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沙也加と僕  作者: ユキから
14/33

思い、届け!

結局のところ、私の夏休みは最初の3日間に東京へ行って、アイドルの夢を膨らましただけで、残りの日々は暑さからの逃避に明け暮れて終わろうとしている。

真由美の家とかおりの家、そして私の家のトライアングル往来になり、それはそれで結構楽しい時間を過ごしたの。

真由美は、どこにいても熱心にマンガを描き続け、私の希望、トモ君と一緒のステージに上がって歌う、そう、あのコンサートで見た山中翼?さんとキャロちんさんのように笑いながら・・・

少しずつ出来上がっていくマンガを読んでいると、トモ君への思いがますます強くなっていたのです。


「ねえサヤカ、夏休み中にこの第2巻を描き終えるね。」

「うん。これはどうするの?どこかに応募する?」

「このシリーズは、慌てないよ。サヤカが本格的にデビューする直前に売り込むんだ。それまでにどうだろう、最低でも5巻くらいは描き上げたいんだ。」

「えっ、一気に5巻売り出すの?」

「サヤカの歴史を知って貰えば、そっちからのファンも結構出来るんじゃない?」

「真由美、そこまで私の事を考えてくれてるの?」

「ま、この作戦が成功すれば、私の為にも良い事でしょう?精一杯サヤカを利用するつもりだから、ウィンウィンの関係だよ。」

「ねぇねぇ、さっきから黙って聞いてれば、何、二人だけの世界?私のメリットって何も無いの?」

「あ、そうだよね、かおりのメリットも何か考えなきゃね。」


すると、真由美が即答。

「かおりには、嫌でなかったら私のマネージャーになってもらいたいんだ。でも、マネージャーって言っても対等の立場でだよ。」

「対等?それは無理だよ、私には何の才能もないし、第一、マネージャーって何をするのかも分からないよ。」

「ま、そう慌てない、サヤカのデビューまで時間はたっぷりあるから、じっくり考えよう。結果、かおりが全然違う何かをしたいなら、それを尊重するからね。」

「お、そうだね、時間はたっぷりあるよね。分かった、私なりにじっくり考えてみるね。でも、なんか二人と一緒に仕事していたい気もする。」

「かおり、真由美も私もずっと一緒だよ。」

「あ、サヤカが言っている意味とはちょっと違うんだよね。私が思ったのは、2人にくっついていた方が生涯安泰?」

「ん?そっちか〜。」

私と真由美が同時に同じ事を口走ったから、3人で大笑いになった。



例のコンサート翌日、CM撮影の最終詰めに仕事をしてからは、完全休養日が一週間あった。

1日、2日は自分の部屋の掃除などをして時間潰しが出来たが、3日目にもなるとさすがにこれ以上掃除などするところがない。

外出するにも、一人で行くことに慣れてないから、どうにも乗り気になれない。

そこで思い立ったのは、駅前の本屋さん。


ぶらり歩いていると、日頃は見落としていたいろんなお店が目に入ってきて、新たな発見に繋がる。

帰りに寄ってみようと思うカフェを見つけた。


本屋さんでは、面白そうな小説3冊とキャロちんさんたちグループが載っている雑誌、暇つぶし用のノートと三色ボールペンを買った。


カフェに入って行くと、女店員さんが奥の席に案内してくれて、僕はそこに腰を下ろした。

メニューを置いて女店員さんが向こうに行く。

ゆっくりと店内を見回すと、案外空いていることに気が付いた。

離れた所に、3人組の多分、女子高生?他に、ご老人の二人連れはご夫婦かな?のんびりと落ち着いてコーヒーを飲んでいる。

お昼過ぎ、真夏の平日なら混み合っている方が変か、と思い直し、メニューに目をやる。

