序章 1
初めまして、母流具 玩具と申します。
今回初投稿となります。小説は10年くらい前に3作ほど書いていたのですが
また挑戦しようと書き始めました(苦笑)
拙い文章かもしれませんがよろしくお願いします。
関西出身なもんで所々笑いを散りばめながら書いていこうと思います。
暖かい気持ちで彼女達の冒険譚をお楽しみください。
広大な砂漠が広がっている。灼熱の太陽が照りつけ陽炎がゆれている。
おおきな砂埃をあげて疾走する一台の車、その車の中には二人の少女。
一人はハンドルを握り、もう一人はルーペのようなものでなにやら小さな石をみている。
ハンドルを握っている少女が正面を向いたまま、石を見ている少女に語りかける。
「どーお?今回は?」
語りかけられた少女は「ふぅ」とため息をついて
「だめだな、今回も・・・」
と、半ば怒り口調で後部座席に「ポイ」と振り向きもせず石を投げ捨て、シートに深くもたれた。
運転手の少女は片手で頭を掻きながら。
「うーん・・・もうあの採掘場じゃあ無理なのかなぁ・・・」
助手席の少女は、ちょっとふて腐れた表情で、スラリと伸びた足を窮屈そうに組みながら。
「でもなぁ〜ここらじゃ、あそこの採掘場が一番可能性があるんだよ。」
地図を広げ、覗き込みながら。
「あと、可能性があるとすれば・・・」
指をすべらせ、ちょっと考えた後トントンと地図を叩き。
「あることはあるんだけど、ここから100キロ離れた所だね。しかもここ30年間採掘して0.05gしか取れてない所だけど・・・どうする?」
すこし悪戯っぽく笑いながら話しかけた。
「えー、そんな所行くわけないじゃん。発掘量も今の所と10分の1もないじゃない。まったく・・・羅刹は意地悪だな。」
羅刹と呼ばれた少女。
瑠璃色の目、額にはバンダナを巻き、腰まで届く黒髪。
端正な顔立ちは少女と言うより大人の女性を感じさせる。体躯も大人の女性のそれである。
「あんたね、そんな事言ってると明日食べる物もなくなるよ?ただでさえチビっこいんだから〜。」
くすりと笑い、チビっこい少女の頬をツンツンと突付きながら。
「ねー、夜叉姫ちゃーん。」
夜叉姫と呼ばれた少女。
琥珀色の目、赤毛のショートでピンピンと逆毛がある。
羅刹と対照的にこちらは少女というより少年っぽい。体つきも・・・まぁ・・・未来に期待しようという感じ。
「う、うっさいな〜、羅刹は育ちすぎなんだよ〜。年だって3つ上だしさぁ〜。あたしだって3年たったらバインバインのナイスバディになるんだからね!」
羅刹はキョトンとした顔で。
「それは無いわ。」
「ムキームカつくー!!」
夜叉姫はぷくーと頬を膨らませハンドルをバンバン叩いている。
「んで、これからどうする。ねぐらに戻る?それとも町に行ってスケベ親父からいつもの様に金でも巻き上げようか?」
夜叉姫はすこし考えた後、困った顔をして。
「えーやめなよ〜。ただでさえ町であたしたち目を付けられてるんだから。そんなことしてるから『男を喰らう羅刹女』って言われてるんだよー。」
すると羅刹はムッとして。
「失礼ね、私はスケベ親父に抱かれたりしてないよ!鼻の下のばしてる馬鹿親父から金を巻き上げてるだけじゃん。」
それの方が十分タチが悪いんじゃないかな、と思いながら。
「じゃあさ、あたしがまたストリートファイトでお金稼ぐ?」
「却下。そっちの方が稼げない。町の連中、あんたの顔みたら逃げてくじゃない。」
二人がうーんと唸っている。先に語りだしたのは夜叉姫。
「ま、まぁいいじゃん。まだ弥勒のじっちゃんから貰った食料とお金も残ってるし、いざとなったらまたじっちゃんから・・・」
羅刹はちょと怒った様な顔をして。
「駄目!弥勒様に甘えちゃ!何の為に二人で暮らしてると思ってるの?弥勒様に迷惑かけない為でしょ?弥勒様は優しいから何でもしてくれるけど・・・そこに甘えちゃだめだよ!」
「わ、わかってるよぉ・・・怒らないでよ。」
夜叉姫はしゅんとして、下を向いている。彼女は羅刹に頭が上がらない。こういう時の羅刹は真面目である。怒らせると敵わない。
「とりあえずねぐらに戻ろう。明日の事はまた考えよう。ね、夜叉姫。」
「う、うん。」
羅刹は夜叉姫の頭をなでて、優しく微笑んでいる。夜叉姫にとって羅刹はお姉さん的な存在であり、信頼できるパートナーだ。
彼女に優しくされると、とてつもなく嬉しい。
「じゃあ戻ろうか。」
アクセルを吹かし砂埃を上げて車は疾走する。二人の住処に向かって。