二人の幽霊、一人の人間
幽霊って何なのだろう?
この世に未練がある死んだ人たち?
うんあっている。
じゃあその幽霊ってのはどうなっているんだ?
人には見えない、でも本人たちは、力を使えば人のように見えるようになり物にも触れるようになる、と言っている。
……………………。
力ってなんだよ?!!
じゃあその力ずっと使ってたらそれもう幽霊じゃなくて人じゃん!!
結局、分からないんだよ!!!!
「はっ!!」
夢の中でそんなことを思ってたら目が覚めた。
「お目覚めですか?」
突然横から声がした。
横を見る
寝てる隣に
あずささん
一句できた。
「なんでだよ!!」
「何がですか?」
慌ててベッドから立ち上がる。
なぜか横であずささんが一緒に寝ていた。
「なんで一緒に寝てるかです!」
たぶん僕、今顔赤いな。
するとあずささんが、
「それは、久弥さんがすごく苦しそうだったので」
えっ、
疑問を浮かべながらも、どうしてベッドで寝ていたのか思い出す。
ここは亜美の部屋だ、……亜美?
ッ――――!!
「そうだ! 亜美は! 痛っ!!」
そうだ、亜美に切られて貧血で倒れたんだ。
「久弥」
すべて思い出したところで、後ろから声がしてはっと振り返る。
俯き、もじもじとしながら亜美がいた。
「亜美、大丈夫なのか?」
コクッとうなずく。
そうか、
「よかった」
「えっ?」
「亜美が変わっちゃったと思ってたから」
「ごめん」
謝ることないのに、まあ何かあるんだろう。
そう思い、それを察したあずささんが、
「実は」
こうなった理由を話す。
あずささんいわく、こういうことだ
亜美が襲ってきたあの時、確かに亜美の記憶が戻ったらしい。
そして、僕が来なくなった次の日にあずささんが屋敷に行ってそこで亜美に会うと、あの豹変したときの亜美ではなくいつもの様子で、あずささんに泣きついたという。
「じゃあ亜美はどうして?」
「おそらく記憶が戻ったことによる、一時的な衝動が行動につながったのでしょう、亜美ちゃんも久弥さんを襲った事を覚えてないそうですし」
一時的な、か。
そのことで僕を襲うってことはよっぽどの記憶なのか?
そんなにつらいことが亜美にはあったのか?
「でもなんでそれを言ってくれなかったんですか?」
「また亜美ちゃんが久弥さんを前にして、襲い掛かるかもしれないと思ったからですよ」
なるほどそういうことか、
「じゃあ今日の事は?」
「亜美ちゃんに久弥さんを連れてくるといったのですが、自分から直接言いたいというので様子を見にいけと久弥さんに言ったのです」
道理でなんか変だと思ってたよ?
でもあんな可愛いあずささんの顔で頼まれたら断れるわけないじゃん。
我ながら、ちょろいなと思いつつ、
「これは?」
僕の包帯がまかれた腕を指さす。
「あぅっ」
涙目になる亜美。
えっまさか、
「またあの変貌した亜美ちゃんになっちゃったんですよ」
あずささんが言う。
やっぱりか、
「それで、久弥さんを切ったところで我に返ったそうです」
「だから抱き着いてきたのか! 泣きながら」
「えっ?!」
「えっ?」
あずささんの顔が固まる。
亜美は……顔真っ赤だ。
「亜美ちゃん?」
「はうい」
変な声を出す亜美。
あずささん、どうしたの?
別にあずささんにも抱き着かれたことあるよ。
「まあまあ、落ち着いて、それよりもほら―――」
「いってたことと違いますけど? どうして久弥さんに……たし……だけ…のに」
何かをつぶやくあずささん。
普通なら今の展開では、ハーレム気取って喜ぶとこだろう。
ただ、相手は幽霊、はたから見たら悲しいやつじゃん。
………あ、挙動不審の亜美可愛い。
………あ、もじもじするあずささん可愛い。
おっと失礼。ホラーでした。
「それより亜美、お前の過去の話、聞かせてくれないか? 勿論、いやならいいけど」
「いい、話す」
気を取り直し、亜美の過去を聞こう。
そして、亜美が生きてた頃の話を語り出した。
何かいたらいいかわからない。
とりあえず読んでくれてありがとう。
感想などよろしくです。