本屋さんからここまで、さほど遠くないのにおでこから汗が流れ出ている。

同じ冷たい物を頼むならと、メロンフロートに決めて顔を上げた。


奥のカウンターの方を見ると、女店員さんとタイミングが合ってこっちに来てくれる。

「ご注文、お決まりですか?」

にっこりと微笑んで聞いてくれる。

『あ、メロンフロートをお願いします。』

と言うと、復唱して再びにっこりと微笑む。


買ったばかりの本の中から、キャロちんさんたちグループが載っている雑誌を取り出し、ページをめくった。

ポスターになっているのだろう雑誌の冒頭にキャロちんさんが笑顔で写っているグラビア写真が折りたたまれて入ってる。

さすがにここで広げるには、結構恥ずかしいので、次のページに進む。


数ページ、キャロちんさん1人の写真で、その後から他のメンバーが出てきた。

時間潰しが目的なので、各ページを丁寧に見ていると、女店員さんがメロンフロートを届けてくれた事に気が付かなかった。


「そのグループが好きなんですか?」

突然声をかけられたので、思わず開いていたページを慌てて閉じた。

『あ、えっ?あ、そう・・・ですね。』

オロオロしてしまって、とりあえずそう返した。

「私も大ファンなんですよ。やっぱりキャロちんさんですか?」

『あ、そ、そうです・・・かね?』

「私、この間の横アリに行ったんです。お客さん、似てますね。」

『ん?だ、誰にですか?』

「あの人ですよ、山中翼さん。なんか、そっくりなんですけど、言われません?」

『あ、そ、そう?言われたことはない・・・けど?』

「へぇ〜!あ、余計な事を言いましたね。ごゆっくりどうぞ。」


危ういところで立ち去ってくれてホッとしていると、今度は

「ちょっといいですか?今、何の話しをしていたんですか?」

いつの間にこんなに近くの席に移って来たのか、すぐ隣の席に3人組の女子高生が自分たちの飲み物を持って座っていた。

「あ、その本、買ったんですか?ひょっとしてファンなんですか?」

「私も昨日、買っちゃいました。」

「キャロちんさん?もちろんですよね、あの子がやっぱり一番だもんね。」

『あ、ま、そんなところかな?』

「ヤッタ、一緒だ。可愛いですよね?で、あなたは、ンーと高校生?」

『あ、高一です。』

「タメだ!そうなんだ、ズバリ聞いていい?」

『ん?』

「山中翼で連想することは?」

「違うでしょう、三条優也で連想する事でしょう?」

ズバリとど真ん中に放り込まれると、返事に窮するもんだ。そして、答えたのが

『あ、いや特に・・・』


すると、3人が黙ったまま僕をジッと見つめて

「やっぱりね。」

「うん、間違いない。」

「ね、あなた三条優也さんですよね。」

『エッ!な、なんで?』

「キャロちんさんのファンで、山中翼、三条優也の名前に今の反応は、別人ならそんなんじゃないでしょう?」

「そうよね、どっちかって言うと、嫉妬するか誉めるかの反応だよ。」

「間違いなくそっくりだもん。私たち、三条優也の大ファンなんですよ。大声で騒がないのは、優也さんのことを大切に思っているからで安心して下さい。」

「で、どうなんですか?」

『ん?何が?』

「本人ですか?」

『もしその三条優也?だったら?』

「秘密にします。誰にも言い触らしたりしません。」

「その代わりお願いがあります。」

『お願いって?』

「時々、時間がある時でいいんで、ここで普通にお話しさせてくれませんか?スターの優也さんじゃなくて、高一の男子生徒って言う設定で?」

『あ、それが約束なら、いいけど。』

「やっぱり本物だ!」

『お、おい!早速約束違反?』

