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第五章 第一幕

 ――第五章 特訓開始


 調教士。

 花形である鴻鵠士とは違い、あまりスポットが当たる事は無いが、無くてはならない大事な職業である。

 契約を結んだ厩舎に勤め、鴻鵠の管理や日常の世話をする、まさに鴻鵠産業の屋台骨を支える職業である。

 厩舎のオーナーを兼任する事もあり、ジラザ自身も独立した自らの厩舎を持つ、オーナー調教士である。

 大きな厩舎ともなれば、十頭の鴻鵠と鴻鵠士のコンビに対し、調教士は2~3人と言う事も少なくなく、担当の鴻鵠のランクが上がっていけば行く程、その仕事は激務を極めていく。

 レースへの出場申請から、日頃の鴻鵠の食事や体調の管理、訓練のスケジュール調整や、練習機材の設置や用意、そして鴻鵠だけに限らず、登録されている鴻鵠士に関する事まで多岐に渡る。

 調教士は、『調教』と言う単語以上に、あらゆる面で、鴻鵠に関するプロフェッショナルで無くてはならないのだ。

 鴻鵠士に憧れ業界に入ったが、その夢は叶わず、だがそれでも鴻鵠産業に関わりたいと願い、調教士となった者も多い。

 しかし鴻鵠士の中には、普段世話をして貰っているにも関わらず、そんな彼らを鴻鵠士になれなかった落ちこぼれと勝手に判断し、見下すような不届きな輩も、残念ながら一定数存在する。

 自身の厩舎と契約をしている鴻鵠・鴻鵠士が重賞で勝利しようものならば、その名声や名誉と共に、多額の賞金も厩舎へと入って来る。厩舎の設備がより一層整うのは勿論だが、大きなレースであればある程調教士にボーナスが出る事もある。それに何より、自分達が手塩にかけて育て上げた鴻鵠の勝利は、調教士にとっても正に格別だろう。調教士もまた、鴻鵠・鴻鵠士と共に、一心同体となってレースに挑んでいると言っても過言では無いであろう。

 大きなレースで勝利した鴻鵠を排出したとなれば、鴻鵠を任せたがるスポンサーも契約を結びたがる鴻鵠士も増え、調教士達の嬉しい悲鳴も更に輪をかけて鳴り響く事となる。

 それ故に、企業が積極的に、ビジネスとして厩舎を手掛けている例も少なくない。

 寧ろジラザの経営するセオクク厩舎のような、個人経営の中小厩舎は、最近では減少傾向にある。


 ***


 そして、朝を迎えた。

「こんのぶぁっかやろう共があああああ!!」

 朝一番の厩舎中に、ジラザの怒号が響き渡った。建物は大いに揺れ、周囲の木々からは小鳥が飛び立ち、草原を走る動物達は一瞬停止し、何事かと厩舎の方を一斉に見つめたと言う。

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