第十七話 今更ながら何故に
今まで読んでくれた皆さま、お元気ですか?
私は一応生きてます。
私の居たところは、特に被害もありませんでした。
・・・では、なぜ今まで更新しなかったか、というと、いつものように話が思い付かなかったからです。
す い ま せ ん で し た !!
これからも見捨てないでいただけたら幸いです。
前回までのお話を覚えてない方も多いと思うので、最初から読んで・・・というのは前回やってしまったので、あらすじをかきませう。
英司は、騎士団の副団長、アリシアと邂逅する。
教師「それでは、ガソダムファイトォッ! レディィィッ ゴォォォォ!!」
アリシア「天に竹林! 地に少林寺!
眼にもの見せろォ! 最終秘弾!!
真・流 星 胡 蝶 剣 !」
英司「俺のこの手が真っ赤に燃えるゥ!」
アリシア「勝利を掴めと輝き叫ぶゥ!」
英司「爆熱! ゴォォォォッド フィンガァァァァァァァァ!!」
英司・アリシア
「「おおおおおおおおおおおおおおおッ!!!!」」
・・・八割がたウソです。
やってみたかったので。
ちなみに、このあとの本編に繋がるネタがこっそり仕込んであります。
では
「そこまでぇッ!」
演習場に教師の声が響き渡った。
「「・・・・・・」」
誰もが無言だった。
英司の放った居合いはサーベルを斬り飛ばしてアリシアの首筋に突き付けられていた。
しかし、勝利したわけではない。
英司の首筋には、アリシアのポニーテール・・・その中に隠された刃が突き付けられていた。
「この試合、引き分け!」
再び教師の声が木霊する。
「「「「おおおお!!」」」」
生徒達からは歓声が上がった。
「俺の負けだ。最後のやつは読みきれなかった。」
「いや、私の負けだ。最初から相討ち狙いなど、負けたようなものだ。」
「いや、目的を果たしたアリシアさん、いや、アリシア姐さんの勝ちだ!」
「ね、ねえさっ!?
い、いやだから私は本来負けだったのだ!」
「完全に不意を突かれた俺の負けだよ姐さん!」
「さ、さっきからなんなのだ!? その“姐さん”というのは!?」
「え? “お姉ちゃん”の方が良かった?」
「お姉ちゃっ!?」
「さあ、どっち!?」
英司がたたみかける。
「・・・お、“お姉ちゃん”で!(キリッ)」
「・・・なん・・・だと?」
ま、まさかそっちを取るとは・・・
・・・しかたがない・・・
「お、お姉ちゃ・・・」
アリシアがどこか期待のこもった潤んだ瞳で見つめてきているような気がする。
「・・・すいませんさすがの俺も恥ずかしいので、間を取って“姉さん”で。」
「・・・・・・」
・・・なんかアリシアが残念そうな目をしていたような気がしたが、恐らく気のせいだろう。
「じゃ、引き分けってことで。」
「ああ、そうだな。」
その後、ようやく和解(?)した英司とアリシアだった。
「それにしても驚いた。
力で押してくるのかと思ったら変幻自在なんだから。」
「それはこっちのセリフだ。
空は飛ぶわ連射するわで見たことも聞いたこともない魔術の連続じゃないか。オマケになんだその不思議な剣は。
私の大剣とサーベルをいともたやすく・・・
それなりに高級品なのだぞ?
少し見せてくれないか?」
どうしよう・・・
さすがにアダマンタイト製の刀をあんまり見せるわけにもいかんし・・・
「その漆黒の光沢、アダマンタイト製とみた!!」
バレていらっしゃる!?
しかたがない・・・
「できれば秘密にして欲しい。
・・・少しだけだよ?」
「ほぅ・・・これは!?
国宝級・・・
へたをすればそれ以上だぞ!?」
「へっへーん、いーだろー?」
「いーなぁ・・・すごいなぁー。」
なんか目がキラキラしている。
自分の作った物をこれだけ素直にほめられると結構嬉しい。
「お詫びと言ってはなんだけど、大剣とサーベルを修理、改造してあげよう!」
「・・・そんな事出来るのか?」
「フッ、皇帝陛下もびっくりの超兵器になるぜ!?」
「フフッ、では楽しみにしていよう。」
「ああ、重さのバランスはこれと同じくらいがいい?」
「うむ。」
「よし、了解だぜ姉さん!」
「ああ、頼んだ・・・!?
待て、そういえば何で私が“姉さん”と呼ばれねばならんのだ!?」
「ところでその髪の毛どうやって動かしてるの?」
「こ、これか?
髪の毛は魔導効率が良いからな、簡単に出来るぞ?」
「へぇ?知らなかった。
姉さんすごいなー。」
「そ、そうか?」
・・・あれでごまかせるなんて・・・
姉さん意外と単純だな・・・
「そういえばさぁ、なんでみんな戦い方や武器の使い方なんて学んだりしてんの?
