5.『ボロアパート2F組』
ジョ○ョの中では一番7部『SBR』が好きです。
さて、愛しのマイルームに餞別を送ったので、もうここに用はありませんね。フクさんの後に続いて階段へと向かいます。
我がボロアパートには階段が一つしかありません。因みにボクの部屋はその逆側です。その階段というものが、ちょっと錆が酷くてですね。上り下りする時かなり怖いです。落ちたことはありませんし、落ちた人を見たことないですけど。
階段の所には、既に2名の男性が居らっしゃいました。フクさんの言っていた、ボクと同じ2階に住む方々でしょう。
「おっ、来たか」
道路を警戒していた1人が、フクさんとボクの接近に気づき、顔だけコチラに向けます。お勤めご苦労様でーす、という言葉は飲み込みました。
「お待たせしました。近くに化物は?」
「いや、アレっきり見ていねぇ」
「そうですか...」
どうやら皆さんも化物と遭遇していたようで。その化物はどうしたのですか、と聞きたいところですが今は黙っておきます。なにか、さっきよGモンスター的な薮蛇感がありますから。君子危うきになんとやら、ですね。
「じゃ、なるべく音は立てずに行こう。ここからだと...北高が近いか?」
「そうですね...そうしましょう」
「うっし。じゃ、俺が先頭に立つ。その後に福山さん、稲井ちゃん、松田さんと順に行こう」
「了解です」
「分かり...ました」
おや、ボクを置いて話はテンポよく進んでいきますねぇ。どうやら避難場所は北高に決定したようです。災害時の避難場所に指定されていますからね。妥当な判断でしょう。ま、ボクも否応なしなんで、同意をしておきましょう。
「お願いします」
と、簡単に一言。ボク、こう見えてコミュ障ですから。...え、知ってた?
けふん。えー、ここに『ボロアパート2F組』という臨時パーティが結成された瞬間です。
さて、パーティメンバーの紹介といきましょう。自己紹介されましたので、簡単に纏めてみました。
先ずは(恐らく)リーダーである木山さん。先頭を歩いている男性です。20代前半独身(と予想)。パーティメンバーの中で2番目に若いです。第一印象は"兄ちゃん"って感じですね。ボクからしたら"兄さん"と呼べる年齢差ですから、あながち間違ってはいないでしょう。青いツナギにリュックサックを背負い、手にはバールのようなものを持っています。また、手を守るために軍手を装着しております。滑り止めが付いた、ちょっといいやつですね。彼は攻撃力において、うちのパーティの中で最高でしょう。リーダーシップもしっかりと取っていますし、また先頭を進んむ勇気が素晴らしい。とても頼りになります。
次に福山さん。通称フクさん。説明は先程と同様ですから以下略。装備は黄色いジャージ...みたいなものです。コチラもリュックサックを背負い、手には包丁を持っています。これが平時でしたら警察の方に職質されますね。確定。まぁ、こういう非常時だからこそ許される、って言う外見です。
次に稲井ちゃん。名実共に超パーフェクト美少女な高校生です。それ以外の説明は要りません。武器は木刀に包丁。頭部を守るヘルメットが美しいです。良さげな私服が見つからず、結局制服を着ることに決めたようです。因みに寝巻きは学校指定のジャージらしいですよ。そして装備評価は驚きのA+。序盤で仲間にしておくべき最強キャラですね。見た目良し、性能良しの当たりキャラ。リセマラで狙うキャラランキング堂々の第一位を獲得しています。......はい、すみませんでした。9割以上が嘘です。欺瞞で塗り固めています。お察しかも知れませんが、ボクです。今までの説明は忘れてください。忘れましょう。さぁ、わ す れ て。
最後に、殿を務めてくれますのが松田さん。この方はボクと違って普通に普通のメガネを掛けています。ボクのはブルーライトカットのメガネですから。度なしですよ。えっとそれで...はい、とても真面目な中年サラリーマンって感じですね。独身(だと思う)の30代後半(あくまで予想)です。この人もリュックサック。そして武器は木製のバットですね。釘は刺してありません。残念。ヤンチャしてなかったんでしょうね。
と、まぁ。この4人の、アタッカー×4人の、男男女男という4人の、平均年齢およそ29歳という4人のパーティで行きますよっと。
──そう。これは、ボク達が歩き出す物語。世界を取り巻く絶望という闇の中、それでも希望を求めて前へ進む、その勇気ある行動が、後に世界を救う足掛かりとなっていくだろう。
先の、果ての見えない、それこそ荒野を歩くことに等しい冒険。
無謀な、それこそ砂漠の中からある砂粒を見つけ出すことに等しい勝機。
ボク達の、世界終末への抵抗が今、始まった。
......ま、避難するだけ、なんですけどね。
「レッドが木山さん。イエローがフクさん。ブルーが松田さん。ピンクが稲井ちゃんだとして、グリーンは誰にしましょうか」