雨の日1
ザーザー、とまるでバケツをひっくり返したような
振り続ける大粒の雫たち。
そう、今日は雨の日。
そして今は生徒達が帰宅や部活を始める放課後。
勿論、運動部とかは休みか校舎内でトレーディングとかだろう。
文化部は通常通り部室での活動だろう。
ちなみに私はどちらにも属していない。
故に帰宅部、と言うやつだ。
帰宅部というと、何時までも教室に居座って会話をしている者や
そそくさと家に帰る者、或いは図書室で暇を潰す者。
それらが大体に当てはまるのだが、私は違う。
まぁ、ちょっとした特別な場所と言ったところだろうか。
飽き性、気分屋の私が雄一続いている日課でもある。
学校を出て駅に向かう途中にある路地裏に入って
分かりづらいところにある坂道。
その坂道を登っていけば。
「喫茶店〜happy rainy day〜」
と書かれた看板が置かれている少しこじんまりとした小さなお店。
このお店の特徴は、雨の日でしか営業していないこと。
なんでもここのマスターが雨が好きで開いた喫茶店なのだとか。
私はここの常連。
この場所を見つけてから雨の日は毎回立ち寄っている程だ。
なんせここの珈琲は絶品なのだ。
それにこの喫茶店の存在を知るものはほんの少数。
お掛けで人もあまり入って居ないので
静か且つ、しんみりとした雰囲気が私は好き。
けれど最近の目的はそれではない。
当初はここの珈琲を飲む為だけに入り浸っていた。
では今は何が目的で来ているのか。
それは
「…紫織さん?また来てくれたの?」
そう、あのとても眠たげな顔と声の彼が目的である。