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ある部屋にて

 屋敷の中はじめっとしていて、家具などが雑に散らばっている。

 そこの空気は、重くどんよりしていて、とても息苦しい。


(なんか入ってきちゃったけど大丈夫だよね)


 突き当りまで行くと、左右に廊下が分かれていた。

 右の方を見ると、すぐに壁があり、向かい合って2つ扉がある。

 左の方はまっすぐ続いていて、奥の方は暗くて見えない。

 が、なにか不穏な気配を感じた。


(不気味だし、息苦しいし、もう戻ろうかな。なんかやばい気がする)


 そう思い、振り向いて後ろに歩いた‥‥はずだった。


「あれっ・・なんで僕・・廊下を歩いて」


 入ってきた方に歩いたはずが、僕はそのまま左の廊下の方へ歩いていた。

 無意識に、廊下を歩いていく。


「なんでっ」


 止まろうとするが、どんどん奥へ進んでいく。


(と、止まれないっ)


 そして、突き当りのところにある扉の前に止まった。

 木でできたヨーロッパ風の扉だ。

 その扉からは、さらに不穏な気配が感じ取れる。

 心臓の鼓動が早くなるのが血管を通してつたわってくる。


(なにかあるのか?)


 そう思い、ドアノブに手をかけ開けようとしたまさにそのときだった。


「ガタンッ」


 中からなにか物が落ちたような音がした。


「ッーー!」


 瞬間、背筋に寒気が走った。

 僕は、まさかと苦笑いでごまかすように、心に言い聞かせる。


「幽霊なんて、そんなのあるわけーー」


 そういって、扉をあける。



 部屋の中は、他のとこよりもだいぶ綺麗になっていて荒らされたような感じではない。

 が、入るとエアコンが効いているようにひんやりしている。

 そして、気のせいかさっきよりも、さらに息苦しくなっているようなきがする。


「あのー、だっ誰かいますかー?」


 さっきの音は、人がいたからかもしれない、と恐る恐る訪ねてみるが返事がない。

 そして、さらに緊張が高まる。


 部屋を見渡すと、かわいらしく、しかしだいぶ汚れたベッドがあり。

 さらに、奥の左の窓際には勉強机がある。

 床にはくまのぬいぐるみが落ちていた。

 そして、右の窓際に目をやる。


 そこには、小さな人影があった。


 肌は、こんな暗闇でもわかるぐらい白く、髪は腰の高さまで伸びている。

 服は白いワンピースを着ていて、身長は僕の肩ぐらいの高さだろうか。

 見た感じ中学生くらいの少女だった。


 目を下に向ける、体中から大量の冷や汗がでてきている。

 そしてふと、朝、隼人がいっていたことを思い出す。


(「いーや俺は信じるぞ、この目で見たんだから」)


 あるわけない、いるわけないと必死で自分を言い聞かせた。

 そして、下を向いたまま深呼吸をして心を落ち着かせ、よし、と心の中で叫び。

 恐る恐る前を向く。



 さっきまで奥にいた少女の影が目の前で僕を見つめていた。



 体中の血の気が引いて、氷のような寒気が走る。


「あぁ・・あっあぁ・・あ・・」


 そして少女が話しかけてくる。



「こ、ん、に、ち、わ、」



「あああああーーーーぁぁぁ」


 その瞬間、僕は、全速力で駆け出した。







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