入学式の朝に
―春は嫌いだ
「レンくんたのしかったね。」
あれ、誰だあの子あれ?一緒に歩いてるの俺じゃん。
あれ、俺昨日までリア充死ね消えろ埋めんぞとかいってたのに。
「いつもの、時間がキミといると100倍楽しいよ!大好き」
えぇ〜?おれあんなキザなセリフ言わねぇーよ誰だあいつ?
待てよ状況を整理しよう。
俺は、非リア、モテない、クズ、ヲタ、あれ?なんで?
よく考えて見るとリア充になれる要素がない。
ていうか、俺ってそんなにダメなやつ!?
「私も、」
そう言って熱くキスを交わした。
現実とかけ離れすぎた夢にイライラがとまらなかった。
「何でやねぇえんん」
気が付くと目の前のイチャついていた自分は居なくなり
ベッドの上で雄叫びを上げていた。
「なんだよあの夢....」
「俺ってどんだけリア充になりたいんだろ愛に飢えてんな」
嫌な夢でも見るもんだ。これも昨日のラブコメ漫画のせいだろう
しかし、夢の中の俺の彼女の顔が思い出せない....
「何叫んでんだ?どんな夢見てたんだよ」
「なんだよ勝手に部屋入ってきてのび太のママかお前はー」
のび太のママになっても無理はないなぜなら俺は、兄貴と二人暮らし家事もほとんど兄貴がやってくれている。
「くだらねぇ事言ってねぇーでおきろやお前今日入学式だろ?」
「そっか入学式か俺も青春の1ページを刻むのか」
兄貴の言葉で思い出した今日は高校の入学式だった。
「残念ながらお前の青春は来ないお前に来んのは、アニメグッズ
に囲まれる3年間だ」
「だまれクソ兄貴」
「いいから飯食え」
兄貴の言っていることが気に食わないそれが弟の本能だ。
しかし兄貴の言うこともごもっともで、ド正論だ。
しかし正論を言われるとむしろ反抗したくなる。
朝の番組「おはようモーニング」を見ながら朝食をとった。
「おはようモーニング」の「占いじゃんけん」現在24連敗。
つまり約1ヶ月の間勝ちなしだ。
「じゃんけんぷぉおぉいー!!!」
あいこだったパッとしない。
しかし、あいこだった俺には良い出会いがあるとの事だ
「嘘くせぇーだいたいあたったことねぇーよっ」
しかし、出会いか。今日の夢のまた夢のような夢が現実に....
なんてありえないか。かなし。
兄貴に送られて近くの駅まできた。
「ダリーわ高校まで2駅なのになんで送ってくれないんだよ」
「ダリーからだよ。」
チェッ
舌打ちしてから車を降りホームで待っていたらふと今日の占いの事を思い出した。
しかしそんなの嘘だなど、周りに人がいるのにもかかわらず、
「どーせ嘘だろ俺に青春は来ないんだグッズに囲まれる日々しか
こないんだろぉー!」
と、やや大きな声でイライラを発散させたため恐らく課長レベルのおじさんに。
「公共の場だ、静かに」
と、なぐさめられる形で説教された。
なんて惨めな。我ながら悲しみが深い。
電車に乗れば2駅などあっという間ですぐ学校には着いた。
学校にはたくさんの親が喋りまくりだ。
つまらない校長や、関係者の話を長々と聞いた。
ほぼ寝ていた。目を開けたまま。
しかし最後の1言だけ覚えてる。
「この学校で青春の1ページを刻みこんでください。」
だからな?俺には、アニメグッズや漫画に囲まれたしょーもない
スリーイヤーを過ごすだけだっつーの。
「―やっと帰れる」
校長の話す10分と、アニメの10分には天と地があるな。
アニメを見ながらそう思った。
これから、どんな日常が待ってんだろーな?
―これから始まるのは、ヲタクによるくだらないっちゃくだらない
青春ストーリだ。