戦争でもすんの?」
「「「「は?」」」」
話を聞いていたユニ、フィア、ルセリナとアリシアが固まった。
「え? なにその反応。」
「エイジ、もしかして今まで何も知らないで生活してたの!?」
「だってまだ異世界から来て一週間だぞ!?」
「ていうか武器作ったり魔法の練習したりした時に、なんの為に使うのか疑問に思わなかったの!?」
「授業でも言ってましたよ?」
「授業は多分寝てた。
それにあの時は、『異世界チートだぜヒャッハー!!』・・・とか思ってテンション上がってたんだ。」
「「「「・・・・・・」」」」
「・・・正直、すまんかった。」
「はぁ、まぁいいよ。
エイジらしいしね。」
ユニは呆れ気味だ。
「そうですね。エイジさんって切れ者っぽいけど、時々抜けてますしね!」
ルセリナは無邪気に心を抉る。
「ふふっ、そそっかしいのだな。」
アリシアは微笑ましそうに見ている。
「あるじはアホの子だったのじゃな。」
フィアにいたってはアホ扱いだ。
英司は悲しみのあまり大げさに泣き真似をかました。
「・・・ヒドイやみんなして・・・グスっ」
それを見たアリシアがあわてて慰めに行った。
「!? な、泣くなエイジ殿。
ほ、ほーら、よーしよし。」
アリシアのやさしさに全英司が泣いた。
「ウワアァァン、おねえちゃぁぁぁん!」
「ぐはッ!?」
なにやらアリシアが鼻を抑えて悶えていた。
「それで?
結局なんでみんな戦う訓練してるの?」
「それはじゃな・・・」
フィアが語りだした。
「遠い昔、人類は大いに栄え、この地上を支配したのじゃ。」
「そんな壮大な話から始まるの!?」
「いいから聞くのじゃ。
そして人類は栄華を競い、互いに争った。
あらゆる兵器を開発し、互いに滅ぼし合ったのじゃ。
そして人類は、生物を兵器にする事を始めたのじゃ。恐ろしい事に、人間も含まれていたそうじゃ。
その生物兵器の成れの果てが、今では『魔獸』と呼ばれているのじゃ。
まぁそれはさておき、争いは続き、ついには文明が滅んだ。」
「驚愕の展開!?」
「ま、まて!
魔獸が生物兵器だという話は私も初耳だぞ!?
・・・た、確かに戦う為に生み出されたとは聞いていたが・・・」
「ボクも初めて聞いたよ!?」
「私は聞いた事があったような気がしないでもないような?」
「うむ。
おそらく時の流れと共に情報が風化したのじゃろう。
話を続けるぞ?
そしてその後、生き残った生物兵器は繁殖を続け、世界は生物兵器と強力な野生動物がはびこる弱肉強食の荒野となった。」
「マジか!?」
「うむ。
そして生き残った僅かな人類は、かろうじて残った軍事施設やシェルターの周りに城壁を築き、小さな国を作り、細々と繁栄してきたのじゃ。」
「・・・なんという歴史ドラマ・・・」
「うむ。
今でも城壁の周りには魔の森が広がり、時々魔獸が、街を襲いに現れるのじゃ。」
「・・・びっくりだぜ・・・」
「うむ。
今では魔獸も貴重な資源でもあるので、街の外に狩に出ることもあるのじゃ。
」
「それなんてハンター?」
「うむ。
しかし魔獸は一体でもとても強大じゃ。
そして本来、制御装置の役割を果たすはずの『女王』なども野生化し、制御は不可能じゃ。
そして群れを作る。
今までは運良く小さな群れしか襲って来なかったが、万が一女王を含むような大群に襲われることがあれば、国が壊滅する可能性が高い。それを防ぐため、また資源を手に入れるため、そして生きるために人々は戦う術を学ぶのじゃ。」
「・・・なるほど・・・ファンタジーかと思ったらSFだったのか・・・」
「今の聞いて感想はそれなのか!?」
「ふっ、フィアよ、たとえ世界がどうなろうとも、俺のする事は変わらない。
ただ思うがままに生きるのみだ!
人生楽しく過ごした者勝ちだぞ!?」
「あるじは思うがまますぎると思うのじゃ。」
その時、けたたましく鐘を打ち鳴らす音が街中に響き渡った。
「「「「「!?」」」」」
「今の鐘は!?」
「噂をすればだ。
魔獸の襲撃だ。
私も行くべきだな。」
アリシアが行こうとする。
「姉さん武器も無いのにどうすんのさ!?」
あわてて英司が引き止める。
「! しかし私はっ!」
「代わりに俺が行く。」
「!? 何を言っている!
そう簡単に魔獸が倒せると思うな!」
「そういう姉さんだって武器無しじゃ駄目だろ?
だからサポートしてくれ。俺はこの世界の事がわからない。
姉さんには武器が無い。
だから教えてくれ。
今回はこの世界の実情を知るチャンスなんだ。」
「・・・むぅ、時間も無いし仕方がない、行くぞ!」
「おうよ!」
説明回でしたね。
次話は一応出来ているので、あまり遅くはならないです。
ではまた