夢での邂逅
はぁー、今日は何か大切なものを失くした気がするよ…。
明日も何かありそうだし早く寝るか。
僕はベッドに入ってすぐに寝た。
疲れてたから仕方ないよね?まあ、主にあの兄妹のせいだけど…。
「寝たか。さて妾の出番かのぅ」
意識をうしなう時、どこかで聞いたことのある声を聞いた気がした。
気がつくと、真白い空間に僕はいた?
「へ?僕寝たはずなのに…。ああ、夢かぁ。僕変な夢見るなぁ。」
「お主の夢であってはいるが、ちと違うな。」
「誰?」
「一度会っているのに忘れるとは酷いのぅ。」
急に現れた狐耳の女性は持っていた扇子で口元を隠し、悲しそうにした。
「ご、ごめんなさい」
うーん、こんな綺麗な人なら一回見たら忘れないと思うんだけどなぁ、と考えながら頭を下げると女性は口元を歪めて
「まあ、妾が記憶を消したから覚えてないのは当然じゃがな」
と言い放った。
僕の謝罪を返せ!
「まあ、怒るな楓。今記憶を戻す」
そう言って、僕の頭を掴み、女性は頭突きした。
「いったーい。何するのよ!」
なんか口調が変になったような…
「楓、お主の見た目で中途半端な男言葉は似合わん。なので、記憶を戻すついでに色々やったからの。」
「ちょっと!何勝手にしてくれたの?僕そんなのやだよぉ。」
「ああ、一人称のは変えておらんからな。僕っ娘は可愛いのでな。そろそろ記憶も安定してきただろ?妾が誰か、そして自分がどうなったかわかったか?」
「わかったよ牡丹。僕は君の眷属になったんだよね?ところで、なんで女の子になってるの?」
「ちょっと姿が変わると言ったであろう?男が我が眷属になると女になるのじゃ。あと、男女共通で耳と尻尾が生える。これは普段は無意識のうちに幻術を使い、隠しておるから心配はあまりないじゃろう。」
「幻術解けてるみたいなんだけど?僕さっきまで耳と尻尾あったよ?」
「そんなことか、お主は幻術など使ったことはなかろう?熟練度が足りないだけじゃ。まあ、三年位経て自分の意思で消したり出したりできるようになるだろう。」
「それまではどうなるの?」
「感情の急激な変化やすとれす?じゃったか?それが原因で出るからの。尻尾はスカートとかであれば隠せるが、耳は帽子でもかぶっておれ。」
「幻術解けたらどの位で戻るの?」
「お主の心しだいじゃな。早く落ち着けば、早く戻るし、いつまでも落ち着けなければ、そのままじゃ。まあ、寝れば戻るからあまり気にするな。」
「そうなんだ。ありがとうっ」
「まあ、気にするな。おっと、もう時間か。楓、もう時間が来てしまったようだ。妾はもう行く。何かあれば、妾と過ごした神社に来るがよい。そこにいつものようにいるからの」
そこで世界が白くなり、僕は目を覚ました。
そうだった、僕は一度死んだんだ。
でも、牡丹が僕を助けてくれた。
男の僕は、あの時死んだんだ。
今の僕は女の子なんだよね。
認めたくないけど…、やっぱり変わらなきゃダメなのかなぁ。すぐには無理だけど、少しずつ変わっていこう。
忘れていた事を思い出して、僕は女の子になろうと思った。
体はもう女の子なんだけどねっ!
誤字脱字がありましたら教えて頂けると幸いです。
お読み頂きありがとうございます。