名前
部屋のベッドに座る。
「それで久弥さん、まずは何をするんですか?」
あずささんが聞いてくる。
僕は簡単に答える。
「彼女が幽霊になったときここにいたんだ」
「そうなんですか?」
「うん」
「でだ、てなるとこの屋敷になんかあるんじゃないのかってことだ」
二人がなるほどみたいな感じで目を合わせた。
いや簡単なことなんだけど。
「てことで、手分けしてこの屋敷を調べてみよう!」
「分かりました!がんばります!」
「分かった」
そう言いあうと、みんなばらけて手がかりを探した。
僕は、廊下の途中にある階段から二階に向かった。
……薄気味悪いな。
二階はガラッとしていてどこかもんもんとしていた。
探すか。
順番に。
一つ一つの部屋をくまなく捜索する。
二時間後。
「もう暗くて見えないんだが」
暗闇のなかいろいろ見るが何も見えない。
これなんだ?アルバムかなんかか?
すると、
「久弥」
「うわあ!!」
壁の中から幽霊が…て、
「なんだお前か、どうしたなんかあったか?」
忘れてた。こいつ幽霊だった。
つーか来るならドアから来てほしい。
「あった」
「えっ」
夕暮れ時
「これか?」
「うん」
「なんですかこれは?」
それは卒業アルバム的なあれだ。
「お前、アメリカいってたのか?」
そのアルバムの写真は多くの外人が写っていて、下にUSAと書いてあった。
そして写真の中に彼女がいた。
「久弥さん、そこに」
「えっ」
あずささんがアルバムの上を指さす。
一人一人の名前が載っていた。
そして一人明らかに日本人の名前があった。
”Ami Tenli”
天理、亜美?
「それがこの子の名前ですか?」
「た、たぶん…て!!あずささん?!」
目をギラギラ光らせ、彼女に近づいた。
「亜美ちゃーーーん!!」
「ひー!」
勢いよく抱き着く。
「やめてください!嫌がってるでしょ」
引き離すとあずささんが、ぷ~と頬を膨らませた。
不覚にも可愛いと思ってしまった。
とりあえず仕切り直す。
「じゃあお前は亜美なのか?」
「たぶん」
「えっ記憶なんか戻ったりしない?」
名前が分かればなんか思い出すと思ったんだけど。
「名前は思い出した」
「名前だけか?」
「うん」
名前だけ…まあちょっとは進歩したか。
「てことで今日は名前が分かった」
「まあよいではないですか。名前だけでも大きな進歩です!」
「分かったんであずささん、その亜美が嫌がってるんで離れてください」
「よいではないですか?!」
そういうが、亜美は即答する。
「嫌だ」
「なっ」
あずささんがすごくショックを受けうなだれているのをよそに、亜美に伝える。
「まあとりあえずお前は、天理亜美なんだな?」
「そう」
「じゃあ改めてよろしく、亜美」
「うん、よろしく」
感想、アドバイスなどありましたらお願いします。