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世の中には、どうしようもないことというものが確かに存在する。
それは能力的に無理だとか、掟に反するだとか、そう言ったものが多い。
"これ"だってまさに掟に反するそれであり、つまりは俺の意志に関係なくどうしようもないことだ。
だというのにこの男は…
「オレと恋人になってください」
「正攻法にすればいいってものじゃないからな、断る」
恐らく十数回目になる告白。相手は同じ人物。最初こそは出会って日が浅かったこともありこちら側は都度丁寧に断りの言葉を返していたが、それもいつからか崩れてしまった。
相手はと言えば深く溜息を吐いて落胆の意を見せつつも、どこかやっぱり、と言った顔をしていた。
「懲りんな」
「OK貰えるまで何度だって告白するさ」
相手の男__カリアスは、さも余裕だと言わんばかりの笑みを浮かべて俺の手を取る。同じ男であるというのに俺の手は細く、カリアスがその気になれば簡単に捻り折られそうだった。そのことに少しの敗北感を感じる。
「『同性同士の恋愛は如何なる理由であっても禁ずる』。今の時代、こんなに頭の固い地区令を出してるのは君のところだけなんだけどなあ…ナガツチ家次男権限で如何にかできないの?」
指を一方的に絡め、そのまま緩く握る。以前こいつ本人から聞いた話によるとこれで大抵の女性は落ちるらしいが生憎この行為によってそういった想いが湧き上がることはないし、そもそも俺は男である。そのことはちゃんと伝えたはずだがそれでも尚、こうしてやってくるあたりどこか自棄になっているのではとも思ってしまう。
「その法令を出したのは我が家の先代だ。それに兄上ならまだしも俺なんかにそんな大きな権限はない。」
「それ全部クリアしてたら如何にかしてくれるんだ。」
ずい、と寄られ身を引けば背後は壁。絡めたままの手を壁に押し当てられ足の間に膝を入れられる。解放してもらうどころか逃げられない状態にされてしまった。立場上強行突破もできず、代わりに深いため息を吐く。
「たわけ。そんなことをしたところで俺に利はない。それに例えその法令がなかろうともお前と恋仲になることはないだろう。」
「子供を残せないから?」
「それ以前の問題だろう……もう放せ、明日の夜までに支部に帰らないと…」