「あ、ご、ゴメンなさい。ちょっと興奮し過ぎ?」

「ユカ、落ち着いて。あ、この子ユカって言うの、こっちはアリサで、私はサチ。ね、約束する事を決めようよ。なんか書くもの持ってない?」

「持ってないよ、勉強に飽きたから出てきたんでしょう?」

「私もだよ、まさかの展開に追いついてないよ。」

『あ、じゃあこれに書いていいよ。』


暇つぶし用に買ったノートとボールペンを出してサチさんに渡す。

「わぁ、ありがとう。いいのかな、大スターに借りちゃって。」

『おいおい、そう言うの無しだろ?』

「あ、そうだよね。で、どうしようか?呼び名は、三条くん?優也?じゃ固い?」

「固い固い、もっと無いの?呼びやすくて、親しみやすい、その上、他の人に気付かれないようなの?」

「優也さんの希望は?」

『いいよ、どんなのでも。軽い名前にしてくれると嬉しいな。』

「じゃあ、ユウってのはどう?優也の優じゃなく、あなたのユウだよ。」

アリサさんが笑いながら言った。

「いいんじやない?ユウだったら言いやすいし、スターのイメージに拘ってないね。」

『じゃあそれで決定だね。』

「私たちも呼び捨てにしてよ。ユカ、アリサ、サチだよ。でね、ここでの費用は全て割り勘、話しを他人に洩らさない事と、これ以上人数を増やさないこと。で、肝心なことが一つ、三条優也を休養させるのが目的なので、決して迷惑を掛けない、そして、魔の手から守る。」

「オッケー!私、その約束、絶対守る。」

「私も。」

『じゃあ、今から友だちだね。タメ口でいいんだろ?』

「もちろん、あ、むしろ敬語はデコピンにする?」

「イヤだ〜、サチのデコピン、痛いんだもん。」

『そういう暴力的なバツはやめよう。次に集合するまで考えておいて。』


連絡先を交換する為、赤外線通信で登録して、四人でメンバーカードを作るとか言って写メを店員さんに撮ってもらいこの日は解散した。

女の子ばかりなので、少し心細い面はあるが最初の経緯から信用出来そうなので友だちになる事に、案外抵抗なく入れた。

これならサヤカに知られても、怒られずに済むだろうと思った。


その後、ほとんどを家で過ごし一週間の休みが終わった。

同じ様に休みを取っていたユイさんから朝、久しぶりにメールが来て会社の隣にある喫茶店で待ち合わせた。


「よっ、ゆっくり休めた?」

『ユイさんこそ、アレッ、日焼けしました?』

「そうよ、友達と小旅行したら、こんなになっちゃった。目立つ?」

『あ、でもいい感じに焼けてますよ。海ですか?』

「友達の会社の保養所、海の近くにあって、あ、泳いだりはしてないの、夕方から外でバーベキューとか、花火も毎日やったのよ。」

『ヘェ〜、楽しかったんでしょうね?ちょっと憧れるな。』

「で、優也くんは、何してた?」

『部屋の掃除とか、本を読んだり?』

「なんだ、どこかに行かなかったの?」

『そうですね、友達でもいればどっかに行ったんですけどね、ご存知の通り・・・』

「そっか、私が付き合えば良かったんだね?」

『いいんですよ、ユイさんにはユイさんの生活があるんだし、一緒だと公私の区別がつかないですよ。あ、そうだ、女子高生と友達になったんだ。』

「ゲッ!どうした、ナンパしたの?可愛い?サヤカさんより・・・」

『やだなぁ、勘違いしないで下さいよ、相手は3人組ですよ。家の近くのカフェに行ったら、なんか、すぐにバレたみたいで声かけられました。』

「それで、簡単に認めたの?」

『あ、いや・・・誘導尋問に引っ掛かったんです。上手く誤魔化すつもりだったんだけど、相手が一枚上だったんです。で、話しをしているうちに、その子達、僕のことを守ってくれる約束を。他の人には教えない。』

