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カップルのフリは陰キャの俺には難しい。

――これは、まずい。


現在進行形で非常にまずい。


レンは、今最大のピンチを迎えていた。


「ここは、こうでこうだ。そのためここの公式はこれだ。」


そう、数学の授業だ。レンは中学の時から数学が苦手で、

授業=昼寝という考えを持っていた。それが今になっても抜けないというわけだ。それに入学してからまだ間もない。ここで先生に

そういう姿を見せるのはこれからの高校生活に影響する。


やべぇこのままじゃ睡魔に負けるのも時間の問題だ。

とりあえず、自分の手をつねってみるか。


しかし効果は全く持ってなかった。


これは、リアルでやばいで。しかも、となりにはエリさんがいる

授業中に寝てるとこなんて見られたら...想像もしたくない。


「何とか、打開しなければ。俺は間違いなく...散る...」

とりあえずたくさんまばたきしとこ。


そんなことをしてたら、隣で真面目に授業を受けていた、エリさんが

「あの、天谷くん?大丈夫?目開いてないよ?眠いの?」

そう、小声で聞いてきた。

「いや、大丈夫じゃないけど、大丈夫。ありがと。」

と、訳の分からない返答。


先生の話が入って来ない。眠い。寝たい。


その時ふと横を見ると、レンはびっくりして目が覚めた。

なんと、ハルが堂々と気持ちよさそうに寝ているではないか。


「はぁ?あいつ何考えてんだ?てか、なんでばれねーんだ?」

でも、そういえば、

「ハルは、寝るのが得意とか言ってたような。確か委員会のとき

先生の真ん前で寝てたらしいしな。凄い才能だな。」


ハルの眠りの、テクニックには中学のとき毎時間寝ていたレンも

脱帽だ。なんせあんな、堂々と寝ることは出来ないはずだ。


そう、考えているうちに授業は残り5分に。

しかし、ここでハルに悲劇がおこる。


「おい、美嶋!この問題解いてみろ!」

と、先生にハルは指名されてしまった。


ハルも気の毒に、ここまできたらもう逃げられないな。

なんて、考えは甘かった。

式を、次々に書いてついに


「答えは、0.0258です。どうですか?先生?」

寝ていたはずのハルが軽く答えまで、たどり着いた。


「正解だ。美嶋。」


ぇぇぇぇ??あいつ寝てたよな??どうなってんの??

あいつまさか!?見た目に反して頭いいのか!?


「ピンポーンパーンポーン」

いつの間にか授業が終わっていた。


弁当を食べながら考えた。

まさか、あいつは頭がいいのか?いやそんなバカな。

いや、魔法でも使えるのか?それは、アニメの見すぎだ。

じゃあ、なんなんだ?なんで解けたんだ?寝ていたはずなのに。


「相変わらずボッチ飯ですか?レンくん?」


「うわぁっ!」

ビビった。いきなりハルに話かけられた。


「どうしたんですか?そんなに驚いて?ハルの顔になにかついているんですか?」


「いや、なんでもない。」


「今日は、ハルもボッチ飯なのでご一緒したいです...

ダメですか?レンくん?」


「あぁ、勝手にどーぞ」


しかし、これには謎が深いぞ。いっそ聞いてみるか。


「なぁ?なんでさっき寝てたのにあの問題溶けたんだ?」

俺がそう聞くとハルは、

「う〜ん?それはーー」


「それは、なんだ?」


「多分〜?」


「ハルの才能です!」

と、クソつまんない答えが帰ってきた。


「あっそなんだ。」

俺の雑な返しにハルは、


「なんですか〜?その態度は!」

といって頬をふくらませた。


「そんなことはどうでもいいですよレンくん!」

「これを見てください!これを!」


駅前のカフェのチラシだった。


「カップルのお客様には、パフェを半額とさせていただきます」


「で?このチラシがなんなの?」

そう聞くとハルは、手を合わせて頼んできた。


「お願いします!レンくんとハルは、ゲーム内ではカップルみたいなもんです!なので!!」


「だから、俺とカップルのフリしてパフェ半額してもらおって事かよ?俺は、嫌なんだが。あとカップルみたいなもんでもねぇーだろ。」


「そこをなんとか!もし一緒に行ってくれたあかつきには!

願いをなんでも聞きますので!あ、でも、卑猥なのはNGです」


「えぇぇー??だって俺だってこの後家に帰ってアニメの続きを見たいし、てか、俺が卑猥なこと頼む訳ねぇーだろーが!」


「お願いします!」


「お願いします!」

ハルは必死だった。


「あぁーもうわかったよ行くよ。」

最終的には、俺が折れた。


放課後約束通りカフェへ行った。


「あ、レンくん!カップルという設定なので手ぐらいは繋ぎましょう。そうしないと不自然です。」


「えぇー」


「お願いします!!ハルと手も繋げるし、いいじゃないですか」


「わ、わかったよ。」

ハルの手小さい。しかもめっちゃスベスベ


久しぶりに女子と手を繋いだぁ。幼稚園か、マイムマイム以来

少し恥ずかしいし、嫌なんだけど。帰りてぇ。


「もっと深く繋いでください!あれー?もしかしてー?」


「照れてません?」


ゲッ!ハルに図星をつかれた。


「いや、別に?何も感じてないけど?そうゆうハルこそ

顔赤いけど〜?どしたの?」


レンに図星をつかれた。

「は、ハルは、こういうのはしたことないので照れてしまいます。仕方ないことです!」


こんな感じで、2人はイチャついてるのかは、不明だがなんとか

カップルのフリをすることに成功した。


「あのー、今日はありがとうございます。約束どおりなんでも、聞きます!なんなりと。」


レンはそもそもそこ事を忘れていて。現実ならばできない、

デート気分を満喫していた。


「なににしよっかなー?」

レンは考えてなかったので今思いついたことを頼んだ。


「じゃあ、アドレス交換しよ?」

そう言うとハルは、驚いた顔で。

「そんなことでいいんですか??」

と、聞いて来たが。


「そうしたいんだよ。ダメ?」


「いえ、問題ありません!」

そういってアドレスを交換した。


「今日は、ホントにありがとうございました!」

ハルは、何度も俺にそういった。


「あぁー、分かったよ。バィバイ」



「今日は、モテない俺にとって忘れられない貴重な日になりそうなんだけど。」

そう言って1人で爆笑しながら帰った。


悪くない1日だった。

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