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精霊達のレクイエム(鎮魂歌)  作者: 真条凛
戸惑う心と揺れる水面
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傍観者と関係者

視点戻ります。


「あ〜あ〜あ、完璧怪しまれてるわねー。」


あらどうしましょ、と言うように、口に手を当て私は言った。

それを聞き付け、グレファーもといレファーが、首筋の髪の影からヒョコリと顔を覗かせた。


「その言い方、まるで傍観者の台詞だわ。私が言いたいくらいよ。」


「まあ、いいじゃない。傍観したくなることもあるのよ。」


自分の事でもね、と付け加える。


「貴女は傍観しすぎよ。」


レファーの言葉に、まあね、と笑いながら返すと呆れられた。


「それより、私が書庫に篭っている時、何処に行ってるの?毎回よね?」


「ん?あぁ、あれのこと?まあ、社会見学ってことで多めに見て。」


妖精、いや、精霊に社会見学もクソもないと思う。

‥‥‥あえて口にはしないが。


「それより、どうするの?あのホルモン撒き散らし男、貴女のこと探ってるわ。」


再び口を開いたレファーの言葉に、聞き慣れないものがあった。


「ホルモン撒き散らし男?」


「あの、色香を振り撒く騎士のことよ。」


「‥‥‥もしかして、赤髪の騎士の人の事を言っているの?」


「そうよ。それ以外に誰が居るって言うの!」


「あまり良い、ネーミングセンスでわないわね。せめて“歩く公害”、辺りにしとかないと、品位を疑われるわ。」


「‥‥‥実際、品位とかそんなもの、これっぽっちも考えてないでしょ!?それに、“歩く公害”ってのも十分酷いわよ。」


私はその言葉にそうね、と笑い、ただ苦笑した。











それは中庭でのことだった。


貴族の室内にあったゴミを焼却炉に持って行っている途中。


木の下に、誰かを見つけた。


影になっており、分かりにくく、俯いているので顔は分からない。


だが、目も覚めるような鮮やかな赤だけははっきりと見えた。


赤い髪と言えば、あの騎士しか思い浮かばない。


けれど、身長かしても、雰囲気からしてもどちらとも当て嵌まらない。


おかしいわね、と思いつつ足を進めると、申し訳程度の声が聞こえた。


「―――い‥‥、い‥も比べやがって。‥‥貴と俺は違う人間なんだ。なのにどうしてそのままでいたらいけないんだ。」


近づけていた足がピタリと止まる。


そして、また再び動き出す。


「―――‥世の中、人間は人の足元を見るヤツばかりだ―――」


「―――あなたは?貴方はそうではないでしょ?」


思わず、口を挟んでしまった。普段なら有り得ないのに。

強い自己犠牲の念に、私は顔をしかめた。


赤髪の少年は、突然表れた私にビックリして固まっている。

それもそのはず。

この場所は滅多と人が通ることはないのだから。


私は少年の元までユックリと足を進めた。

その間も、少年は動く気配はない。

否、動けなかったのだ。

突然表れた少女。

そして言われた言葉。


どちらも予想外だったのだろう。


「そんなに辛気臭い顔してると、善いことなんて何も起きないわよ。嘆くだけじゃ何も変わらないわ‥‥―――って、私が言える台詞ではないけれどね。」


そして少年が口を開く。

だが、そこから言葉が出てくることは無く、ただ返ってくるのは頼りなさげな瞳がけだ。


何度か口を開閉したが、結局言葉が出てくる事はなかった。



そして私は、ただ少年を見つめ返すだけだ。



少年が痺れを切らし、こちらに動こうとした時。

どこからともなく悲鳴が上がった。


何事かと思い、私も少年も辺りを見、出所を探そうと視線をさ迷わせた。


すると小15人ほどの、柄の悪そうな男が武器を持ってこちらに駆けてくるではないか。


手には何かの袋だろうか。

リーダーらしき男以外は、全て皆金目になりそうな物を持っていた。

だが、先頭切って走って来るリーダー(定着)は、生地は良いが小さな袋だけだ。


(何かしらあれ?)


そう疑問に思い視線を向けていると、なんとこちらに走って来るではないか。


(あらら、何だか面倒臭い事に巻き込まれそうな予感)


そして男達は二人に気がついた。


「おい、女がいるぞ。」


「調度いい。連れて行くか。」


勿論私の隣に居る少年には目もくれない。

少年一人、たいしたことないと思っているのか。それとも、本当に気がついていないだけなのか。

どちらにしろ無い物として扱われている。


「あらいやだ。」


口を手で隠し、わざとらしくも聞こえる声音を発した。


小声で、呟き程度だったそれ。けれど少年の耳にはしっかりと届いていたようだ。


アラインダ国の王宮は、こんな不届き者の侵入を許してしまうほど、警備が手薄だと言うのだろうか。

いや、そんな事は無いはずだ。

何故なら腕の利く者が沢山居るからだ。


ならば可能性が大きいのは初めから内部にいた、考えるのが妥当だろう。

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