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詰め合わせ。  作者: ゆきみね
しぇいも!
24/42

お向かいさん達は

「こらこら、何してるんだい君は。ごめんね、驚いたでしょう」

 訳が分からず混乱していると、奥から更に人が現れたようで、突然抱きついて来た男をベリッと引っ剥がしてくれた。変態から解放され、私は自由になった頭を勢いよく下げてお礼を言う。

「いえ、大丈夫です! ありがとうございます」

「ふふ、悪いのはこいつだから気にしないで」

 男性がゆるりと笑った。少し視線を上げると、男性の腰辺りが視界に入る。その服はあまり見かけない独特な服だった。たっぷりとした柔らかな白の1枚布で身を包んでいて、黒の腰帯で布の流れを調整している。

(民族衣装とかなのかな)

 そう思いながら更に視線を上にあげる。すると男性の半円状に肌蹴た胸元からは、鎖骨に沿うように描かれた(いばら)の刺青がのぞいていた。

(……やばい!?)

 身体に刺青を入れている人など、「その手の人」が大半だ。私は焦りから反射的に顔を上げて、そして硬直した。

 危険人物の香りがする男性は、長い黒髪を後ろで結わえ、耳の高さまでのびる前髪を真ん中で分けていた。案の定顔、右頬にも棘の刺青が入っている。しかしそれだけならまだ吃驚して恐がるだけで済んだ。その男性はその手の強面という予想に反して、顔貌の整った、柔和な面持ちの美青年だった。

「どうしたのかな」

「え、あ! すすす、すみませ……!」

 固定していた視線を逃げるようにバッと横に逸らして、私はまた固まった。視線の先には、さっき私に抱きついていただろうと思われる変態さん。その変態さんはワイシャツに黒のベストとズボンで、まるで紳士のいでたちをしていた。そして金の短髪に包まれたその顔もまた、乙女を撃ち抜く美形のものだった。

「うえ、え!?」

 急に現れた美青年2人に驚いて、思わず後ずさった。すると当然、後ろにあった階段との境目を踏み外し、

「あぶなっ……!」

 後ろからボフッと誰かに抱きとめられた。声は男性だった。この家の住人の内の1人かもしれない。

「あ、ありがとうございま……!」

 慌てて振り返ると、その人は首元から斜め下へとボタンの付いたの白い上着に、黒いスラックスのようなズボンを履いていた。東国に、こういう服を今でも着る人がいたな…等と思いつつ、その男性の顔に視線をあわせると。

「……またっ!?」

ウェーブのかかった顎までの白髪と、顔の脇の1本だけ長い3つ編みが特徴の、美青年だった。


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