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っていうか理由が何だろうとハンデ与えた時点で負けフラグ

特に理由はないですが短いです


「さァて、決闘はルール有りのタイマンとは言ったが、大抵は『死ぬか戦闘不能になるか降参したら負け』というシンプルなルールしか無い。古くは勝敗を明確にし、争いの止め時を明確にする事だけが目的だったからだ」


 ボッツの語る通り、かつては集団対集団の戦争においてダラダラと消耗するだけの泥仕合になった時に位の高い者が全てを背負って決闘をする事が多かったのだ。勿論それが全てというわけでもなかったが。


「今では闘技場コロシアム等の正々堂々とした試合を楽しむ場でも決闘形式が採用される。そしてその中で試合を楽しむ事に重きを置いた場合、ハンディキャップのあるルールが採用される事も多々ある。面白い戦いを演出する為にな」

「……試合を楽しむというより、試合を見てる人を楽しませる事に重きを置いてるような気がしますが」

「ククッ、それを言うな魔人。決闘が一種の見世物にまで落ちぶれたのは事実だが、戦ってる本人達は誇りを賭けてやってるんだ、見世物だからこそな。その舞台に上がるのにハンディキャップが必要ならそれは仕方のない事さ」


 多くの人が固唾を飲んで見守っていた決闘は、いつしか多くの人に己を見てもらう為のエンターテイメントとなった。その事にボッツはあまり肯定的では無いようだが、ハンデ自体には嫌悪感は見せていない。

 対してミサキは誇りを賭けているならそれでいいか、とは思ったものの、今から決闘するはずの自分が誇りを賭けているかと言われるとなんとも言えない事に気付く。

 全力は出す。どんな手段でも使う。だけど勝ち負けはどうでもいい……そんな考え方なのでやっぱり誇りを賭けてるとまでは言い切れない。


(そういう意味ではサーナスさんの方が誇りを賭けてるのか。エルフであるという事に誇りを持っているようだし、勝ち負けも気にしてそうだし。でもハンデを容認したあたり、誇りが全てとも思えない……)


 誇りを賭けた舞台に上がる為にハンデが必要なら――というのがボッツの見解であるが、既に舞台に上がっているミサキに言わば後付けのハンデを容認したサーナスの場合はまた話が違ってくる。

 もちろん、プライドの高さ故にハンデを与えた上で勝つという死体蹴りじみた誇りの示し方を選んだ可能性も無い事は無い。

 だが彼女は性格に難はあれど根っからの性悪ではない。少なくともミサキはそう思っている為、その可能性に思い至りつつもそれを頭の片隅の更にすみっこに追いやっていた。


(……ま、いろいろ考えるのはルールを聞いてからでも遅くはない、か)


「つーワケでお前らにも誇りを賭けて戦って貰う訳だが、ハンディキャップ戦を望むという事でいいんだな?」

「構いませんわ。楽しむ事も楽しませる事も目的ではないですが、決闘を仕掛けた側であるわたくしは対等な戦いを望んでいます」

「魔人、お前は?」


「魔人じゃないですがサーナスさんの優しさに甘えていいなら甘えます」

「や、優しさではありませんけど!?」


 何故かものすごい勢いで優しさというワードに反応するサーナス。怒りからか恥じらいからか顔は赤い。


「……じゃあ、『情け』?」

「いえ、それも何か違うような……わたくしの心情的にはミサキさんに対する『好奇心』ですが……」

「……好奇心から譲歩する……」

「……そこだけ聞くといかにも愚かな強者の『驕り』や『油断』って感じですわね……」


 余裕ぶっこいた結果返り討ちに遭うアレである。見てる側からすればバカとしか思えないアレである。

 しかし当事者のミサキにとっては非常にありがたい譲歩だったのだ、その結果サーナスが愚かに見られるのは気分の良いものではない。ここはなんとかフォローしておきたいところ。


「……私はその譲歩に感謝してる、だからやっぱり『優しさ』でいいと思う」

「い、いや、そんなフォローは必要ありません! 誇り高きエルフに優しさの二文字はありませんわ! 三文字ですわァ!?」

「お、落ち着いて……別に誇りと優しさを両立してもいいと思うし……」


「っていうか話が進まねぇからそろそろ黙れお前ら」

「「……はい」」


 一応二人ともそれぞれ思うところがあっての舌戦だったのだが、なんかグダグダしてきた挙句ボッツの一喝で全部まとめて有耶無耶になった。



「……リオネーラさん、あの、二人まとめて怒られてますけど」

「見ててハラハラするでしょ」

「そういう意味だったんですか?」



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