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話かける

 私は、死んだ。



 死んでしまった事しかわからないし何も覚えていない。

 名前すらも。


 気が付くと、暗い部屋の中にいた。


 えっ、涙が・・・。


 なぜか私は泣いていた。

 どうして泣いてるのか分からない、でも何か胸が苦しかった。

 部屋の窓に写った私を見る。

 顔はほぼ無表情で、肌は雪のように白い。

 そして、写った私は薄く透けていた。


 私、幽霊になったの?


 そんな、本当に?

 幽霊なんて、信じたこともなかったと思う。

 そう思い動いてみると、体がすごく軽かった。

 さらに、壁に手をあてるとすっと通りぬけた。


 そして、ただただ悲しかった。


 誰もいない、静かな屋敷に私は、一人ぼっちだった。





 何年たったかわからない。

 何もせずにただずっと部屋にいた。


 その日も、ひまだなと思いなんとなく窓の外を眺めていた。

 すると、屋敷の前に、人影が見えた。

 久しぶりに、人を見た。


 高校生ぐらいかな?制服着てるし。


 どうやら男子高校生のようだった。

 心が飛び跳ねた。

 それから、こう思った。


 友達になってくれるかな?


 ずっとここにいて、人が来ることもあった。

 でも怖がってみんな逃げていった。

 なんで逃げるのと、追いかけたが結局だれも相手にしてくれなった。



 今度は驚かさないようにしなきゃ。

 まずこの部屋に来てもらおう。



 そして、少年を部屋の前までつれてきた。


 落ち着いて、優しく声をかけよう。

 ………き、緊張してきた。


 その時、


 おどおどしていたら、力あまって、机に触れてしまい花瓶を倒してしまった。


 「ガタンッ」

 

 やってしまった。

 あの人、にげちゃったかな?


 また怖がって逃げてしまったかと思った。

 が、しばらくするとすると。


「あのー、だっ誰かいますかー?」


 少年の声だった。


 慌てて、机から離れ、奥の方に移動した。

 少年が入ってくる。

 そして目があった、と思ったらすぐに下を向いた。


 やっぱり怖がっちゃったかな?

 静かに少年に近づく。


 と、とにかく、やさしく。


 優しく声をかけようとする、がなぜかうまく声が出ない。


 あれ、どうやって声出すんだっけ?


 長年、声を出さずにずっとこの屋敷にいたせいか、うまく声を出せなかった。


 黙っていると少年がバッと顔をあげた。

 ドキンと一瞬びっくりする。

 そして、再び目が合う。


 どうしよう・・う~ん、よし!


 このまま黙っていてもしょうがないと、喉を振り絞って声を出した。




「こ、ん、に、ち、わ、」




 よし!いえた!

 でもなんかゆっくりになっちゃったなー。

 声出したのなんて、久しぶりだったし。


 内心おどおどしていると。




「あああああーーーーぁぁぁ」




 少年が、大声を出して走り去っていった。


「・・・・・・ふぇ?」


 私はすっとんきょうな声をだして首を傾げた。

 そして、内心はというと。


 また、また逃げられちゃったぁーーーーー!!!


 わなわな身を震わせ、そう叫んでいた。


 なんで? 優しく声かけたのに!

 脅かしたつもりもないのに!


 そして決心する。


 もうっ!次いつ人がくるかもわかんないし、絶対あの人と仲良くなるんだから!




 そして、その少年・・・水谷久弥を追いかけた。





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