「そう・・・今時珍しい子達ね。三条ナゥとかってすぐに自慢気に拡散する時代なのに?今度、私にも会わせてね。」

『いいですよ、但し、女子力全開で僕をイビらないならですけど?』

「ん〜、バレたかぁ!」


『で、仕事の話は無いんですか?』

「明日からCM撮影、新しいところだよ。スポーツ用品のメーカーさん。」

『明日から?』

「1日じゃないの、那須高原にあるスポーツ施設が現場になるの。少なくても1泊は覚悟して。」

『スポーツ用品だと、走るんでしょうね?』

「そうね、シューズだと全力疾走になるでしょうし、ウェアだと球技という可能性もあるわね?」

『まさか、苦手のサッカー?』

「あ、ドラマの中でシュートしたじゃん、あれかもね?」

『あんなの、普通に出来るわけないのに。ま、一週間もお休みさせてもらったんだ、何でも全力で出来そうですけど。』



真由美から電話があり、家に向かう。

途中、差し入れを買うためコンビニに立ち寄って、スイーツやお菓子、飲み物などをカゴに入れレジに並んだ。

そこへかおりも入って来て、一緒にお店を出た。

「アッと言う間に夏休みが終わっちゃうね。」

「そうだね、私たち、全然日焼けもしてないね。」

「サヤカ、あんたが嫌がったんだよ、外出すると焼けるって。」

「だって、紫外線はお肌の大敵だもん。」

「まあね、アイドル志望の人には絶対ダメだもん、だから無理に誘わなかったのよ、感謝しなさいよ。」

「してるよ、もちろん。だから今日の差し入れは私のおごり。」

「よしよし、じゃあ問題なし。」


真由美は、私たちを待ち構えていたのか、すぐにドアが開いた。

「早く入って!」

「どうしたの?ここから急かす?」

「いいから、早く。」


真由美のリビング兼勉強部屋に入ると

「ジャーン・・・第2巻、完成しました〜。」

「ホント?わぁ〜、見せて。」

かおりとほぼ同時に手を伸ばすと、私の手に渡してくれた。

それに拗ねたのはかおりで、ブツブツと独り言を言いながら、コンビニで買ってきたスイーツを食べ始める。

真由美も小さなキッチンから、コップと小皿を持ってきてくれて分けてくれる。


私は、デビュー後のコンサートで、トモ君と共演しているところがどんな風に描いてくれているのかが一番の興味で、途中は軽く流すように読んでいた。


ところが、コンサート終了のページで私の目が止まった。

たった3コマの中に、私の全身をシビレさせる衝撃のシーンが描かれていた。

トモ君とのキス。

そこだけキラキラ輝いていて、3コマ目に目から溢れ出る涙が一筋、頬にかかっている。

その時、胸が熱くなり、本当に涙が溢れてきた。


「カシャ!」


ん?と思って音のした方を見ると、真由美がスマホをこっちに向けていて、その横からかおりがピースサインをこっちに向けている。

慌てて涙を子供のように手首を使って拭き取る。

「ヤーだ、何で写すの?」

「サヤカの涙を記念に撮っちゃった。ね、かおり。」

「うん、最高のお宝ゲット!」

「もう〜、なんで意地悪するの?」

「その答えの前に、感想が聞きたいんだけど?」

真由美が両腕を前で組んで聞いてくる。

「感想?・・・そ、そうだね、こんな日が来るかな?もちろん、来るって信じてる、信じたいって思ってる、けど、ここを読んだら急に胸が熱く・・苦しくなって、そしたら涙が溢れていた。ねぇ、二人ともどう思う?」

