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海! みz―――!!

今、僕には彼女がいます。

 その彼女は一年もない余命宣告を受けた悲しいお嬢様。可憐な容姿、透き通るような白い肌、肩のあたりで綺麗に切り揃えた艶やかな黒髪、それを日差しから守るように被っている麦わら帽子。

 

 …………………こんなに可愛い人が僕の彼女?! 信じられん! 天使じゃないのか?! 


 僕が驚きと感動のまなざしを向けていると隣を歩く天使(西条先輩)は優しい笑顔を向けてくれた。……うん、可愛い。


 日差しが暑く照らす夏休みの中盤。場所は海水浴場前の駅。今現在、てn……西条先輩とデートをしている僕は、綺麗な海と、隣を歩く綺麗な西条先輩を見比べながら駅を出た。あ、手、繋いでます。


「なんか緊張しちゃうね。こういうの」


 苦笑いで横から話しかけてくる西条先輩。もう一つ一つの仕草が可愛すぎてその度に見惚れてしまう。だが、ここは体の弱い先輩を僕がリードしなくては!


「大丈夫ですよ。行きましょうか」


 強く決心し、西条先輩の手を引いて海へと歩を進めた。





「………ぐはっ!!!!」


 僕は砂浜に鼻血を出しながら倒れこんだ。


「だ! 大丈夫?! 久弥!」


 慌てて水着姿の先輩が駆けつけ、倒れた僕の顔色を窺う。…………そう、水着なのだ。だって海だし、海と言ったら泳ぐし、泳ぐと言ったら水着でしょ? 当然今回のデートで海と聞いたとき、薄々勘付いて覚悟はしてきたが…


「久弥? 久弥? おーい、久弥くーん」


 先輩の水着姿など当然想像をはるかに上回るわけで。

 

 考え込んでいる僕を不思議そうに見ていた先輩に僕は一言。


「先輩、僕、生きててよかったです」


「どうしたの?! どこか具合でも悪いの?!」


「ていうか先輩、そう僕の名前連呼されると、さすがに恥ずかしいというか……」


 海に着いた時からいつの間にか「君」が抜けていて呼び捨てになっていた。


「私の心配はスルーなんだ……」


「「…………」」


 会話がなくなりただ見詰め合う初々カップル。

 さすがに気まずいと思ったのか、先輩が恥ずかしそうに小声で一言。


「わ、私も呼び捨てにしてもらいたいなぁ~」


「なんで棒読みなんですか?」


「私も彼氏に名前で呼んでもらいたいなぁ~」


「…………」


 変わらず棒読みで顔は少し赤くなっているが今のは反則だ。今の一言で心臓が跳ね上がった。僕の反応を見て先輩は楽しそうに笑みを浮かべている。ちょっとした小悪魔の笑みだ。

 

「僕をもてあそんで楽しいですか?」


「久弥はこんなことで臆病にはならないよね」


「まあ、彼女を呼び捨てにするぐらいできないとねえ」


「久弥大丈夫? すごく汗かいてるけど?」


 言い張る僕の下から、凄くかわいそうな人を見る目で見てくる。


「先輩、引き下がるよりも先輩の可愛さの方が上で見惚れてしまうんですが」


「なっ!!!」


 笑顔が一変、顔を真っ赤にして動揺を覗かせ、後ろを向いてしゃがみこんだ。


「か、可愛い………」


 その後ろ姿はなんだか揺れている。

 あー、うれしかったんだ。




 その後、海を楽しもうと砂浜から海辺まで行こうとして僕が手を引いて元の場所まで戻った。


「泳がないの?」


 先輩は何一つ分からないという顔で聞いてくる。なるほど当の本人は気づいていないと。


「せ、先輩」


「ん? 何?」


「その、先輩の水着のお姿が、天使すぎて多くの視線が向けられていまして…」


 そう、つまり先輩が可愛すぎてみんな釘づけなのだ。

 そんな可愛い先輩の彼氏が僕です。ということで僕には別の視線が向けられていて痛いです。


「…………」


「ん? 先輩?」


 なんか、ピクピク震えてる。顔を見ると赤かった。


「………て……天使って……」


 ……あー、またうれしかったんだ。 

お久しぶりです。明日また投稿します(たぶん)


誤字、感謝などありましたら気軽にどうぞ。


ではまた!

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