を軽く食ってすぐに出発するんだが朝きっちり食べたならすぐには動かない方がいいだろう。あとから腹が痛くなるのは勘弁だ。


 なのでいつもよりゆっくり出るか。

 そう思っているとルビーが部屋に戻ってきた。


「意外と遅かったな」

「マダスのお手伝い。食器とか一緒に洗った」

「ほう。そりゃ偉いな」

「偉い?」

「偉いぞ。だからおいで、頭を撫でてやろう」

「わーい」


 そう言ってルビーは俺のあぐらの上に座る。ちょうどすっぽりと入ったのでおさまりがいい。

 俺はそんなルビーを抱き締めながら頭を撫でる。


 ああ、とても心地いいな。

書き溜めがなくなりました。

これから週1投稿になります。

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