ケモミミパニック!
「おっねーちゃーん!服選んで来たよー」
ドアを壊さんばかりのハイテンションで開けた希に対して、僕はこの世の終わる二秒前位の気持ちであった。
何が悲しくて妹の服着なきゃいけないんだよぅ。僕は男なのにぃ!
「あれー?おねーちゃんどーしたのぅー?」
「そんな、獲物を見つけた肉食獣のような目で見ないでよぅ。僕は美味しくないよぅー。」
「希、その辺にしてやれ。楓がなんか壊れてるから。」
秀兄ありがとうと上目遣いで秀兄を見ると、秀兄は顔を赤くして
「楓ちゃん可愛いすぎだ!」
と言って急に抱きついてきた。
秀兄も壊れてるじゃんか!。
「おにぃ、何楓姉に抱きついてるの!まだ私もやってないのに。」
一瞬、希が女神に見えた気がしたけど、気のせいだったよぅ。
この家に僕の味方は居ないようだ。
「楓姉?その耳どうしたの?」
「耳?普通じゃないか?」
僕は普通の位置にある耳を確認して答えたが、希は首を横に振って
「違うよ。頭の上の狐耳だよ?」
希は手鏡を渡しながらそう言った。
「狐耳?僕はそんなものつけた記憶は…」
僕は鏡で頭を見て固まった。
そこには僕の頭から生えて、感覚のある狐耳が生えていたのである。
「なにコレェェェ!!」
本日二度目の絶叫である。
「おねーちゃんっ?」
狩人が後ろに迫っているのに僕は気づかなかった。
「の、希?どうしたの?そんな可愛いお手手をニギニギして?」
「おねーちゃんっ?」
「なんでおねーちゃんしか言わないのぉー!」
僕は希から逃れるように後ずさった、でもね、リビングの広さには限界があるんだよ…。
「もう壁っ?!の、希?止まってくれないかなぁー?なんて…」
「じゃあ、おねーちゃん。なんでも言うこと3つ聞いてくれるなら止まってあげる。」
可愛くウインクしながら希は言った。
「なんでも?」
「うん、なんでも」
なんでもだって?!こんなの止まってもらっても、もらわなくても同じ未来しかないよぉ〜。
「はーい時間切れ!おねーちゃんつーかまーえた。」
「の、希。お手柔らかにね?」
「ケモミミ〜」
「ちょっ!やめっ!あっ…んっだめっ。」
希に慈悲はなかったよぅ…。
〜15分後〜
「酷いよぅ。あんなに止めてって言ったのにぃ…。無理やりするなんて…。」
「ごめんね楓姉、あまりに可愛かったからつい。おにぃ、狐耳美少女が涙目で悶えるのってなんか良いよね?」
「妹よ、わかっておるではないか。」
やっぱりこの家には僕の味方は居ないみたいです。
まあ、わかってたことだけどねぇ。
「おねーちゃんっ?お着替えしよっか?私がお洋服着せてあげるよ?」
僕の平穏は無かったみたいです。
誤字脱字がありましたら教えて頂けると幸いです。
お読み頂きありがとうございます。