「そっか、ずっと気丈に振る舞っているけど、サヤカにも弱みがあったんだ?」

「かおりが一番分かってるくせに、私が弱い人間だって。」

「そうだね、ねぇ、今日の涙、あの頃以来だよ。」

「あの頃って、トモ君がいなくなった頃?」

「そうだよ。あの頃、毎日メソメソして、すぐに泣いていた。」

「かおり、もうその辺で。今は、ほとんど泣かなくなったんだよ。」

「すごいね、私、認識を改めた。そんなに思ってるなら、きっと夢叶うよ、ん〜ん、私達が叶えさせてあげる。どんなに時間掛けても、きっと。」

かおりも隣で頷いている。

いい友達を持ったと、心の底から感謝した。この言葉だけで救われたのだ。



那須高原は、避暑地として有名だと聞いていたが、東京の暑さより少しだけ気温が低いのだろう、その違いが正確には分からないくらい暑い。

到着後、すぐに衣装替えをしたのだが、新製品のジャージとスニーカーだった。

その格好で陸上競技場に連れて行かれると、すでに撮影の準備が出来上がっていた。何台ものカメラがトラックの直線に並んでいる。

監督さんから一応のシナリオを聞かされたが、ほとんどアドリブでいいと。

第1テイクで、短距離走のタイミングで走ってみた。


「今のでいいんだが、あまりにも普通だな。三条くんらしさというのを出してみようか?」

監督さんの言っている意味を計りかねながらも、とりあえず走ってみることにした。

そして、連続で5回全力疾走してみたが、簡単にオッケーの合図が出ない。

スタート地点に戻っている時、ふと思い出した。

中学生の時、陸上部の練習で、全員が同じように最初大きなスキッブでスタートして、その後全力でゴールまで走っていた事。

その時、僕はカッコいいその姿を憧れの目で眺めていたなぁと。


それを実践してみた。

初めてのことなので、スキッブの足並みがそろわず、途中で止まってしまった。

再トライで少しぎこちなさは残ったがさっきより上手くいった。


それから何回も繰り返して、結構バテバテになってゴールまであと少しのところで倒れ込んだ・・・その時。


「ハイ、オッケーです。いいぞ、最高だ。」

「ありがとうございました、お疲れ様でした。」

と、お礼を言ったところ

「三条くんが倒れた絵を撮れたよ。こりゃあファンからブーイングされるかな?」

監督さんの後ろで、アシスタントの方たちも笑顔で頷いている。

「明日は、色んなユニフォームを着ての撮影だから、今日みたいなハードさでは無いからね。」

そう言って監督さんたちが帰って行った時、辺りは薄暗くなり始めていた。


スキッブが気に入られたのか、倒れたのがよかったのか、あまり理解出来ないまま近くにある宿泊所のホテルに向かう。

いわゆるリゾートホテルで、感じがとてもいい。

到着後すぐにレストランに入って食事。

撮影の途中、お水は何度か口にしていたが、それだけだったのでかなりお腹が空いていた。それを知っていたユイさんが、僕のために気を利かせてくれたのだ。


「何にする?やっぱりガッツリとお肉にする?」

『いいんですか?』

「ん?どういう意味?予算のこと、気にしてるの?それとも・・・」

『予算のことです。いつもなら・・・』

「あ、そっか?確かに、あまりお肉を食べてないね。今日はいいのよ、いっぱい食べようね。ここのお肉、美味しいって評判なの。」

『あ、じゃあ美味しかったら追加しても?』

「いいわよ、今日だけ特別。」

『やった!じゃあサーロインステーキの300gにする。』

「オッケー、私はヒレステーキの200gにしようっと。」


食べながら話をしていると

「ねぇ、秘密の話を教えようか?」

『秘密?まぁ、大袈裟に盛った話でしょう?聞きますよ。』

「何、その態度、盛った話じゃないわよ、聞くと優也くん、飛び上がるかも?」

『ほほ〜、そんな秘密がありますかね?』


「この間のコンサート、ある人が見に来てたんだって。」

『なんだ、そんなこと?だって、3万何千人とかってなんかで読んだ。』

「それは一般の入場者でしょう?そんなの秘密でも何でもないわ。」

『じゃあ、ある人って?』

「誰だと思う?当ててごらん?」

『ん?僕が知ってる人?・・・まさか・・・社長?』

「オッ・・・って、当たったかと思っちゃった。あのね、社長だと秘密でも何でもないでしょう、バカね。」

『ま、そうですね。誰だろう?すごい人ですか?』

「うーん、ある意味、凄い?それより、想像すら出来ないと思う。」

『だったら分かんないじゃん。』

「諦めないで。」

『ヒントとか、ない?』

「ヒント?ンーと、まさか、うん、まさかで思い当たる人は?」

『まさかってったら、サヤカぐらい?イヤイヤ、それはあり得ないし、?』

「そうだ、もしサヤカさんが来ていたら、どう思う?」

『どうって、そりゃ、会いたかったけど、どんな顔で会えばいいのか、結構複雑?』

「分かる、でもね、本当はサヤカさん、来てたんだよ。」

『嘘だ、そんなのユイさんが知ってるはずがないじゃん。』

「本当よ、二階席の後ろの方にいたのよ。」

『ゲッ?本当に?で、バレたの?』

「まだ気付いていないよ。優也くん、中学生の時とかなりイメージ、違うんだよ。」

『まだ半年も経ってないのに?』


誤魔化してはいたが、サヤカが来ていたことは、メッチャ嬉しかった。




第15話をお楽しみください。


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