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ハーレムですか?

 僕たち4人の前にいたのはスーツ姿の美千留さんだった。


「あの久弥さん」


 驚きの表情で美千留さんが僕の方を見てきた。


「はい」


 さてどうしようか、こうも見られたらさすがに――


「今、あなた方は誰と話しているのですか?」


「まあ、そのだな実は――」


「浩司さん」


「ん? なんだ久弥君」


 浩司さんが何か言おうとしたところで声をかけた。そして部屋の隅まで連れてきて、


「今ここでごまかしてももう手遅れじゃないですか?」


「だが、それを言ったところで信じてもらえるのか?」


 いやそうだろうけど、ここで変な誤解をされても困るしなあ。


「あの、久弥さん」


 考えていたところであずささんに声をかけられる。

 それに対して一つ答えると、


「この人は誰ですか?」


 そうか、あずささんと亜美はまだ美千留さんを知らないのか。

 

「あの人は浩司さんの秘書の人です」


「秘書って、浩司はそんなに仕事ができるのですか? だとしたらその会社は終わっていますよ」


 さりげなくディするあずささん。

 いや、会社のことと浩司さんの性癖は特に関係ないと思うんだけど…まあそこはふれないでおこう。


「それであの人に、ここのことがばれたんで、どうしますかって話です」


「言っちゃえばいいじゃないですか」


「……え」


 意外な返答に疑問の声を上げる。


「亜美ちゃんもいいですよね?」


 亜美にも問いただすあずささん。

 どうしたんだろう。こうも僕以外のことで積極的なあずささんは初めて見たかもしれない。…いや自慢じゃないけど。


「………うん、いい」


 聞かれた亜美は、しばらく考えるそぶりを見せたが何とか了承してくれた。


「本当にいいの?」


 改めて確かめる。


「別にいい」


 おい、亜美、どうしちゃったんだ。いつもならすぐにダメという亜美が……まあいいならいいか。


「浩司さん、言っちゃいましょう」


「そうだな」


 我ながら軽いと思うが、黙ってても仕方ないし。それに、美千留さんならなんかいい気がする。





 てことで美千留さんに、亜美とあずささんを紹介した。

 案の定、凄く驚いて最初は足をがたがたにして震えていた。

 そして、浩司さんとのことを含めて、これまでの事を一通り話した。


「いきなりで理解しかねます」


 すべてを聞いた美千留さんの第一声がこれだった。


「でも大体は把握しました」


 ふうと僕と浩司さんは深いため息をつき、一安心した。

 よかった。正直ダメかとも思ったけど話が分かる人で助かった。

 そう思った矢先、


「それで、そこの二人の幽霊さんは久弥さんのことが好き…ということですか?」


 ………。

 僕はここで黙り込み、脳内活動を停止した。


「はい! もちろん」


 あずささんが満面の笑みで答えた。

 亜美も続くようにコクコクと頷く。


「でも、副社長は亜美さんのことが好きで……」


「世界一! いや、宇宙一愛してます!!」


 またもや浩司さんの愛の告白。


「私は、宇宙一久弥を愛してる」


 浩司さんが撃沈。


「亜美ちゃん、いくら亜美ちゃんでも久弥さんはわたす気はないわよ」


 あずささんが笑みのまま亜美に競りかける。

 おっとここで来ました。僕のハーレムイベントです。

 でも残念、気持ちは非常にありがたいが幽霊と結婚する気はない。




 二人の睨み合いの最中。


「あの、久弥さん。いつもこんな感じなんですか?」


 美千留さんが耳元で僕に聞いてきた。

 僕は床に腰を掛けた状態で答える。


「まあ、大体こんな感じですね。二人ともやけに肉食性が高くて」


 笑いながらそんなこと言う。


「それで、副社長は?」


「浩司さんは、ここにきては毎日亜美に告白してフラれています」


 これも見慣れた感じだ。夏休み中は基本これを毎日繰り返す日々。浩司さんもよくあきらめないものだ。


「へー、あの副社長が毎日フラれてるのかー」


 美千留さんはそういうと「ふふっ」と笑い。


「会社の女性陣が聞いたら驚くだろうなー」


 なにかバカバカしいようにそんなことを言う。

 その口調は、秘書のように堅苦しくなく、自然な口調に変わっていた。


「そんなに浩司さんはモテてるんですか」


「そりゃあ……仕事の成績も優秀で、社員一人ひとりに優しくて、おまけにイケメンだもん。モテない方がおかしい」


 まあそりゃあそうか。僕から見てもすごいイケメンだし。

 

「そうなんですか。……でも、それだったら美千留さんはどうなんですか?」


「えっ?」


「浩司さんのこと」


「どうって。ただの副社長にしか見てない」


「……」


 意外な答えに驚きを隠せない。


「なんでそんなに驚くの」


「てっきり美千留さん、浩司さんが好きなのかと」


「それはないなー。私のタイプじゃないもん」


「美千留さんのタイプって?」



 何となく聞いてみた。



 すると美千留さんは、いかにも年上の女性というような顔で悪戯っぽく笑みを浮かべ、




「君みたいな人って言ったらどうする?」




「…………えっ?」


 その瞬間、僕の胸の一番奥のところが、強く、高鳴った。









余裕というかなんというか、書ける時間は増えたのでたくさん書けるよう頑張ります。


感想、誤字などありましたら気軽にお願いします。

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