悲しい叫び
次の日、教室で、
あれっ、隼人来てないのか、休みかな?
そう思っていると、朝のホームルーム開始のチャイムが鳴る。
そして、男の中年教師が、悲しい面持で入ってきた。
そのあと先生は、
「皆さんに悲しいお知らせがあります」
少し目に涙を浮かべ、
「このクラスの生徒」
生徒一人一人に向かって、
「小柴隼人君が」
その時まで、思いもしなかったことを、
「昨日、交通事故で亡くなりました」
告げてきた。
先生が何を言っているのか、理解することができなかった。
他の生徒の声が聞こえてくる。
「うそっ」と信じられないような顔の女子。
ただただ、俯き、涙を浮かべる隼人と仲の良かった男子。
皆、とても悲しんでいる。
その中、僕はただ呆然としていた。
涙も、言葉も、吐息すら出ず、完全に脳内が停止した。
そのあと、先生が何か言っていたが、覚えていない。
放課後
帰り道を、一人歩いていた。
いまだ心の整理ができていない。
隼人の死。
昨日まで一緒にいたやつが、もうここにはいない。
隼人は昨日。
僕と別れてから、家に向かって走っていたらしい。
そして、交差点を曲がったところで、車にはねられた。
吹き飛ばされ、頭を強く打ち、病院で息を引き取った。
たった三か月、それだけなのにすごく気が合って、いつも一緒にいた。
そして、そいつが僕を心配してくれた。
心配してくれていたのに、それを僕は必死にごまかしていた。
それが、本当に申し訳なく、僕の心は罪悪感で満ちていた。
「はっーーははっ!・・そうか、死んだのか隼人」
自然と涙が出ていた。
「僕がっ・・・僕が悪かったんだ、クソっ!!」
僕があいつを、隼人を止めていれば。
いや、そもそもそれ以前から悪かったんだ。
「そうか、全部僕が悪かったんだ」
肩を落とし、ゆっくりと帰路についた。
屋敷に行かず。
何日たっただろうか。
学校に行かなくなり、一日中自分の部屋に引き籠っている。
「久弥!いい加減出てきなさい!!」
部屋の外から両親の声が聞こえる。
ほっとっいてくれればいいのに。
「久弥!!学校行きなさい!」
あーーもうっ!!
「うるさい!!!黙ってろ!!」
すると父さんが叫ぶ。
「親に対してその態度はなんだ!!!」
親に対して?
「なにが親に対してだ、僕は僕のやりたいようにする!!」
自分でも何を言っているのか分からなかった。
その日も、僕はずっと部屋にいた。
親には、さんざん暴言を吐き。
いなくなると、ただただぼーっと無言でいた。
僕は自分を、見失っていた。
夜
「ひ、久弥さん?」
あずささんが来た。
「ああ?」
返事を返す。
「あなた、本当に久弥さんですか?」
なんか怯えている。
なにいってんだ?
「久弥だけど?」
「目が、怖いです」
「はあ?」
「ひっ!」
ちょっと声出しただけなのに、なんなんだよ!
「あーもういいよ、戻って僕は大丈夫だからさ」
今は誰かとしゃべる気分じゃない。
早く帰ってほしい。
「心配してきたんですよ!隼人さんが亡くなったって聞いて、亜美ちゃんも心配してます。だからーー」
「もう黙ってくれ!!隼人は僕のせいで死んだんだ!!僕が本当のことを話していたらこんなことにはならなかったんだ!全部、僕が悪ーーー」
途中で言葉が消されて気づいたらあずささんの顔が目の前にあった。
すると次の瞬間、
唇に柔らかいものが当たっていた。
次は来週の日曜の予定だけど、余裕があったら普通に投稿するんで。
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