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執事が聞く

八月になった。

 特にすることもないので屋敷に来た。



 玄関を抜け、ぼろぼろの廊下を進み、亜美の部屋の前に来る。


「亜美ー入るぞー」


 特に返事もなかったのでドアを開ける。



「お嬢様、紅茶はいかがですか?」



 ドアを閉める。

 

 僕、ちょっと疲れてるのかな、だいぶ休んだつもりだったけど、だめだな無理はいけない。


 気を確かめ、もう一度ドアを開ける。



「浩司、幽霊は特に何も飲まないのよ。それより久弥さんが来たから、久弥さんに出して」



 亜美に紅茶を勧めていた浩司さんに下僕を見るような目であずささんが告げる。

 そして僕の前に来ると、


「久弥さん! おはようございます!」


笑顔で話しかけてきた。


「おはようございます! じゃないでしょ!」


 その言葉に僕は勢いよくツッコむ。


「何がですか?」


「いや、何がっておかしいでしょ。 まず、なんで浩司さんがここにいてそれで執事みたく働いてるんですか」


 そしてあの執事の服はどこから持ってきた?

 ……意外と似合ってるけど。


「いいんだ久弥君。 亜美さんと一緒にいられるのならそれでいい。 それにもうあんな目にあいたくないんだ」


 涙目で浩司さんが告げてくる。

 僕は、あずささんの方を見る。


「あの日、浩司さんに何をしたんですか?」


 そう聞くと、


「私の下僕にしてあげました」


「笑顔で何言ってるんですか!!」


 あずささん案外ドSだったのか。

 僕は何もされなくてよかった。




「亜美さん! 好きです。 幽霊ですが関係ありません! 付き合ってください」




「嫌だ」


 浩司さんがベッドでくつろぐ亜美に告白し、あっけなくフラれている。

 そしてその場に崩れ落ちた。


「何してるんですか?」


 ジト目で聞いた。


「あれからいつもですよ。本当に馬鹿ですね」


 あずささんが答えてくれた。


「いつも告白しては、フラれてるんですか」


「私はあきらめない! 絶対亜美さんにOKしてもらうのだ!!」


 おおー、切り替えはやいな。



「絶対無理、私は、久弥が好きだから」



 ……あ、また崩れ落ちた。

 燃え尽きている、浩司さんをしり目に僕は答える。


「いや僕、幽霊はちょっと……」


「なんでですか!! もとは人間ですよ! なのに幽霊になったら恋しちゃいけないんですか?!」


 顔が近いよ、あずささん。


「正直僕もわかんないんですよ。 どうしたらいいか」


「何がわからないんですか?」


「それは、その……」


 僕は言葉を濁す。

 いつの間にか、亜美も聞きたそうな顔で僕を見ていた。


「では久弥君の本心を聞けばよいではないか」


 突然、浩司さんが眼鏡をくいっと上げながら言ってきた。


「本心?」


 あずささんが首を傾げる。

 その問いに浩司さんがさらに答える。


「久弥君が二人をどう思ってるのか」


 僕の前で二人が身を乗り出し見てきた。




 …………いや、そんなこと言われても。







私、頑張ります!


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