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50代無職、エルフに転生で異世界ざわつく  作者: かわさきはっく
第一章 エルフの森の試練

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第7話 最後の試練、力

 精神の試練を乗り越えた俺は、エルンストに導かれ、ついに最後の試練へと足を踏み入れた。


「最後の試練は『力』です」


 エルンストが厳かな声で言いながら、試練の間の最も奥にある扉を開く。

 その先には、広い闘技場のような空間が広がっていた。床には古い石畳が敷かれ、壁にはエルフの歴史を刻んだ壁画が荘厳な雰囲気を醸し出している。そして、その中央には、一体の巨大な石像が静かに佇んでいた。


「この試練では、賢者としての『力』が試されます」


 エルンストの合図と共に、石像がゆっくりと動き始めた。その目が青白く輝き、巨体が鈍い音を立てながら、俺の方へと向かってくる。


(……やっぱり、最後は戦うことになるのかよ)


 俺は内心でため息をつきながらも、体を構えた。


『恐れるな。この肉体には私の記憶が刻まれている。お前にも扱えるはずだ』


 カイランの声が、俺を鼓舞するように響く。


 石像が巨大な拳を振り上げ、俺めがけて叩きつけようとしてきた。間一髪で横に跳んで回避すると、先ほどまで俺が立っていた地面が轟音と共に砕け散る。


「くそっ、あんなの一発でも食らったら終わりだぞ……!」


 必死に回避しながら、俺はカイランの記憶を頼りに魔力を集中させた。手のひらに青白い光が宿る。


「いけるか……!」


 放たれた魔力の弾丸は、石像の腕を直撃し、その表面を砕いた。場内に、見守るエルフたちのざわめきが広がる。


(成功だ……!)


 息を整え、もう一撃を放とうとする。しかし、その瞬間、石像が両腕で俺を挟み込むように攻撃してきた。


(まずい……避けきれない!)


 そう思った瞬間、俺の体が意思とは無関係に動いた。まるで、この肉体に染みついたカイランの戦闘記憶が俺を導いているかのようだ。

 瞬時に後方へ跳躍し、回避と同時にさらに大きな魔力を練り上げる。


「はぁぁぁっ!」


 俺の咆哮と共に放たれた光の奔流が、石像の胴体を撃ち抜いた。

 轟音とともに石像は動きを止め、やがてガラガラと大きな音を立てて崩れ落ちた。


 闘技場に、静寂が訪れる。

 俺は肩で荒い息をしながら、目の前の光景を信じられない思いで見つめていた。


「……試練、突破です」


 エルンストの静かな声が、俺の勝利を告げた。


(……やった、のか?)


 こうして、俺は三つの試練をすべて乗り越えた。賢者の候補者として、俺はついにその資格を証明したのだ。その答えが、今、下されようとしていた。

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