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精霊達のレクイエム(鎮魂歌)  作者: 真条凛
永久《トワ》の安らぎ永遠の音色
23/30

繋がる糸(前編)


6/3より 月鈴



「―――花影を知っているか?」


その問いに、側近である彼等は戸惑いを隠せない。


この王宮内で花影の事を口にしないのは、暗黙の了解と言って等しかった。


王家は昔、花影にひざまずく事を命じた。すなわちそれは王家に着け、と言うこと。


だが彼等はそれを受け入れなかった。理由は簡単なことだ。

王家の上からの物言いが気に食わなかった。

ただそれだけ。


それに花影の党首は代々女性だ。それは決まり事ではなく、単に女性の方が実力を握っていたと言うだけの事。

そんな花影だからこそ、王の物言いが余計気に食わなかったのだろう。

当時は女性の社会進出が進んではなく、党首が女性ということもあり見下ろされていたのだ。

なので、無理もないと言えば無理もない。


しかし花影はそれに見合うだけの実力を有していた。


それはまつりごとを行う王家には、喉から手が出るほど欲しいものだった。

当然手に入れようとする訳だが、その手を優にかい潜った。そして元から姿を見せる事は殆どなかったが、全く姿を見せなくった。


いかに詮索の手を広げようとも、見つかる事のない花影の事はいつしか王宮内では禁句用語と化していった。


「口にしなくても、誰もが知っているだろうな。」


「それは言えてる。大体侍女達くらいしか今は口にしないからね。」


「いいえ。若い文官達の間でも口にされますよ。」


侍女が口にするのは、女性が力を握っている花影の事が憧れと等しいからだ。

そして文官達の間ではは女性の社会進出についての議論をするたびに、それとなく出てくる話題でもある。


「まあ、大体は予想していたが‥‥‥。まあ花影について知り得る情報には大差ないだろう。なにせ情報自体が少なすぎる。だが、フィオーラの妹、モニカの姿を見失った辺りで光影がこれを見つけた。」


そう言って差し出したのは深紅の薔薇。

きちんと棘は取られている事から、誰かが摘み取った事は確か。


そしてこの薔薇はただの薔薇ではない。


「‥‥これは!」


文官であるガイシーは博識なので、目にしただけでこれが何なのか理解したようだ。


「名前ぐらいは聞いた事あるだろう。影花、別名女王の戒めとも呼ばれている。」


「確か花影の党首しか咲かす事のできない、幻の花と言われているはず。まさか実物を目にする日が来るなんて。」


その実物を見たことのないシオンが口を挟む。きっと架空図書の書物でも読み漁っていたのだろう。


「これが世にも珍しい影花。由来は花影からとったのか。」


フィオーラが推測気味に話せば、答えは直ぐに返ってくる。


「そうみたいだな。【花影】は花を主と例え、花のの影として暗躍するから。【影花】は影(花影)の咲かす花だから。」


本当に良く付けたよ、とシオンが言えば周りも同感らしい。


「で、なんでこの、世にも珍しい影花が、ハーレイの手元にあるのか御聞かせ願おうか。」


全員が一番気にしている所はそこだ。


「まさか、【花影】と接触したのですか?」


「いや。違う。接触したのはモニカなんだよ。」


「「「!!」」」


返ってきたのは、3人にとって予想外なものだった。


「‥‥なるほど。花影とモニカが関係があるかもしれない、と言うわけだな。」


なるほど、と頷くフィオーラ。

当然それに食いつく者もいる。


「!兄である貴方が否定しないと言うことは、何か知っているという風にとってもいいんでしょうか?」


シルガーの言葉。

それに一斉にフィオーラの方を振り向く。


「いや。肯定も否定もできないぞ。」


「理由を聞いても?」


珍しく彼は食い下がる。

それは単に花影と接触しているモニカにから、新しい情報を知り得る事ができると言う期待からか。それとも、接触をしている疑いのあるモニカを不信に思っての事か定かではない。

たとえそれが同期の妹であろうとも。


フィオーラは苦笑して口を開いた。


「モニカは普段、自室で本を読んでいてな。」


言葉少なに話すフィオーラ。


幾人かは首を捻る。

接触の有無の事を話していたはずだ。


「その自室の窓からは裏門が見える。そして部屋の窓側には立派な木がある。」


ますます関係性を感じない内容になってきた。


「‥‥‥もしかして、その窓から出入りをしていたのか?」


ふと考える仕草をしたシオンは、何か思い当たる事でもあったのだろうか。そんな事を口にした。


「何を馬鹿な‥‥」


「良く分かったな。」


「なっ!!」


絶句して固まったシルガーはそのままに、話しは進んで行く。


「遠回しに言っていたんだろう。借りにも名家の令嬢が窓から出入りしている、なんて言えないだろう。」


シオンがしんつらに言葉を返せばフィオーラは同意を示す。


「お前、“借りにも”ってな。」


本人の知らない所でモニカはお嬢様が借りだと言われている。

それに憐れみを持ったハルギーレイは口を挟んだ。



皆様、久しぶりの更新で申し訳ないです。

サイトのほうで新しい小説を書いておりました。


続きをなるべく早く仕上げられるよう、頑張ります。‥‥たぶん←


6月3日

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