好きなの?
「キャーーー!!!」
「先輩、落ち着いてください! いやある意味僕も落ち着かなきゃなんですけど!」
そう、こんな美女に抱き着かれたらさすがに平常心を保てない。
「無理無理、絶対無理だから、怖いーー!!」
先輩は泣きながら僕から離れようとしない。
体が震えている。仕方ない。
「先輩、大丈夫です。僕たちの目の前にいるのは―――」
「おばけはダメなの、本当に無理なの」
分かってますよ、最後まで聞いてください。
「だから大丈夫ですって、なっ亜美」
仕方ないから、亜美に直接言ってもらおう。
先輩はその場にしゃがみこんだ。
「うん、大丈夫、何もしない」
「しゃ、しゃべった……ひ、久弥君?」
おどおど僕の方を見てきた。
きっと何か聞きたいんだろう。
「何もしないですよ、幽霊ですが」
「本当に?」
先輩が目の前の亜美に聞く。
「うん」
すると先輩はホっと胸をなでおろした。
「それじゃあ説明していいですか? 先輩。」
「まってもうちょっと落ち着かせて」
先輩はまだ、若干震えていたので落ち着かせてあげた。
「それで? 幽霊って、どうして」
数分後、落ち着きを取り戻した先輩が聞いてきた。
そして僕は、これまでの亜美の事を一通り話した。
さらにあずささんから聞いた、幽霊の事も、隼人に起こったことも。
「そうだったの」
「まああずささんのおかげでこうして立ち直れましたし、もう大丈夫です」
「そのあずささんは?」
「へ? そこに居ますけど」
そういって、先輩の隣にいるあずささんを指さす。
どうやら脅かせようとしているらしい。
あずささんの顔がそう言っている。
「あずささん、そういうのはやめてください」
「ッ!! はあぁ仕方ありません」
そういって先輩の方を向いた。
先輩は一瞬驚いたようだがすぐに自己紹介をした。
「私、西条哀歌ですよろしくお願いします」
「一条あずさと申します。よろしくです」
なんか怖くない?!あずささん。
すごい圧なんだけど。
「それで、先輩このことは―――」
「分かりました。他には言いません」
良かった。
さすがに見せたのは悪かったかと思っていたが、何とかなった。
「ただし条件があります」
えっ?
「条件とは?」
あずささんが聞く。
条件ってなんだ? ていうかさっきから亜美がやってるゲームが気になるんだが。
「私も手伝いたいんだけど?」
と、ちょっと恥ずかし気に言ってきた。
「手伝うって、亜美の事ですか?」
「そう、私も何かできることがあるかもって」
そういったとき、
「嫌です」
声の主は、あずささんだった。
「もうこの際、言っておきます!!」
突然そんなことをいうあずささん。
「あなた、久弥さんが好きなんですね?」
「「えっ?」」
西条先輩は下を向き。
僕と亜美は、素っとん狂な声で疑問を口にした。
感想、アドバイスなどありましたらお願いします。