女なら··········
読んで戴きましたら嬉しいです。( ・∀・)ノ
「どうして、尾行なんかしたんだ? 」
オレは問答無用で譲の部屋に連れ込まれた。
「ほら、コーヒー
熱いから気を付けろ」
オレはベッドに座って、譲にマグカップを渡され受け取った。
「どうしても知りたかったんだよ
譲の好きな娘·······」
譲は床に胡座をかきながら言った。
「そんなまとろっこしい事しなくても、俺に直接訊けばいいだろ」
こいつ!
オレは噛みつかんばかりに言った。
「何すっとぼけたこと言ってんだよ!
オレ、散々訊いたのに譲の方でいつも茶化してるじゃんか!!
だいたい高校生の分際で売春婦買うって、なにやってんだよ?! 」
譲は思いっきりムカついた顔をしてる。
これはひと波乱来るかなあ·······。
ようし、受けて立つ!
そして、譲は思いっきし言った。
「コーヒー零れんじゃんか!! 」
は?
そこかよ?
突っ込み待ちか?
その手に乗るか。
オレは黙って、譲を睨んだ。
譲がバツが悪そうに肩を竦めた。
「だいたいそんなもん、なんでそんなにしりたいんだ? 」
「意味なんて無いけど、でも····」
オレは捲し立てるように言った。
「超知りたい!
すっげえ知りたい!
意地でも知りたい!
果てしなく知りたい!
ずぇったい、知りたいいいいいーーーっ!!! 」
オレの剣幕に譲は思い切り深いため息をついた
「相変わらずガキだなあ」
なんでそんな困った顔するの?
譲はオレの隣に座って、話し始めた。
「好きな子は居る
理由は言えないけど、どうしても諦めなきゃいけない子で···········
忘れられるかも知れないって思って、ホテル街行ったりしたけど、どうしても整理が付かなくて·······」
もう、充分だ········。
譲が辛そうな顔して続ける。
「誰にも名前は言いたくないんだ
俺の中で整理が着くまでは··········」
真剣な顔して話す譲の顔が真っ直ぐ見れない·······。
「なーんてな
うっそおーーー」
こいつう、あっかんべえしやがった。
「おめえな! 」
オレは譲の首を腕で締め上げた。
「ギブギブギブ! 」
オレの純情を返せ!
「あんまり深刻な顔するからあ
ほら、コーヒー溢すぞ
ったく、何処までが本当なのか、解らなくなるだろ。
しばらく他愛無い話をしている内に、譲はオレに凭れて寝てしまった。
バイトで疲れてんだろうな。
寝顔、ガキの頃から変わんないなあ。
いつ頃だか忘れたけど、まだランドセル背負ってる頃だと思う。
姉貴が急性盲腸で緊急入院した時だった。
お袋は姉貴に付いて病院に行っていて、親父は残業で帰って来なくて、オレは一人で家の留守番していた。
姉貴が痛がって転がり回っていたのが、なんだか怖くて、凄く不安で押し潰されそうになって泣いていた。
そんな時に譲のお袋さんが自分で漬けたたくあんを譲に持たせて届けに来させた。
譲は訳を聞くとずっと親父が帰ってくるまで一緒に居てくれた。
時々、オレの頭を撫でてくれて、それが凄く安心できて、オレは一生譲と一緒に居たいと思った。
そんな想いは何時しか恋だと自覚した。
譲がこの気持ちを知ったら、これまでの関係が壊れてしまう。
きまずくなって、オレは譲の傍に居られなくなる。
譲に好きな娘ができたらこの気持ちを封印しようって覚悟してたのに。
どうしても許せない。
譲の隣にオレじゃない誰かが居るなんて·····。
女なら良かった。
女なら振り向かせて、奪い取ることもできるのに。
苦しいなあ········。
苦しくて、どうにかなりそうだよ。
譲···········。
オレは眠る譲の頭に頬を摺り寄せた。
読んで戴き有り難うございます。m(_ _)m
「ザ マシーン」と云う古い映画を観ました。
タイトルで解る通りSFです。
「ブレードランナー」の信者は多いですが、この「ザ マシーン」を録った監督も信者のようです。
雰囲気がほの暗くて、美しい。
久々に大好き❗ と思える映画に出会いました。
娘に言わせるとたるいらしいのですが、このたるさがこの世界観を上手く表現していると思います。
機会があれば、お勧めです。
ただ、私の好みはマイノリティです。笑笑




